野の月の清きよこがほ
とほくみて
あれになりたやなりたやあれに
しげくかよひて野の月を
くるほしく見てさまよひぬ
あれになりたやなりたやあれに
凡庸の身をも忘れて苦き身を
掻き捨てて着る
くはしめのかほ
あれになりたやなりたやあれに
浅茅が宿にひとり住む
細月のごとはかなくて
罪なききよき白鶴の
あれになりたやなりたやあれに
泥玉に糞をまぜては投げつけて
月を落とさむ
なりたやあれに
唐紙を切りてなしにし細月の
かたをまとひてなりたやあれに
あれになりたやなりたやあれに
たれ知らぬ野にひとりゐて
花にほほゑむしらつゆの
玉と照る身のうるはしき
あれになりたやなりたやあれに
しらたまのまなこもほほも
ぬばたまの
すぐなるかみもわがものに
おのが罪など忘れ果て
あれになりたやなりたやあれに