★竹皮を脱ぐ孟宗の節短し 正子
○今日の俳句
抜きんでて空わがものに今年竹/黒谷光子
竹の生長は驚くほど。一夜にして空に抜きん出て、若緑の葉を空にそよがす。空をわがもとして。
○花冠ツイッター句会(花冠7月号後記より)
★花冠のもっとも新しい動きは、ツイッター句会を始めたことです。ツイッターが日本で注目されたのは、このたびの東日本大震災で、ツイッターを利用した情報伝達によって、家族や知人など広く必要な情報が伝播していったことがあげられます。ツイッターには、信之先生も、私も一年以上まえに登録をしていたものの、俳句にはツイッターは向かないのではということで使わずにおりました。ツイッターのシステムの進化が、高齢者に扱い易いという点で、信之先生が句会に利用することを決断されました。句会の方法は、信之先生が考えられて、ツイッター句会が始められたわけです。長らく親しんだブログ句会にとって変わりました。
★「新しい酒は新しい皮袋に」という教えが聖書にありますように、新しい内容(俳句)は、新しい入れ物(ツイッターのシステム)が必要でしょう。
★このたびの東日本大震災や原発事故も天災だけとは言えないでしょう。人間も含めた自然の本質を求めてゆかなければならないと思います。今すべきことは、内容を新しく、伝統をよく思い起こすことでしょう。自然の豊かな日本は、自然に親しみ、また恐れをもって暮らしに抱き込んで、おりました。西洋人の、自然は克服するものという考えとは、違っております。自然の造化に従うということがよくわかるのが、川本臥風先生の俳句と思えます。今月号の表紙裏は、臥風先生の句の鑑賞です。皆様もご自分の鑑賞をなさってください。(正子)
○川本臥風鑑賞
鮎匂い鮎の山河を恋いわたる 川本臥風
鮎は生まれた川の水の匂いをたどって上ってくるという。その生態をあますところなく十七字にまとめた臥風先生の代表句。豊かな水と緑したたる山河は日本の夏のいよいよの始まり。(高橋正子)
○パウル・クレーと小杉放菴
私の(あるいは家族の)大切にしている家具に、食器棚と本棚がある。食器棚もスライド式本棚も本当の木でできて、はまっているガラスは、面取りしてある。食器棚は狭い家には大きめだが、引越しで物を減らすときも、処分しないで付いてきている。これから書こうとしているのは、食器棚と本棚のガラスの裏側から差し込んでながめている絵葉書のことである。
二,三年前になるが、川崎歴史博物館だったと思うが、そこを訪ねて売店で何気なく買ったパウル・クレーの「ニーゼン山(Der Niesen)」の絵葉書と、出光美術館を訪ねた時に、見ていると愉快になって買った小杉放菴の「金時遊行」の二枚の絵葉書。これを、(ゴッホや白秋の絵もあるが)ガラス戸にはめている。「金時遊行」は、裸の金時ではなく、大きな絞り柄の赤っぽい着物と、チャコールグレイというといいのか、そういうズボンをはき、左手に鉞を持って、右手と、左足を跳ねあげ、くりくりと肥えて、四、五年生の元気いっぱいの男の子の表情をしている。昭和十二年ごろ書かれたもののようだが、大変気にいっている。パウル・クレーの「ニーゼン山」は、スイスのベルンの家の窓から見えるニーゼン山を、抽象的に青い三角形に描き、町並みはあかるく、諧調のある色彩で、四角、四角を積み重ねて、一本の木は枝を、空には、月と星を描いている。抽象画にしては、叙情的、詩的、諧調的で、これも気に入っている。クレーはベルンに生まれたから、いわば故郷の山を書いたわけであろう。二,三年も見続けていると、青い三角形の大きな山に存在感とともに懐かしさを感じるようになった。
「金時遊行」のほうを進んで買ったせいもあって、三月十一日の東日本大震災が起こるまでは、放菴に軍配をあげていたが、震災のさわぎで、クレーのニーゼン山のほうがよくなった。抽象的なものがよくなったのかどうかはわからないが。そういう気持ちでいた、数日後、日経新聞で、パウル・クレーの絵の特集が三回あった。偶然の重なりとは言え驚いた。今の日本人がクレーを見たがる気分になっているのかとも思えるが、そのことは、よくわからない。
◇生活する花たち「えごの花・ニワセキショウ・アヤメ」(横浜日吉本町)
○今日の俳句
抜きんでて空わがものに今年竹/黒谷光子
竹の生長は驚くほど。一夜にして空に抜きん出て、若緑の葉を空にそよがす。空をわがもとして。
○花冠ツイッター句会(花冠7月号後記より)
★花冠のもっとも新しい動きは、ツイッター句会を始めたことです。ツイッターが日本で注目されたのは、このたびの東日本大震災で、ツイッターを利用した情報伝達によって、家族や知人など広く必要な情報が伝播していったことがあげられます。ツイッターには、信之先生も、私も一年以上まえに登録をしていたものの、俳句にはツイッターは向かないのではということで使わずにおりました。ツイッターのシステムの進化が、高齢者に扱い易いという点で、信之先生が句会に利用することを決断されました。句会の方法は、信之先生が考えられて、ツイッター句会が始められたわけです。長らく親しんだブログ句会にとって変わりました。
★「新しい酒は新しい皮袋に」という教えが聖書にありますように、新しい内容(俳句)は、新しい入れ物(ツイッターのシステム)が必要でしょう。
★このたびの東日本大震災や原発事故も天災だけとは言えないでしょう。人間も含めた自然の本質を求めてゆかなければならないと思います。今すべきことは、内容を新しく、伝統をよく思い起こすことでしょう。自然の豊かな日本は、自然に親しみ、また恐れをもって暮らしに抱き込んで、おりました。西洋人の、自然は克服するものという考えとは、違っております。自然の造化に従うということがよくわかるのが、川本臥風先生の俳句と思えます。今月号の表紙裏は、臥風先生の句の鑑賞です。皆様もご自分の鑑賞をなさってください。(正子)
○川本臥風鑑賞
鮎匂い鮎の山河を恋いわたる 川本臥風
鮎は生まれた川の水の匂いをたどって上ってくるという。その生態をあますところなく十七字にまとめた臥風先生の代表句。豊かな水と緑したたる山河は日本の夏のいよいよの始まり。(高橋正子)
○パウル・クレーと小杉放菴
私の(あるいは家族の)大切にしている家具に、食器棚と本棚がある。食器棚もスライド式本棚も本当の木でできて、はまっているガラスは、面取りしてある。食器棚は狭い家には大きめだが、引越しで物を減らすときも、処分しないで付いてきている。これから書こうとしているのは、食器棚と本棚のガラスの裏側から差し込んでながめている絵葉書のことである。
二,三年前になるが、川崎歴史博物館だったと思うが、そこを訪ねて売店で何気なく買ったパウル・クレーの「ニーゼン山(Der Niesen)」の絵葉書と、出光美術館を訪ねた時に、見ていると愉快になって買った小杉放菴の「金時遊行」の二枚の絵葉書。これを、(ゴッホや白秋の絵もあるが)ガラス戸にはめている。「金時遊行」は、裸の金時ではなく、大きな絞り柄の赤っぽい着物と、チャコールグレイというといいのか、そういうズボンをはき、左手に鉞を持って、右手と、左足を跳ねあげ、くりくりと肥えて、四、五年生の元気いっぱいの男の子の表情をしている。昭和十二年ごろ書かれたもののようだが、大変気にいっている。パウル・クレーの「ニーゼン山」は、スイスのベルンの家の窓から見えるニーゼン山を、抽象的に青い三角形に描き、町並みはあかるく、諧調のある色彩で、四角、四角を積み重ねて、一本の木は枝を、空には、月と星を描いている。抽象画にしては、叙情的、詩的、諧調的で、これも気に入っている。クレーはベルンに生まれたから、いわば故郷の山を書いたわけであろう。二,三年も見続けていると、青い三角形の大きな山に存在感とともに懐かしさを感じるようになった。
「金時遊行」のほうを進んで買ったせいもあって、三月十一日の東日本大震災が起こるまでは、放菴に軍配をあげていたが、震災のさわぎで、クレーのニーゼン山のほうがよくなった。抽象的なものがよくなったのかどうかはわからないが。そういう気持ちでいた、数日後、日経新聞で、パウル・クレーの絵の特集が三回あった。偶然の重なりとは言え驚いた。今の日本人がクレーを見たがる気分になっているのかとも思えるが、そのことは、よくわからない。
◇生活する花たち「えごの花・ニワセキショウ・アヤメ」(横浜日吉本町)
★豆の花宙に雀が鳴いており 正子
○今日の俳句
蒲公英の絮白々と朝の野に/古田敬二
「朝の野」の少し冷たく覚めきらない野に「蒲公英の絮」の球形がいくつもある様がよい。(高橋正子)
○今日の俳句
蒲公英の絮白々と朝の野に/古田敬二
「朝の野」の少し冷たく覚めきらない野に「蒲公英の絮」の球形がいくつもある様がよい。(高橋正子)
明治神宮
★新緑の枝差し交わす神の杜 正子
瑞々しい新緑の枝が交差し、風に揺れ、サヤサヤと葉ずれの音がして、初夏の清々しい光景に心が洗われます。(井上治代)
○今日の俳句
鳴き交わし夏鳥高き青空へ/井上治代
夏鳥の弾けるような鳴き声が楽しげだ。高く眩しい青空へ飛びゆく姿も生命の楽しさそのものだ。(高橋正子)
○花冠H237月号投句
花楓
高橋正子
花楓枝平らかにみな浮かび
あおられてまたあおられて花楓
四季の森公園四句
水音に蛙の声の増えにけり
谷あいに蛙の声のよく弾み
菖蒲の芽いまようやくに陽がさして
翡翠を待てる杭なり若葉風
山若葉あらしとなって吾を吹けり
おおるりのラジオに鳴きて朝始む
さくらんぼ曇りたる日もつやつやと
日のかげを花にうずまき白薔薇
俳句メモ
四十雀飛びつつ鳴けり街の空
矢車草丘より見ゆる小さき街
ラベンダーはレースのようにみどりの日
なでしこの咲き満ちており黄金週間
憲法記念日ラベンダーを摘み束ね
苺いま白いみどりの実にふくらむ
雀の色みどりの色もあるレタス
まだ青き苺が苺のかたちなる
みつばちの影が生まれて陽が高し
ミニ薔薇・テディベア
玄関に香り充たしてバラ二輪
◇生活する花たち「山ぼうし・はこねうつぎ・デージー」(横浜日吉本町)
★新緑の枝差し交わす神の杜 正子
瑞々しい新緑の枝が交差し、風に揺れ、サヤサヤと葉ずれの音がして、初夏の清々しい光景に心が洗われます。(井上治代)
○今日の俳句
鳴き交わし夏鳥高き青空へ/井上治代
夏鳥の弾けるような鳴き声が楽しげだ。高く眩しい青空へ飛びゆく姿も生命の楽しさそのものだ。(高橋正子)
○花冠H237月号投句
花楓
高橋正子
花楓枝平らかにみな浮かび
あおられてまたあおられて花楓
四季の森公園四句
水音に蛙の声の増えにけり
谷あいに蛙の声のよく弾み
菖蒲の芽いまようやくに陽がさして
翡翠を待てる杭なり若葉風
山若葉あらしとなって吾を吹けり
おおるりのラジオに鳴きて朝始む
さくらんぼ曇りたる日もつやつやと
日のかげを花にうずまき白薔薇
俳句メモ
四十雀飛びつつ鳴けり街の空
矢車草丘より見ゆる小さき街
ラベンダーはレースのようにみどりの日
なでしこの咲き満ちており黄金週間
憲法記念日ラベンダーを摘み束ね
苺いま白いみどりの実にふくらむ
雀の色みどりの色もあるレタス
まだ青き苺が苺のかたちなる
みつばちの影が生まれて陽が高し
ミニ薔薇・テディベア
玄関に香り充たしてバラ二輪
◇生活する花たち「山ぼうし・はこねうつぎ・デージー」(横浜日吉本町)
★森奥のたんぽぽ大方は絮に 正子
○今日の俳句
降り初めの雨粒まるし柿若葉/小口泰與
柿若葉のころは、急に空が曇って降り出すことがある。降り始めた雨粒がまるく、やわらかく、柿若葉にあたる。柿若葉の緑がありありと見える。(高橋正子)
○花冠ツイッター句会
おとといの5月1日から、ツイッター句会を開始。句会は、もともと実際に人が集まり、座の文学として、ずっと行われてきて、今も継続されている。単に句会と言えばそれを指す。俳句雑誌「花冠」は、1983年に創刊し、インターネットが一般に普及しはじめたのが、1995年。その翌年1996年、花冠のウェブサイト「インターネット俳句センター」を開設。翌1997年からは、ネット上での句会をBBS(掲示板)で始め、その後、ブログ句会を立ち上げ、今年の5月1日からは、ツイッター句会を開始した。句会の管理運営は、信之先生が担当。ツイッターによる俳句は、1年以上前から取り組んでいたが、ツイッター句会開始の時がきた。
◇インターネット俳句センター:
http://suien.ne.jp/haiku/
◇ブログ句会:
http://blog.goo.ne.jp/kakan17/
◇ツイッター句会の入賞句(今日の秀句):
http://twilog.org/kakan_syuku
◇デイリ-俳句花冠/ツイッター新聞:
http://paper.li/HaikuKakan
◇生活する花たち「藤・花水木・シャガの花」(横浜市緑区中山)
○今日の俳句
降り初めの雨粒まるし柿若葉/小口泰與
柿若葉のころは、急に空が曇って降り出すことがある。降り始めた雨粒がまるく、やわらかく、柿若葉にあたる。柿若葉の緑がありありと見える。(高橋正子)
○花冠ツイッター句会
おとといの5月1日から、ツイッター句会を開始。句会は、もともと実際に人が集まり、座の文学として、ずっと行われてきて、今も継続されている。単に句会と言えばそれを指す。俳句雑誌「花冠」は、1983年に創刊し、インターネットが一般に普及しはじめたのが、1995年。その翌年1996年、花冠のウェブサイト「インターネット俳句センター」を開設。翌1997年からは、ネット上での句会をBBS(掲示板)で始め、その後、ブログ句会を立ち上げ、今年の5月1日からは、ツイッター句会を開始した。句会の管理運営は、信之先生が担当。ツイッターによる俳句は、1年以上前から取り組んでいたが、ツイッター句会開始の時がきた。
◇インターネット俳句センター:
http://suien.ne.jp/haiku/
◇ブログ句会:
http://blog.goo.ne.jp/kakan17/
◇ツイッター句会の入賞句(今日の秀句):
http://twilog.org/kakan_syuku
◇デイリ-俳句花冠/ツイッター新聞:
http://paper.li/HaikuKakan
◇生活する花たち「藤・花水木・シャガの花」(横浜市緑区中山)