南アフリカなどで広がっている新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染者が30日、国内で初めて確認された。入国時に感染者が確認された場合、厚生労働省はこれまで航空機内で近くに座っていた乗客を濃厚接触の候補者としていたが、今回は特例的に、男性と同乗していた乗客70人全員を濃厚接触者とするなど、強い対策で国内流行を防ぐ考えだ。
関係閣僚会議後に記者団の質問に答える後藤厚労相(30日午後6時33分、首相官邸で)=源幸正倫撮影
感染が確認されたナミビア人の男性は、28日夕に成田空港に到着時は無症状だったが、その後に発熱し、現在は入院している。
厚労省は従来、機内で感染者の前後2列ずつ、計5列に座っていた乗客を濃厚接触の候補者としていた。今回は乗客70人全員を濃厚接触者として扱うことについて、後藤厚労相は30日夜、報道陣に対し、「オミクロン株の感染の強さはわかっていないが、非常にリスクが高い事案のため、濃厚接触者を大きく認定することにした」と説明した。70人のうち1人は発熱症状が出たが、この人も含めて現時点で濃厚接触者は全員陰性が確認されている。
小池百合子・東京都知事
一方、東京都は30日、70人のうち約40人が都内関係者だったと明らかにした。濃厚接触者は、入国後14日間にわたり、自宅などでの待機を求められ、期間中は、国などが体調や所在の確認を行う。都はこの約40人について、自宅ではなく、都が運営する宿泊療養施設への移動を調整している。
小池百合子都知事は30日、報道陣に対し、「いったん陰性が確認されたが、危機管理上、措置が必要だと考えて指示を出した。水際で対応することが何よりも重要だ」と述べた。
厚労省は今後、新たにオミクロン株の感染者が判明すればその時点で入院させ、個室管理を徹底してほかの患者との接触を防ぐ。