飛沫感染防止ボックスを使って気管挿管などの救命処置の実演をする救急隊員
新型コロナウイルスから救急隊員を守る使い捨ての飛沫(ひまつ)感染防止ボックスを、鳥取県西部広域行政管理組合消防局と米子市内の3社が共同開発した。段ボール製で軽く、救急車内でも5秒程度で組み立てられる。気管挿管などの応急処置の際に患者の頭部にかぶせ、隊員への感染を防ぐ。3月20日から全国販売し、消防庁にも採用を働き掛ける。
3社は自動車用シート縫製のカノン(鳥取県米子市八幡)、設備設計製造の日本マイクロシステム(同市夜見町)、技術コンサルタントのニシモト(同市米原6丁目)。
「エマークイック・プロ」と名付けた製品は、段ボール製ケース(組立時幅40センチ、奥行き26センチ、高さ55センチ)と透明フィルムを使い、視認性と動作性を工夫した。製造元のカノンの竹本利治社長は「米子高専による性能試験で95%以上の飛沫防止効果を確認した。少しでも感染リスク軽減に役立てばいい」と話す。
オープン価格だが、カノンでは1枚2千円以下に抑え、5枚1セットで販売する考え。島根県の松江、出雲、安来各市の消防本部にも寄贈する予定。
同消防局管内では自動車事故で搬送された患者が、病院の検査で新型コロナ感染が判明した例があったという。開発試験に協力した藤山史郎消防局長は「隊員の感染防止にしっかりと活用したい」と歓迎した。
製品化は医工連携による産業振興を目指す中海・宍道湖・大山圏域産学・医工連携推進協議会の実用化支援案件の3例目で、26日に米子市内での実演会で発表した。