太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

CVID

2018-05-15 08:16:18 | 社会観察

新しいCDでもDVDでもない。国会中継や新聞などで最近見聞きする言葉である。Complete,Verifiable,Irreversible Dismantlement の略、「完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄」である。北朝鮮の核・ミサイルに対する国連決議にも出てくるようだが日本の政治家も良くこの言葉を使う。重層的で厳めしい言葉だが、実際にはどのような状態を指すかは定かでない。Complete Dismantlementとは多分違うのだろう。麻生さんが言っていたと思うが、核開発技術者が居たら可逆的だと言ったのは技術者も根絶やしにして教育すらも行ってはならないと言う意味だろうか。それとも単に不可逆的などと言葉に酔いしれてはならないという警句だったのだろうか。化学反応なら不可逆は説明がつくが現実社会では甚だ曖昧な言葉となってしまう。

巧言の安倍さんに対し、麻生さんは剛毅というか庶民的というか下品というか何事も直截的な物言いである。どっちもどっちだがCVIDにはやはり言葉に酔いしれる感はつきまとう。国会中継で野党は日本が射程に入る中距離ミサイルもCVIDの対象となりまさかアメリカが長距離弾道ミサイルの廃棄だけで経済制裁を緩和したら日本も緩和するといったアメリカ追従はしないでしょね、日本に届くミサイルもCVIDの対象でしょうとハードルを上げて迫っていた。一見正しい追及のように聞こえるが不思議なことがある。ちょっと照準を変えれば日本を射程に入れられるミサイルは世界に幾らもあり、それらの国は絶対に日本の敵にはならないのだろうか。いや、同盟やら平和条約によって、また国際協力によってそのようなことはあり得ないというのだろうか。それならば一旦北朝鮮をその仲間に入れてみたらどうだ。ここに来て北朝鮮の目的はやはり金体制の保証のようである。

しかし、考えて見ると他国の保証で体制が維持されること自体が傀儡である。本当は自国民が保証するのであって例えば他国が武力によって制圧したとしても新しい体制の維持は至難である。中東の例を見れば明らかであり、海外からの脅威が除去されても国内をどう治めるかが本当の問題である。恐怖政治で抑えることは永遠には続かない。「前車(ぜんしゃ)の覆(くつがえ)るは後車の戒め」といった故事が北朝鮮にあるかどうかは知らないが北朝鮮の本当の勝負は内政であろう。

大変興味深い提案がある。拉致問題が解決されれば中距離ミサイルはCVIDの対象としないと言ったら世論はどうなるだろう。いや同時解決が前提であると言うのは優等生的回答ではあるがその手順、道筋は見当たらない。もし北朝鮮が拉致解決の見返りに経済支援を求めてきたらどうするのだろう。国連の制裁決議が破棄されない限り応じられないと断るのだろうか。仮定の質問には答えられないと紋切り型逃げ口上では通用しない現実がもうすぐ起こり得る。