Seasons

花鳥風月を撮りつづけると季節の移り変わりがわかるかも
でも風を撮るのはむつかしいので花鳥虫月だという噂も・・・

家持の正月

2006-01-01 | アート・文化
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            長崎雪景



万葉集 巻第二十

三年(天平宝字三年 西暦759年)春正月一日
因幡国の庁にして
饗(あえ)を国郡の司等に賜ふ宴(うたげ)の歌一首

 新しき年の始めの初春の
 今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)

上の一首は
守大伴宿禰家持作れり


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ハボタン(葉牡丹)=【Brassica oleracea var.acephala】


万葉集全二十巻の最後の歌です。

藤原仲麻呂を除こうとした橘奈良麻呂事件に加担したとして
左遷で前年六月に任じられ因幡(現在の鳥取県
東部)の国守(県知事に相当)であった大伴家持
このとき42歳。

因幡の国は
家持が以前国守に補任された越中の国より
経済力もはるかに劣る格下の国と見られていました。

この歌をよんで
以後68歳で没する(西暦785年)まで
彼は一切歌をよむことをやめてしまいます。

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 ナンテン(南天)=【Nandina domestica】


そういう事実を後知恵でも知ってしまうと

 ああ雪が降っていますねぇ
 雪が積もるようにいいことが積み重なるといいですねぇ

とひたすらのんきに歌い上げようとしていた内面には
すでに彼の苦い渋い人生があったことを
またその苦渋が以後の歌作を断念させるほどであったことを
ついつい読み取ろうとしてしまう訳ですが
ならばこそ

この歌を
中年、初老のおじさん、おばさんとなりつつある
私の知己友人の諸兄諸嬢に
重ねたご苦労とともに寿ぐお正月にふさわしい秀歌として
ここにお届け申し上げます。

しつこいですが
もう一度


 新しき年の始めの初春の
 今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)


あけましておめでとうございます。