ネルソン・シャンクス
凡庸な顔をした男が、神のような衣装を着ている。猿が化けた仏ほどではないが、どこかいかがわしい。
地球上の全霊を救えるほどの高い聖者でない限り、こんな衣装は似合わないのだ。
天国の鍵を持っている聖者とは、人間存在のすべての魂を救う方法を知っていなければならないのである。
それは人間には無理だ。
ヨハネ・パウロ二世自身はそれほど悪い人間ではないが、本人は今この絵を見たら恥ずかしく思うだろう。彼もまた人間であり、救いの対象であるからだ。
本当の自分というものがどういうものであるかを、確実につかんだものではない限り、人間を救うことはできない。そして未だ、その段階に上れた人類はひとりもいないのである。
解脱の段階にようやく達した人間がわずかにいるくらいだ。
何もわからない無明の闇の時代に、人間は平気でこういうことをしていたのだ。
後々の人間はこれを、実に苦い気持ちで見ることだろう。