回遊魚の旅日記

時の流れる音をききながら歩いたり歌ったり
少しづつ昔の暮らしをとりもどしつつ。

着物の匂い

2015-08-26 11:01:05 | 町歩き・季節の日記・エッセイ・コラム

絹の匂いなのか、防虫剤の匂いなのか、におい袋の匂いなのか、大事にしまってあったからなのか、

わからないけれど、着物はいい匂いがする。

虫干しのために干しておくだけでもいい匂いがする。

もしかしたら母の匂いなのか。

わたしがいなくなって、この祖母や母からの着物が残ったらこの匂いも受け継がれていくかしら。

昨日あたりから東京は涼しくて気持ちがいい。

扇風機なしでもアイロンがかけられる。少し前は、あんなに夏が好きだったのに、今は秋風が吹くとほっとする。

ハンカチでも衣類でも、アイロンをかけたときにふわっと漂う匂いも好き。(もちろん柔軟剤ではありません^^)

子どもたちが赤ちゃんの頃、泣いたりぐずったりしていると、おむつにアイロンをかけたものだった。

もちろんその頃は布おむつ。

長男の生まれた頃はまだ、母が古い浴衣などをほどいて作ってくれたおむつがあった。

子守り歌でも歌いながらアイロンをかけていると、こどもたちは泣きやんで静かに寝てくれたものだ。

アイロンと布と少しの蒸気の匂い。

それが母親のわたしを落ち着かせてその穏やかな気分がこどもたちに伝染したのかもしれない。

匂い・・嗅覚は視覚や聴覚よりもっと原始的な感覚。

 

 (写真は昨年のもの)