昨日の昼前、驚くべきニュースが流れた。
安倍晋三元首相が凶弾に倒れたのだ。場所は奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅前。そこで多くの聴衆を前に参議院選の応援演説をしている最中に、後ろから忍び寄った男が自作の改造拳銃で撃ったのである。
男は周りにいたSPたちによって取り押さえられたが、2発目の弾丸が安倍氏の胸と首に命中して心肺停止となり、心臓マッサージの最中に到着した救急車で最寄りの奈良県立医科大学附属病院に運ばれたが、午後5時過ぎ、死亡が確認された。昭惠夫人も東京から駆け付けたが、残念な結果になってしまった。
男は41歳の現在無職だが、かつては3年間「任期付き海上自衛隊自衛官」だったそうで、最初はそのイメージからくる政治への不満が引き金になったのではと思われたのだが、男は取り調べの中で「安倍氏を殺そうと思った。安倍氏を支持している某宗教団体へ恨み(?)があった。政治的な理念に対する反感からではない。」という供述をしているそうである。
その宗教団体というのが何なのかは報道されていないので何とも言えない。しかし某宗教団体への恨みが安倍氏への攻撃に直接結び付くとは思えない。かなり短絡な話である。男の精神鑑定が待たれるところだ。
いずれにしても今のところ単独犯であり、政治的に複雑な背景は持っていないようである。
演説中に公衆の面前で殺害されたという点で思い出すのが昭和35年(1960年)の「社会党党首、浅沼稲次郎の刺殺事件」である。場所はこちらは室内で、日比谷公会堂という都心の大きな会場であった。
当時、自分はまだ10歳だったが、翌日の新聞の一面に、公会堂の壇上のデスクの前で演説中の浅沼氏が背後から刺され、その勢いで前のめりになり、掛けていたメガネがずれ落ちそうになっている写真が掲載されていたのは、おぼろげながら覚えている。
刺したのは当時まだ17歳だった山口二矢(おとや)という少年で、日本愛国党という右翼団体に心酔した挙句の犯行であった。
目的は日本の赤化(共産化)を防ぐためというもので、山口二矢の兄が当時愛国党の党員だったので、その感化が大きかったと言われている。
二矢はまだ17歳ということで逮捕収監はされず、少年鑑別所送致となったが、鑑別所内で自殺して果てている。
今度の犯行は安倍氏への私怨からくるものではないことははっきりしているのだが、しかし最初にこの事件を聞いた時は、その動機がもしかしたら「モリ・カケ、桜」問題に起因するのではとチラッと思ったものだ。
特に森友学園への「土地代巨額値引き事案」における文書の隠ぺい・改竄により事務官一人が自殺しているが、それへの義憤のような心情が男の犯行を促した可能性を思ったのだが、その線はほとんど考えられないようだ。
一夜明けて世界の指導者からコメントが入ってきているという。その多くは儀礼的な面もあるが、総じてシンゾーの死を大変惜しんでいる。
思えば世界を股にかけてよく出かけた首相であった。
特筆すべきはロシアのウラジーミル・プーチンとの27回に及ぶ会談だ。一度は地元山口の料亭に招いてひざを突き合わせているが、結局ウラジーミルの胸襟を開け放つことはできず、北方領土問題は何一つ進展を見ずに終わった。経済協力も様々取り組んだのだが、見返りが何もなかったのは返す返すも残念だったろう。
そのプーチンは今や欧米全体を敵に回し、振り上げたこぶしの落としどころを捉えあぐねているようだ。八つ当たり的にサハリン沖の天然ガス開発に資金協力して来た日本側の大手商社の資産分を国有化すると言ってきた。盗人ロシアの面目躍如である。
アメリカとの関係ではトランプ政権に擦り寄り「ドナルド=シンゾー」関係を築いたのはいいが、口を開けば「同盟のさらなる強化を」と口当たりの良い忖度的な文言を繰り返していた。
そんなことより、せっかくドナルドがこじ開けた北朝鮮の金正恩との繋がりをうまく利用し、思い切って自らが北朝鮮に赴いて拉致家族返還の直談判をするべきだった。これも「私の代で拉致問題は必ず解決します」と言って来たシンゾーにとって思い残すことになったろう。
アベノミクスによるトリクルダウン(上部の契機が良くなれば、次第に下部の景気が良くなって行くという理論)は成功には程遠い結果となった。
日銀による国債の無制限買い入れとゼロ金利政策により市場に円が大量に出回り、円安が途方もなく進んだのは輸出産業にとっては我が世の春だが、輸入産業は青息吐息だろう。特に飼料を含む輸入食料品の円安による値上がりは家計にとっても畜産業にとっても大打撃だ(ウクライナ戦争の余波でもあるが)。
国内的に見ると以上のようにシンゾーの成果はやや評価点は低い。しかし国際的に見ると上で触れたように世界中を飛び回って各国首脳との関係を築く努力をして来たシンゾーへの評価点はかなり高い。おそらく戦後歴代の首相では最高点だろう。その意味では得難い人を失くしたものである。
安倍晋三元首相が凶弾に倒れたのだ。場所は奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅前。そこで多くの聴衆を前に参議院選の応援演説をしている最中に、後ろから忍び寄った男が自作の改造拳銃で撃ったのである。
男は周りにいたSPたちによって取り押さえられたが、2発目の弾丸が安倍氏の胸と首に命中して心肺停止となり、心臓マッサージの最中に到着した救急車で最寄りの奈良県立医科大学附属病院に運ばれたが、午後5時過ぎ、死亡が確認された。昭惠夫人も東京から駆け付けたが、残念な結果になってしまった。
男は41歳の現在無職だが、かつては3年間「任期付き海上自衛隊自衛官」だったそうで、最初はそのイメージからくる政治への不満が引き金になったのではと思われたのだが、男は取り調べの中で「安倍氏を殺そうと思った。安倍氏を支持している某宗教団体へ恨み(?)があった。政治的な理念に対する反感からではない。」という供述をしているそうである。
その宗教団体というのが何なのかは報道されていないので何とも言えない。しかし某宗教団体への恨みが安倍氏への攻撃に直接結び付くとは思えない。かなり短絡な話である。男の精神鑑定が待たれるところだ。
いずれにしても今のところ単独犯であり、政治的に複雑な背景は持っていないようである。
演説中に公衆の面前で殺害されたという点で思い出すのが昭和35年(1960年)の「社会党党首、浅沼稲次郎の刺殺事件」である。場所はこちらは室内で、日比谷公会堂という都心の大きな会場であった。
当時、自分はまだ10歳だったが、翌日の新聞の一面に、公会堂の壇上のデスクの前で演説中の浅沼氏が背後から刺され、その勢いで前のめりになり、掛けていたメガネがずれ落ちそうになっている写真が掲載されていたのは、おぼろげながら覚えている。
刺したのは当時まだ17歳だった山口二矢(おとや)という少年で、日本愛国党という右翼団体に心酔した挙句の犯行であった。
目的は日本の赤化(共産化)を防ぐためというもので、山口二矢の兄が当時愛国党の党員だったので、その感化が大きかったと言われている。
二矢はまだ17歳ということで逮捕収監はされず、少年鑑別所送致となったが、鑑別所内で自殺して果てている。
今度の犯行は安倍氏への私怨からくるものではないことははっきりしているのだが、しかし最初にこの事件を聞いた時は、その動機がもしかしたら「モリ・カケ、桜」問題に起因するのではとチラッと思ったものだ。
特に森友学園への「土地代巨額値引き事案」における文書の隠ぺい・改竄により事務官一人が自殺しているが、それへの義憤のような心情が男の犯行を促した可能性を思ったのだが、その線はほとんど考えられないようだ。
一夜明けて世界の指導者からコメントが入ってきているという。その多くは儀礼的な面もあるが、総じてシンゾーの死を大変惜しんでいる。
思えば世界を股にかけてよく出かけた首相であった。
特筆すべきはロシアのウラジーミル・プーチンとの27回に及ぶ会談だ。一度は地元山口の料亭に招いてひざを突き合わせているが、結局ウラジーミルの胸襟を開け放つことはできず、北方領土問題は何一つ進展を見ずに終わった。経済協力も様々取り組んだのだが、見返りが何もなかったのは返す返すも残念だったろう。
そのプーチンは今や欧米全体を敵に回し、振り上げたこぶしの落としどころを捉えあぐねているようだ。八つ当たり的にサハリン沖の天然ガス開発に資金協力して来た日本側の大手商社の資産分を国有化すると言ってきた。盗人ロシアの面目躍如である。
アメリカとの関係ではトランプ政権に擦り寄り「ドナルド=シンゾー」関係を築いたのはいいが、口を開けば「同盟のさらなる強化を」と口当たりの良い忖度的な文言を繰り返していた。
そんなことより、せっかくドナルドがこじ開けた北朝鮮の金正恩との繋がりをうまく利用し、思い切って自らが北朝鮮に赴いて拉致家族返還の直談判をするべきだった。これも「私の代で拉致問題は必ず解決します」と言って来たシンゾーにとって思い残すことになったろう。
アベノミクスによるトリクルダウン(上部の契機が良くなれば、次第に下部の景気が良くなって行くという理論)は成功には程遠い結果となった。
日銀による国債の無制限買い入れとゼロ金利政策により市場に円が大量に出回り、円安が途方もなく進んだのは輸出産業にとっては我が世の春だが、輸入産業は青息吐息だろう。特に飼料を含む輸入食料品の円安による値上がりは家計にとっても畜産業にとっても大打撃だ(ウクライナ戦争の余波でもあるが)。
国内的に見ると以上のようにシンゾーの成果はやや評価点は低い。しかし国際的に見ると上で触れたように世界中を飛び回って各国首脳との関係を築く努力をして来たシンゾーへの評価点はかなり高い。おそらく戦後歴代の首相では最高点だろう。その意味では得難い人を失くしたものである。