ロシアがウクライナに侵攻し、中国の軍事力増強が話題になるこの頃ですが、世界の軍事力の実態はどうなのかを、公表されているデータを使って考察したのがこの本。この一冊で世界の軍事力の概略を把握することができる。また紛争になりそうな地域については著者の考察も入っており、なるほどと思うことも多かった。自分のような軍事に疎い人には大変参考になる。
日本の軍事力は、アメリカの傘下においては十分だが、単独では周りのアジア諸国と比べると突出したものではなく、中国や韓国の軍の急速な近代化、大量の武器はこれから脅威になりそうということだ。
因みに、ウクライナ戦争のニュースを毎日見ているが、侵攻当初によく言われた兵隊や武器の数量で戦力の優劣を決めるのには、少し違和感を感じるようになった。ロシア軍のように、武器を沢山持っていても最新鋭の武器を誇示しても、結局は使う方の人間の能力、軍隊としての統制、管理能力が無いと効果を発揮しない。ウクライナ軍は「知恵」を使って情報を操作し、手の内を明かさずに効果的に防御している印象を受ける。日頃の訓練、危機感の差が出ているのだろう。(この先の事は判らないけれど)
翻って日本の軍事関連の雑誌を読むと、自衛隊の武器や訓練練度の素晴らしさを紹介したものが多く、ミリタリーファンは自衛隊の装備を賛美するけれど、実戦で戦力になるのかどうかは別の問題。自軍の手の内を明かさないというのも情報戦なので、仮想敵国の本当の戦力は有事になってみないと判らない。恐ろしい話だけど。