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鬼瓦の作者を、一度「報告書」で確認することにしました。

報告書とは、正確には
「重要文化財 備中国分寺五重塔保存修理工事報告書 1994」
平成二年から六年にかけて行われた解体修理工事の報告書です。
この解体修理工事、途中で台風19号に襲われて大きな被害を受け、修理を始めからやり直したことを、kamokamoはよく覚えています。

報告書によると、鬼瓦の作者は以下のようになっています。

初重鬼瓦:文政10年 備中宿 高谷七三郎作
二重鬼瓦:文政12年 酒津村住人 梶谷定次郎
三重鬼瓦:文政13年 服部村 瓦師高谷七三郎作
四重鬼瓦:記載なし
五重鬼瓦:記載なし

これを見ると、二重鬼瓦の作者は「酒津村住人 梶谷定次郎」ひとりですから、紋章のある四つの鬼瓦はおそらくすべてがこの方の作品でしょう。 ということは、紋章や細部の違いは作者の遊び心でしょうか?


初重と三重は同じ作者の作品のようです(住所が違うけれど)。両者は作風もよく似ています。
しかし、初重より三重の方が、別人のように丁寧な仕事をしているような印象を受けます。(刻まれた銘も詳しくて丁寧??)
初重鬼瓦を作った作者が、二重鬼瓦の丁寧さに触発されて三重で良い仕事をしたということしょうか?

四重、五重ともに作者の記載はありませんが、四重は三重によく似ています。やや獅子頭のようにデフォルメされかかっていますが…
五重も三重と作風が似ていますが、かなり雑な仕上がりになっています。

以下、それぞれの特徴をまとめてみました。

初重鬼瓦:よくある鬼瓦かな~
二重鬼瓦:鼻筋が通ったエキゾティックな顔立ち。額に紋章。丁寧に作られている。
三重鬼瓦:雰囲気は初重に似ているが、二重鬼瓦のように鼻筋が通り、仕事が丁寧になっている。初重と同じ作者
四重鬼瓦:三重鬼瓦に似ているが表情が獅子頭のようにデフォルメ
五重鬼瓦:三重鬼瓦に似ているが、かなり雑

以上です。
写真を掲載したいけれど冊子のコピーを掲載する訳にはいかないし……
超望遠レンズがあったら、遠くからひとつひとつの鬼瓦の表情を写せるのだけど……テレコンでも使ってみようかな。
また撮影に出かけた時に挑戦したいと思っています。


文政から弘化にかけて行われた五重塔再建の経緯を見て行くと、鬼瓦の移り変わりの理由が分かります。

三重と四重の間で、数年観建設がストップしてしまいます。
天保の飢饉などもあって、建設が中断したようです。
塔の建設が途中で中断して放置されている姿を想像すると、何だかおぞましい光景ですね。

数年後、何としてでも塔の完成をという願いから、素材の質を落としてようやく完成に至りました。




ところで
二重鬼瓦に銘を刻んだ「酒津村住人 梶谷定次郎」とは、一体どのような人物なのだろう?


つづく

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