世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

あれになりたや

2017-12-03 04:16:56 | 詩集・絹の鎖

野の月の清きよこがほ
とほくみて
あれになりたやなりたやあれに

しげくかよひて野の月を
くるほしく見てさまよひぬ
あれになりたやなりたやあれに

凡庸の身をも忘れて苦き身を
掻き捨てて着る
くはしめのかほ
あれになりたやなりたやあれに

浅茅が宿にひとり住む
細月のごとはかなくて
罪なききよき白鶴の
あれになりたやなりたやあれに

泥玉に糞をまぜては投げつけて
月を落とさむ
なりたやあれに

唐紙を切りてなしにし細月の
かたをまとひてなりたやあれに

あれになりたやなりたやあれに
たれ知らぬ野にひとりゐて
花にほほゑむしらつゆの
玉と照る身のうるはしき
あれになりたやなりたやあれに

しらたまのまなこもほほも
ぬばたまの
すぐなるかみもわがものに
おのが罪など忘れ果て
あれになりたやなりたやあれに




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