引越しが終わって、その日の夕方、残りの荷物を取りに旧居に行ったら、時計が止まっていました。
時間を見てびっくり。
丁度引越し屋さんとこの家を出た時間でした。
まるでこの家で時間を刻むのはお終い。と言わんばかりに。
これを見た時、ああこの家ともお別れなんだと実感して、涙が出ました。
この時計は、父の勤続何年かのお祝いで、会社から贈られたもの。
実家を建て直す時に捨てると言ったので、昭和レトロ好きな私が貰ったのでした。
ひと月に一度止まります。手でネジを巻きます。面倒だけど、なんか好きなんです。
夫は、新しい家に似合わないから、もう捨てようよ。って言ってたんだけど、私は捨てられなかったんです。
東日本大震災の時も止まりました。振り子時計なので揺れたら止まります。それは物理的にあたり前。
だけど今回の、この偶然。こんな事ってある?
昨日でもなく、明日でもなく、9時でもなく、11時でもなく、ちょうど家を出た時間だよ。
父からのメッセージか? っていうか父まだ生きてるし。
さすがの夫もこの偶然にはびっくりした様子で、もう捨てようとは言わなくなりました。
確かに新しい家には不似合いだけど、ちゃんと君の居場所は作ってあげるから、また一緒に時を刻んでおくれ。