2月22日に所用で神戸にでかけ、かねてより注目していた二つの特色ある美術館を訪問してきたので、その要旨を報告する。
神戸らんぷミュージアム KOBE・とんぼ玉ミュージアム
1)神戸らんぷミュージアム訪問
日本各地にランプの展示してある美術館があり、京都にも内外の石油ランプ蒐集を中心とした「京都祇園ランプ美術館」が存在するが、今回「神戸らんぷミュージアム」を見学した。資料によると、昭和63年(1988)に神戸の観光地・北野にあった「旧北野らんぷ博物館・赤木清士コレクション」を関西電力㈱が継承し、その後拡充して、平成11年(1999)に旧居留地内のクリエイトビルに開館した美術館である。
この美術館では、人とあかりの出会いコーナー(日本古来の発火方法)から始まり、動物や植物の油脂を用いた時代・江戸期に普及した和ろうそく・西洋からもたらされたランプ時代・石油ランプやガス燈に続く文明開化のあかり・電灯へと時代を追って800点の品(収蔵品は2300点)が整備展示されている。とくに嬉しかったのは、私が中学時代に夢中になった燐寸のレッテル展示があったことである。神戸在住の伯父からいただいた輸出用燐寸(マッチ)レッテルの動物シリーズの類似品が展示されていた。港町神戸にピッタリした美術館であった。
2)KOBE・とんぼ玉ミュージアム
JR三ノ宮駅から歩いて10分の距離にあり、神戸らんぷミュージアムに隣接したビルにある。とんぼ玉とは孔の開いた玉のことで、模様のついたガラス玉をトンボの複眼に見立てて呼称されている。その歴史は古く、数千年前の古代エジプト時代に造られており、日本では、吉野ヶ里遺跡からエジプト伝来と想像されるトンボ玉が発見されている。正倉院の御物にも存在し、仏教美術と結びついて奈良時代から製造されたといわれている。
震災10年を迎えた平成17年(2005)にオープンした新しい美術館で、貴重な古代ガラスの羽原コレクションが展示されており、とんぼ玉を中心としたガラス工芸品の歴史を楽しむことができる。また国内とんぼ玉作家12名の個性ある展覧が開催(第12回企画展示)が開催されていた。最近では単なるとんぼ玉ではなく、精巧な技法を加えて美術品と言いたい作品が提案されてきた。個別の鑑賞もよいが、小物の集団の美もすばらしく、魔法の国に迷い込んだ気分が味わえた。機会があれば再度訪問したいと思っている。