★しろうと作家のオリジナル小説★

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パーフェクトシティ(10)

2023年03月10日 | 短編小説「パーフェクトシティ」

 ひとつは、記憶をリセットし同じ1年を何度も繰り返すため文明の発展がストップしてしまうこと。そしてもうひとつは、この世界をコントロールするため、記憶をリセットしない人々が必要であることだった。
 そこで、基本的に「IM-X」を使わず、記憶操作もしない二つ目のグループ「オールドシティ」が作られた。
 この「オールドシティ」は、いわば「IM-X」がない時代をそのまま受け継いでいる街で、住民は歳をとりやがて死んでいく。
 永遠の命を手にした人類にとって誰も入りたがらないグループのようだが、実際には生理的に「IM-X」が効かない人々が一定数いたこと、また思想的に永遠の命や記憶を操作されることに反対で、人類の歴史を積み上げ、継承し文明を発展させていかなくてはならないと考える人々で成り立っている。
 そして、このグループには、従前の社会の営みのほかに、パーフェクトシティを管理するという役目も課せられた。
 基本的にどちらのグループに入るかは、個人の自由判断に委ねられていた。また途中での変更にも規制はない。しかしそれぞれのグループは、地域的に隣接はしているものの明確に切り離され全く別の社会を作っていた。
 ちなみに、国家警備隊はパーフェクトシティ管理の業務のため、オールドシティに属している。
 勿論、基本的にオールドシティの市民は「IM-X」を使わないが、俺は例外的に「IM-X」を使って老化を止めている。定期的な検査を合格すれば「IM-X」を使いながら記憶もそのままで「オールドシティ」で暮らすことも可能なのだ。



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