呉市の上蒲刈島の蒲刈中で30日、広島交響楽団のコンサートがあった。昨年3月末で閉校し、同中に統合された下蒲刈中で開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて約1年延期していた。下蒲刈中と同時に閉校になった下蒲刈小、統合先の蒲刈小と合わせた計4校の校歌メドレーもあり、島の教育を未来へつなぐ思いを調べに重ねた。
蒲刈中の体育館で、統合後の蒲刈小中の児童と生徒、教職員計約70人が聴いた。指揮は広響音楽総監督の下野竜也さん(51)。合間に楽器や作曲家の紹介を交え、エルガーの「エニグマ変奏曲」や、チャイコフスキーの交響曲第5番などを披露した。
「一番心を込めた」(下野さん)という校歌メドレーでは、大竹市出身の石本美由起さん(1924~2009年)が作詞したことで知られる下蒲刈小の校歌などを演奏し、喝采が湧き上がった。
下蒲刈島にあった下蒲刈小中の閉校後、児童・生徒はスクールバスで蒲刈小中へ通うなどしている。延期した閉校式は規模を縮小し、昨年8月に開いたが、コンサートはできていなかった。下蒲刈中で最後の校長を務めた蒲刈中の柿林浩彦校長は「ようやく開催でき、一区切りついた。蒲刈の子も一緒に聴けて喜びは2倍になった」と話した。(仁科裕成)