ガーシー氏を容認する立花孝志党首の責任は重い、国会法に対する違反 NHK党とれいわ新選組の「ローテーション」問題で共通する認識の低さ
1/28(土) 17:00配信
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ガーシー議員の関係先の家宅捜索をうけ会見に臨むNHK党の立花孝志党首(矢島康弘撮影)
【ニュース裏表 伊藤達美】 「良識の府」と呼ばれる参院が、2つのミニ政党による言動で揺れている。 【写真】参院本会議で空席となっているNHK党のガーシー氏の議席 1つは、昨年の参院選(比例区)で当選したNHK党のガーシー(本名・東谷義和)参院議員が、いまだに登院していないことである。ガーシー氏本人の責任が重いのは当然としても、ガーシー氏を公認し、その対応を容認しているNHK党(立花孝志党首)の責任はもっと重い。 2つ目は、れいわ新選組が体調不良を理由に辞職した参院議員の残り任期について、昨年の参院選比例代表の得票数順に、5人が1年ごとに交代する「れいわローテーション」を導入すると発表したことである。 共通しているのは、国会議員という立場に対する認識の低さである。 れいわ新選組がはき違えているのは、選挙で選ばれるのは国会議員だということだ。それは比例代表も同様で、有権者は政党名で投票する(参院選は政党名でも個人名でも投票できる)が、そこで当選した者は「全国民を代表する」議員となるのである。要するに、選ばれているのは議員「個人」であって、政党ではないということだ。 同党の山本太郎代表は「多様で多彩なメンバーで、国民の負託に応えていくことを目指す」と述べているが、国民が選んだ国会議員という属人的な立場を党首が私物化してよいものか。 一方、ガーシー氏は「議員は、召集詔書に指定された期日に、各議院に集会しなければならない」という国会法5条に対する明確な違反だ。 どちらのケースも罰則はない。だからといって何をしてもいいということにはならない。法不備の是正や懲罰による除名などの手段もあるが、そんなことをするまでもなく、両党首が認識を改めれば済む話ではないか。 憲法は国会議員に対して、その職務を十分に果たせるよう、歳費を受けとる権利など、さまざまな特権を認めている。それは民主主義を維持するためのコストといえる。 近年、「国会議員の歳費は下げるべきだ」とか、「国会議員の数を減らせ」という議論が横行している。もちろん、歳費の水準や国会議員定数を総合的に検討していくことは否定しない。 しかし、「働きが悪い」からといって、国会議員の立場を弱めるような方策は、かえって「劣悪な国会議員」を生み、悪循環を招くことになりかねない。 国会議員の働きが悪いのであれば、「もっと働け」と叱咤(しった)するのが正しいやり方であって、国会議員の立場そのものを否定したり軽んじたりすることはけっして良い結果を生まない。 今回の2つの事案に、「国会議員など、だれがやっても同じ」「国会審議なんか、出ても出なくても関係ない」といった類の世論が背景にあるとすれば、日本の民主主義は相当な危険水域にあるといわねばならない。 (政治評論家・伊藤達美)