岡崎十石舟運航がスタート

2008-03-30 23:46:40 | 琵琶湖疏水

   岡崎・鴨東運河における十石舟運航が3月29日から5月  6日までの39日間運航されることになった。
   今年の特徴は、① 昨年までの定員12名の舟から、倍増の24名乗りに変わったことで、長時間の乗船待ちがかなり解消されたこと。② 乗船前に救命バンドを腰に巻き、低い橋桁の下を通過するときの屋根の上下を手動から自動に変えて安全策を強化したこと。③舟の乗降もゆったりしており、片側12名の椅子席も余裕を感じ、どちら側に座っても往復で両側の景色が楽しめることなど大きく改善されている。
 私が顧問として所属する「「近代京都の礎の会」も、実行委員会のメンバーとして通船発足以来5年目を迎えたが、京都市内における最大規模の水辺空間である鴨東運河で季節を楽しみ、歴史を回顧し、周辺の史跡めぐりができる場として定着できれば嬉しいと思う。
     

      
      
鴨東運河を運航する新十石舟        蹴上・南禅寺舟溜りにある乗船場


山科疏水の菜の花畑

2008-03-28 15:41:19 | 琵琶湖疏水
 12年くらい前から山科疏水の安朱橋の近くに住む一人の男性が、疏水の流れに沿って安朱橋東の北側に「菜の花」を植え、4月の桜花の季節には桜と菜の花の競演として地元の住民や観光客に注目されてきたが、昨年から住民たちやNPO法人などの協力の輪が広がり、菜の花畑は東方に伸びて諸羽児童公園の南斜面沿いまで広がった。
      
安朱橋東方(左の写真)の両側には、諸羽トンネル西口まで菜の花畑がつづいており、今年から諸羽児童公園の南側散歩道(右の写真)まで菜の花畑が延長された。この区間は桜の名所であり、交通の便もよいので、この2週間は桜と菜の花の両方が楽しめる。9月には、同じ場所にキバナコスモスが咲くよう植え付けも終わっている。ここまで住民の手で進められた運動は山科疏水だけでなく琵琶湖疏水全体に広げたいと思う。

平成20年4月度紹介予定のホームページ項目

2008-03-28 02:01:11 | 琵琶湖疏水
 ホームページ(http://www.geocities.jp/biwako_sosui/)4月度更新予定の項目は下記の通りですので、お立ち寄りください。
279話……分類:技術・建設工事15項(C-01-15)    08-03-12記
      題目:本邦最初の鉄筋コンクリート橋
      要旨:鉄筋コンクリートの歴史と山科疏水にある史跡の由来について考察
280話……分類:文化・芸術石額7項(F-02-07)     08-03-04記
      題目:琵琶湖疏水に掲げられた扁額(1)
      要旨:扁額全般の考察と琵琶湖疏水に存在する扁額のまとめ
281話……分類:文化・芸術石額8項(F-02-08)      08-03-06記
      題目:琵琶湖疏水に掲げられた扁額(2)
      要旨:鉄道用トンネルの扁額の全般考察
282話……分類:散歩道・鴨川運河6項(B-05-06)    08-03-19記
      題目:鴨川運河(三条~塩小路)の記録メモ(1)
      要旨:鴨川運河(三条~塩小路)に架かっていた小橋について
283話……分類:散歩道・鴨側運河7項(B-05-07)    08-03-23記
      題目:鴨川運河(三条~塩小路)の記録メモ(2)
      要旨:地下化のあとの散歩道整備状況について

早春の京都府立植物園見学

2008-03-25 21:06:25 | 植物と動物
 立春を越えると梅の花が咲き始め、東風も吹き始め、立春の前日の夜に節分の豆撒きをすませると暦の上では春となる。この日を基準にして八十八夜や二百十日などの日取りが決まる。しかし、立春とは名ばかりの春で一年の一番寒い季節である。ところが、ベランダの鉢の草花が春を告げる花芽を持ったと思ったら急に暖かくなり、京都では昨日桜の開花宣言が報じられてしまった。今頃“早春の報告”で申し訳ないが、どうしても記録に残したいので、掲題の報告をさせていただく次第である。
 京都府立植物園では平成18年(2006)から毎年「早春の草花展」を開催しており、今年の開催期間は2月15日から3月20日であった。地下鉄北山駅上の植物園「北山門広場」が会場となっているが、今年から会場が昨年の3倍に拡大され、公式報道によると、期間中に70種・200品種・2万鉢が展示された。2つに折れた散策道の距離は延べ100mあるが、菜の花の黄色をベースとして早春の各種草花が美しく飾られており、別世界に迷いこんだような集団の美の中で早春の到来を心から楽しむことができた。
        
 早春の季節は、黄色の花が多いと報告されており、2月から3月に咲く樹木や草花の半数近くが黄色と云われている。今回の「早春の草花展」でも、クロッカス・キンギョソウ・菜の花ランナキュラスルピナスなど黄色の花が基調色であった。
 黄色は太陽光を一番集めやすい色と云われ、昆虫に一番目に付きやすい色とも云われている。今回もテント張りの上部の隙間から多数のミツバチが入り込んでいた。また、各草花には名札がついており、勉強になった。これだけの豪華な「早春の草花展」は京都市内でも他に例がない。私にとってこの草花展のあと桜を楽しむのが春の定例コースとなったようである。皆さんも来春からぜひ楽しんでいただきたい。

植物園でユビキタスガイド

2008-03-18 08:38:01 | 植物と動物

 京都府立植物園では、携帯情報端末という最新のユビキタス技術を活用し、文字・写真・音声・動画などの情報を歩きながら得られるシステムの実験を開始(3月中)しているので、3月13日に実験に参加してみた。 
  携帯電話より少し大きい情報端末器(UC)を首にぶら下げて、腕にICタグリーダーをつけて園内の散策に出発する。園内全体の要所22ヶ所に無線マーカーが置かれており、その近くに行くと音声とともに自動的に周辺情報がUCに表示される。また、UCの隅にあるボタンを押すと、園内のどの位置に自分がいるかがわかる。さらに園内の注目される樹木50ヶ所に植物名を示した円形のICタグプレートがあり、腕につけたICタグリーダーをかざすと、UCにその植物の情報が示される。操作もしばらく使用すると難しくない。  
  例を示すと、観覧温室前の東側通路にある無線マーカー4番の位置に近づくと、比叡山(848m)遠景の紹介が始まり“比叡山と植物園の間にさえぎるものが一切なく、全景が楽しめる”とアナウンスされた。もう一ヶ所のスポットとして植物園会館の2階東側テラスからの比叡山の姿の紹介もあった。植物園には数十回訪ねているが、比叡山を遠望して楽しんだのは初めてであった。

        
植物園会館2階東側テラスから見た比叡山 観覧温室前(シダレエンジュの背景)の比叡山  
  もう一つの例としてICタグ38番のカイヅカイブキの解説概要を紹介する。大正13年(1924)に大典記念京都植物園として開園したとき、樹齢30年のカイヅカイブキが多数植樹されたが、現在も41本が園内に残っている。この木はすべて手作業で樹形をローソク型に剪定してあり、樹齢110年近いカイヅカイブキが揃っている場所は世界でも例が無く、海外の樹木専門家が見学にやってくるという。 
  今回は初めての経験で巡回したタグプレートの数も少なかったが、このように、50ヶ所あるICタグプレートの説明を全部聞くことができたら、植物園の知識がかなり深まり、植物を深く楽しむ人も増えると思う。 
  最近、京都府立植物園のホームページも充実してきており、動画で音声付の解説も多くなった。松谷茂園長の「園長の目」も楽しいコーナーである。植物園は我が家の庭園と位置付けている私にとって嬉しいことである。植物園のユビキタスガイドが早く実用化されることを期待している。


日本最初の鉄筋コンクリート橋の話題

2008-03-11 07:57:03 | 琵琶湖疏水
 「日本最初の鉄筋コンクリート橋」といえば、琵琶湖疏水を知っている人はすぐに山科疏水の日ノ岡にある第三トンネル東口の手前にある第11号橋を考えるが、最近文献を調べてみると、「京都橋ものがたり」という本に…明治36年(1903)7月に完成した琵琶湖疏水の第11号橋は、わずかの差でわが国2番目の橋…と記載されている。
   気になるので少し調べてみると、摂南大学図書館報No7(1986-4)に…神戸市の若狭橋が第11号橋より1ヶ月早く竣工しているようである…と記載されている。両資料とも土木工学出身の著者であるから、根拠のある話と思う。もう少し調べてみたら、第11号橋(3.7m)はメラン式アーチ橋であるが、若狭橋(3.7m)はスラブ橋(鉄筋コンクリート板を使用)であるという記載を見つけた。
   私は、土木の専門家ではないが、第11号橋は「メラン式アーチ型の日本最初の鉄筋コンクリート橋」とし、若狭橋は「スラブ型の・・・・・・」と分ければよいと思う。
   この時期は鉄筋コンクリートの技術が欧州から伝来した時で、記録によると、翌明治37年(1904)には山陰線・米子~安来間に鉄筋コンクリートの鉄道橋・島田川橋梁が完成している。これは「日本最初の鉄筋コンクリート鉄道橋」である。また、仙台市を流れる広瀬川に架かる広瀬橋は明治42年(1907)に竣工しているが、この橋にある国土交通省の看板には「日本最初の鉄筋コンクリート橋」と記載されているそうである。この橋も「日本最初の鉄筋コンクリート道路橋」と解釈すれば正しい。
   明治36年に作られた琵琶湖疏水の第11号橋は、試験データをとるためのパイロット橋で、このデータにもとづき明治37年に山ノ谷橋(第10号橋)を建設した。設計者の田邊朔郎は大学に移って、メラン式アーチ型橋の研究を続けたという。技術者出身の私にとって、新しい技術に取り組む田邊朔郎の姿勢に強い共感を覚える。私は本格的なアーチ型の第11号橋が日本最初の鉄筋コンクリート橋であると考えている。なお、来月度のホームページでは、鉄筋コンクリートの発明時期や世界の鉄筋コンクリート橋の開発などを加えて少しくわしく紹介する予定である。

京都市美術館コレクション展を見学

2008-03-06 11:19:41 | 美術と文芸

   京都市美術館では、平成12年(2000)4月から、収蔵品の中から選抜した作品を「コレクション展」と題して年に5回(実際には3~5回)展示すると発表した。
   第1回目は「春の夕・名匠たちの逸品」の副題で、日本画・洋画・工芸品などが96品展示された。平成12年は京都会館別館を京都市美術館別館として改修整備した年であり、展示場所の補完ができたこともキッカケとなったのである。それから8年を経過し、「コレクション展」も今回で34回目を迎えたが、この間収蔵品も1800点から2200点に増え、新聞報道によると収蔵品の約7割を展示することができたようである。
   今年の副題は「心のふるさと」で2008年度第3期展として風景画中心約100点が展示された。私は「コレクション展」見学の常連であるが、これを通じて京都ゆかりの多くの画家の名や略歴・特徴を知ることができた。何よりも見学時に作家の絵の来歴(生没年、製作年、作品題名、材質・形状、サイズ、初出展など)をまとめたリストをいただけることが嬉しい。見学時に楽しみ、帰宅してから詳しく読んで楽しめる。
   とくに今回は、私の好きな風景画を「京都をとらえる」として(洛北・洛西、洛東、鴨川、洛南)、「近畿をとらえる」として(滋賀、兵庫、奈良、三重、和歌山)と地域別に展示してあったので理解しやすかった。また京都以外の国内外の風景画も展示された。
 美術館担当者の努力に敬意を表するとともに、来年度の「コレクション展」を楽しみにしている。