日々の覚書

MFCオーナーのブログ

産業医

2010年02月11日 16時37分46秒 | 与太話

医者を大きく分類すると、「基礎」と「臨床」に分けられるらしい。「基礎」は、大学なとで医学の勉強や研究に当たる医者で、「臨床」は、病院等の医療現場で患者の診察や治療に当たる人たちだ。世間一般のイメージでは、医者=臨床医という事になろう。実際、医学部なとでも、基礎より臨床の方が人気が高いと聞く。ま、基礎では食っていけないというのもあるだろうし(笑)

実は、上記以外の医者というのも存在する。学校にいた「校医」とか、企業に派遣される「産業医」とかだ。この中で、校医はともかく、産業医というのは、はっきり言ってどうしようもない。医者の落ちこぼれではないか、と思えてならない。

我が社にも産業医がいる。いや、いる、というのは正確ではない。なにしろ、この産業医のセンセイ、ほとんど会社にいないからだ。出社してくるのは、おそらく月に1~2回程度ではないか。ま、産業医というのは、我が社が契約してるというより、保健所かどこかの指導により派遣されてくるのであろうから、多分うち以外にも複数の会社に出入りしているのだろう。それらの会社を順番に回れば、うちに来るのが月1~2回になってしまうのも仕方がない。ただ、それでは、何の意味もないと思うのだが。

ある程度の社員を抱えた企業は、産業医を選任しなければならないそうな。従業員の健康管理等のチェックを義務付けられている訳だ。しかし、うちに来ているセンセイは、そんな事していない。確かに、何ヶ月かに一度、産業医のセンセイによる面談がある。会社で行なった健康診断の結果、やや問題ありとされた社員は受講するようにお達しがあるが、それに該当しなくても、希望する人は受講する事が出来る。しかし、この面談とやら、僕も一度受けたことがあるが、まぁテキトーでひどいもんである。健康診断の結果を見ながら、テキトーな質問をし(3度の食事の時間とか、一日どれくらい歩いているかとか、食べ物の好き嫌いはないかとか)、あーだこーだ一般論(脂っこい物を控えろとか、運動しろとか、タバコ止めろとか)をレクチャーし、一応聴診器を胸に当てておしまい。このセンセイは、血圧やコレステロール値が高い、というのは、そういう良くない食習慣や生活習慣が原因であり、それを指摘してやるのが仕事だと考えているようだ。

確かに、それ自体は間違いではない。しかし、コレステロール値の高い人に対して、食生活が悪いんだ、と説教たれようとしたら、実は見た目に悪い事は何もしてない、というケースも多々あるはずで、結局健康というのは個人によって異なるものであり、個人別にそこそこ詳細なデータがないと、どうすれば血圧やコレステロール値が下がるのか、なんて事は分からない。はっきり言って、会社の健康診断の結果だけでは、そこまではカバーし切れないのだ。だから、産業医のセンセイも、そこいらを踏まえて、適切なアドバイスをしなければならない。けど、センセイのセリフは決まっている。

「健康には個人差があります。かかりつけのお医者さんと相談して、良い方法を見つけて下さい」

だったら、アンタの面談なんて受けるだけ時間のムダじゃないか、と言いたくなる。痩せろだの運動しろだの、勝手な事を言われた挙句、突っ込んだ話になると、自分の領域ではない、と逃げる。それが産業医の実態なんである。産業医はあくまでも、一般的なアドバイスをするだけであって、個々の健康管理までフォローするのは不可能です、というのなら、産業医を選任するメリットなど、何もないではないか。時間と金が勿体ない。

あと、うちの産業医の仕事として、安全衛生管理と称して社内を巡回し、「晴れてるのに傘立てに傘が置いてある。撤去しろ」「ロッカーの上に書類を入れたダンボールが置いてある。片付けろ」「冷蔵庫に賞味期限切れのジュースがあった。始末しろ」と、あれこれケチをつけるというか、口を出す、というのがある。これ、産業医の仕事か? だいたい、傘やらダンボールやらが、安全や衛生と、どういう関係があるのだ? 総務部の連中がチェックするのなら、納得できないことはないが、産業医である。企業の安全衛生管理指導者の立場にあるとはいえ、月に1~2回しか会社に来なくて、しかも来たら来たでつまらん巡回をしてるとは、正に金のムダ。しかも、月一回の安全衛生会議は、ほとんど欠席だし。この僕ですら、月一の会議には、きちんと出席しているというのに。

ま、この産業医のセンセイに限らず、健康診断にやって来て、問診とやらを担当する医者とか、この手の「基礎」でも「臨床」でもない医者、というのはろくなのがいない。何故か。要するに、“志”が低いのだ。医者というのは、人の命を預かる重要な職業であり、それだけに膨大な知識と豊かな経験が要求される訳で、当然医者になろうとすれば、フツーの人の何十倍も勉強しなければならないし、過酷な労働にも耐えなければならない。加えて、人格者でなければならない。人の何十倍も努力し、しかも人の何十倍も優れていなければ、立派な医者にはなれない訳で、だからこそ、世間の人は医者を尊敬するのだし、また医者は高給が保証されているのだ。そういう医者を志望する人たちは、最初は高い志に燃えているのだろうけど、中には徐々に脱落していくのもいるだろう。自分は医者には向かない、と諦める人もいるだろうが、立派な医者にはなれない、或いはなりたくないけど、医者という肩書きで楽な仕事をしよう、と考えるのもいるに違いない。そういう連中は、「基礎」にも「臨床」にも行かず、産業医なんかになったりするのである。

実際、傍で見ていても、産業医って気楽である。企業に行くのが仕事だから、土日祝祭日は確実に休みになる。残業は絶対にない。医療の現場にいる訳ではないので、診察もしなくていいし、急患に対応する事もない。当直だってないし、もちろん手術だってしなくていい。人の生き死にを見る事もない。医者でありながら、これほど楽な商売はあるまい。もちろん、開業医ではないから、高給は保証されないだろうけど、サラリーマン並みの待遇は堅いだろうしね。僕だって、可能ならなりたいくらいだ(爆)

校医も同様では、という意見もあるだろう。しかし、校医(というか、保健の先生?)は産業医と違い、基本的に学校に一人毎日常駐していたし、具合悪い生徒がいると、診察して場合によっては救急車を呼んだり、という処置はしていた。毎日生徒たちを見ているから、全員とは言わないまでも、健康状態とかも把握していた。何もしない産業医なんかとは違うのだ。

ま、そういう、医学を学びながらも、志の低い者が産業医になる訳で、ろくなのがいないのは当たり前。ま、こちらとしては、とにかくセンセイとは呼ばないようにしている。当然でしょ。具合悪くても、診察すらしてもらえないのに、センセイなんて呼ぶ必要ないものね。そしてもちろん、尊敬されることもないのである。

コメント (6)
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