ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

兼題は〝クリスマス〟

2018年12月24日 | 俳句

 ああ、今日はクリスマス・イブ、でも午後からは句会があって忙しい一日でした。先月兼題を決める時に、折角24日にするんだから〝クリスマス〟にしようということになったのです。

 クリスマスは12月25日、キリストの誕生日です。その前夜をクリスマス・イブといい、子供たちはサンタクロースに贈り物を入れて貰う靴下を吊り下げて寝ます。懐かしい話です。

 私が子供の頃はそんなことはなかったのですが、我が子の時は主人と一緒に買ってしまっておいたプレゼントを、そっと枕元に置いていましたね。そういえば、息子が既に小学校の2,3年生になっていた時、ナントしても寝ようとせずに困ったことがありました。親子の根比べになったのですが、もう寝たかしらと2階に上がってみると寝たふりをしていて…やっと寝たのでプレゼントを置いたんですが、翌日は寝不足で本当に弱りました。後で聞いてみると、学校の友達から〝サンタさんなんかいないよ。あれはお父さんやお母さんが置いたんだから〟と、まだ信じていた息子をバカにしたんだそうです。でも当分サンタさんを信じていたという息子をかえって嬉しいと思いました。子供の頃はいつまでも夢を持っていて欲しいですものね。今は?ああ、もう全くダメですよ~。夢なんて、ザンネンですけど…。

  へろへろとワンタンすするクリスマス     秋元不死男

 一度読むと忘れられない有名な句ですから皆さんよくご存じでしょう。説明を省きますが、見るからに滑稽ですよね。「へろへろ」がワンタンという軟弱な食べ物にピッタリ!中国料理でよく食べるギョウザ・シュウマイと材料的には同じようなものなんですが。今後ワンタンに似合う表現はもうこれ以上のものは出ないでしょう。昭和21年作ですから、戦中戦後の食糧難…よくドラマで見る〝すいとん〟のことを思ってしまいました。が、ワンタンの方が随分高級なんでしょうね。肉が入ってるんですから。でも、今日はクリスマス…その頃は今のようにケーキやチキン・シャンペンとか食べていたんでしょうか。そう考えるとワンタンが食べられるだけでもいいのでは?と思います。不死男は決して裕福な生れでもなかったし、戦中には治安維持法違反の名目の新興俳句弾圧事件で2年間も投獄されて、職も失っていたんですからどうなんでしょうか。そう考えるとこれは自分のことではなく、どこかで見掛けた景を詠んだのかも知れません。しかし、そんなことはどうでもいいです。ただこの17音が醸し出すペーソス、そしてこの中のどの語がなくても成立しないという面白さ、またそれを支えている季語、見事としか言いようがないですね。同じ不死男の句〈鳥わたるこきこきこきと罐切れば〉とともに忘れられない句です。

 山本健吉が不死男のことを「現実的な人間生活に切り込もうとする意欲は、彼の初期からの特徴をなしている。彼の句は素材的で健康で感傷的で単純で重厚だが、詩人的感性は鋭くも深くもないし、抽象的思考は彼のもっとも不得手とするところだ。私は彼の句に、困苦に耐え、しかもちっともねじけなかった暖かい庶民的な感情が流れているゆえに愛するのである」と評していますが、成る程と思いました。

 クリスマスケーキは、昨日(23日)義母の所に集まって恒例の牡蠣パーティーをしたときに食べましたが、写真撮るの忘れてました。ゴメンナサイ!その代わりこんなに大きくなってもうすぐ花が咲く〝水仙〟をどうぞ。

 

 

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