さて、今回もこの辺でわたしの出番は一旦終わりです。
少し厳しいことも言いましたね。ですがかのじょのようなやさしい世界をつむぐというのが主な目的なので、ほかの書き手よりはやさしく感じてもらえたはずです。
かのじょは女性のような男の人。苦しいことは言えないのです。あなたがた自身よりも深く、あなたがたの痛みを感じてしまう。先回りしすぎるのですよ。かわいらしいでしょう。
この絵はアメリカの女流画家が描いたものです。なんで選んだかというと、かのじょが好きそうだと思ったからです。黄色い蓮が咲き乱れている中を、二人の女性が船に乗って見ている。美しいですね。まるで天国のようだ。
あの人はこういう世界が好きでした。本当に、花の咲き乱れる天国に住んでいた方が、ずっと似合うような人でした。でも、この世界に産まれてきてくれたのです。こんな天国のような風景などめったにない、暗い田舎の町に生きてくれた。とても厳しく貧しい暮らしを耐えてくれた。なぜかって、あなたがたを助けたかったからです。それ以外にはない。
わたしたちのやることの動機は、いつも愛だけです。
ほかに何もない。保証があるわけではない。給金をもらえるわけでもない。高い名誉があるわけでもない。時にはむごく殺されもする。それなのにやってくる。
あなたがたを深く愛している神を知っているからです。ゆえにわたしたちも、あなたがたを愛さざるを得ない。あなたがたにはまだわかりません。怖いほど、神が人間を愛してくれる、そのわけを、あなたがたはまだわかることはできません。
でも、今はそれがいいのです。わからないからこその失敗はある。だが、二度と繰り返さないと誓えば、未来は見えてくる。
金色の蓮の群れの中に、あの人を幻視してみなさい。幸せにしてあげたいという思いがわいてきたら、もうあなたは次の世界を見ているのでしょう。
もう二度と帰らない愛のために、何をこれからしていけばいいか。
それを考え始めるでしょう。