鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

夏越しの大祓いと氷室饅頭。

2007-06-29 | 月と旧暦と。


何て早い!もう今年の半分が過ぎようとしています。
明日6月30日は年に2回ある大祓いのうちの「夏越しの大祓い」。
本来は旧暦で行われるべきのものですが、
いずこも新暦で行われることが多いようです。

この日、茅の輪をくぐって、お正月から6月までの半年分の穢れを祓い、
これをくぐることにより、これからの季節、疫病にかかることがないとされます。
茅=稲科のススキ。
古人はこの植物の旺盛な繁殖力に強い生命力を見出し、
また手切れ草とも呼ばれたススキの鋭い葉は、
魔を切る力があると信じられてもいました。

茅の輪のくぐり方には決まりがあります。
「水無月のなごしの祓えする人は 千歳のいのち延ぶといふなり」
という拾遺和歌集の和歌を唱えながら、
左まわり・右まわり・左まわりと八の字を描くようにして
三度くぐりぬけます。
今年はちょうど富山へ向う日なので、また山王さん(日枝神社)に向い、
茅の輪をくぐってこようと思います。

そして夏越しの大祓いが明ければ、もう文月朔日。
金沢では氷室饅頭を食べて無病息災を願います。
氷室饅頭の由来は、藩政時代に遡ります。
陰暦6月1日、加賀江戸藩邸から将軍に氷を献上するのが習わしで、
冬に氷室に貯えた氷を無事に江戸の藩邸まで運べるよう、
饅頭を供えて神社に祈願しました。
そして町衆がこれに倣って氷の代わりに饅頭を食べたのが、
氷室饅頭の始まりとされています。

兼六園や尾山神社の一隅にはかつての氷室跡が残っていますが、
今は湯涌温泉に再現された茅葺きの氷室小屋で、
毎年、氷室開きが行われており、夏の風物詩になっています。

写真は越山甘清堂の氷室饅頭。
素朴な味わい、酒酵母がきいています♪