これはネイティブアメリカンの絵本の挿絵らしいです。おそらく部族のシャーマンでしょう。バッファローの頭蓋骨を掲げて、何かを祈っているようだ。
今年はケバルライがわたしたちの活動のために長編小説を一つ書いてくれました。今も続いていますが、なかなかに面白いでしょう。かのじょの紡ぐ世界とは全く違うが、彼の個性が出ていて面白い。アシメックが、憎いほどかっこいい。
お気づきでしょうが、アシメックという名前は、スピカの別名のアシメクから来ています。べつに意味はなく、何となく目についたので採用しただけです。ケバルライにはそういうところがある。名前など適当に考えてしまうのです。
物語に登場する人物名や地名も、けっこういい加減ですよ。アルカラ(有るから)、イタカ(居たか)、ケセン(消せん)…、ほらね、オロソ沼のオロソはもちろん、「居るぞ」ですよ。本人に確かめたわけじゃありませんが。
そういう点から言うと、かのじょは名前に凝っていましたね。イスフィーニク、というのはフィングリシア物語のヒロインですが、なかなか思いつかないでしょう。物語を読んでくれた人は知っているでしょうが、五文字以上の難しい名前がたくさん出てきて、ややこしいと感じた人はたくさんいたでしょう。たとえば、フルルイレク、アスキリス、ウリルシルトク、シルタルド、トリュクセグィナ、これみんなかのじょが考えたのです。月の世では動物たちの名前が秀逸でしたね。セムハラシム、カルカヤヒム、ユリヤレイム、六文字でムで終わるで統一されていました。
花や珠玉が好きな人ですから、物語の登場人物にも、きれいな名前をつけたいのです。ここらへんも、女性的すぎると言われるところだ。
だがケバルライは、名前は適当につける。その分、物語は軽やかに進みます。そっけないほど軽い描写を通して、おそろしく明るくておもしろい世界を見せてくれますよ。物語の舞台は紀元前3000年ごろの北アメリカなのだが、名前の付け方がどこか西洋的だ。そこらへんも彼らしい。
かのじょとはまた違う、物語世界を、楽しんでください。