★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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居酒屋にて(4)

2010年12月23日 | SS「居酒屋にて」
 メガネの奥の濁った目で、その動作を見ていたメガネ男も、くわえた串をぶらんぶらん振るわせながら中腰になりゼスチャーを交えた意見を言い始めた。
「日本の神様と言えば、なんっといっても、ベンテン様じゃろぉぉ。こぉぉんな髪型に、こうギュッとくびれた腰にだなぁ、すんげぇ色っぽい目つきで福を呼んでくれるのじゃぁ」
 メガネ男は、もう席からすっかり立ち上がり、腰をくねくね、あやしい目つきで気色悪い表情を作りペイズリー男を斜視している。色っぽいつもりなのかアルコールのせいで眼球のコントロールが効かなくなってきたのか定かではないが、その目つきがまたペイズリー男の気に障ったようだ。
「ベンテン様は、そんなおかしげなツラはしとらんぜよ。もっとこう、こうウルウルした目でだなぁ、わしらを見てくれるんじゃいぃ」
 ペイズリー男も席を立ち上がり、カウンターテーブルに手をつきながら、なぜかエセ坂本竜馬風の思い込み土佐弁で、メガネ男に向かって目に力を入れて顔を突き出した。


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