帝冠様式と呼ばれる京都市美術館

2009-02-13 16:42:42 | 美術と文芸

 去る1月17日、京都アスニーの「アスニー京都学講座」で京都市文化財保護課・石川祐一氏の2時間の講演「近代建築の見方」に出席し、近代建築の定義と歴史の概略を聴取する機会を得た。明治維新のあと海外の建築様式がどのように日本に導入され、建築材料の進化とともに展開したかについては、化学技術者出身の私にとって初めての講義で、きわめて興味深く楽しませていただいた。
 
  今回は、その中で昭和初期に展開された和洋折衷様式の「京都市美術館」について少し解説したい。昭和3年(1928)に昭和天皇の即位式が京都で挙行されたのを記念して、昭和8年(1933)に「大礼記念京都美術館」として開館したのが始まりで、大正15年(1926)設立の東京都美術館に次ぐ全国で2番目の公立美術館である。
 この建物は、全国から公募された設計案の中から東京の前田健二郎案が選ばれ、京都市設計課が若干修正して建設されたもので、明治維新後に導入された洋風建築(建物)と日本の伝統的な和風建築(瓦屋根)とを組み合わせた和洋折衷建築となっている。
                              正面左側から見た京都市美術館       正面中央右側から見た京都市美術館

 この建築様式を少し調べてみたら、「帝冠様式」と呼ばれるもので、昭和5年(1930)~昭和15年(1940)の短い期間に採用された建築様式である。太平洋戦争開始前の10年間で、国粋主義に猛進する日本で編み出された折衷様式といわれるが、その美しさを今に残している。岡崎公園内にある「京都市美術館別館」、四条河原町にある「南座」、大津市にある「旧琵琶湖ホテル」などもこの様式であり、私の生れた時代の建物として、これからも外観だけでなく内部まで楽しみたいと思っている。


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