おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
大阪に来ています。
本町に本社のある会社の新任管理者研修を行っています。
2010年からずっとご用命いただいているので、これで6年目になります。
さて、久しぶりの本の紹介です。
『河合隼雄自伝 ― 未来への記憶』(河合隼雄著、新潮文庫、750円+税)
これはめっちゃおもろい自伝です(関西風になってしまったでしょうか)。
自分のことを学生時代を含めて「劣等感の塊」だったとひょうひょうと語る河合氏のこの本は、その後、数学から臨床心理学に転身し、新しい時代を開いたユング派―というより河合派ーの総帥の河合氏ならではの自伝です。
まさに「魂の半生記」です。
自伝はいきなり弟の死から始まります。
このことは、身近な人の喪失の恐れと、残された兄弟を大事にする意識を高めたことと推測されます。
人脈のありがたさも強調されていて、アメリカ留学中、分析を受けていたシュピーゲルマンから分析料をたった1ドルだと言われたことに対して、疑問を解きながら恩義を感じ、「ここであなたが僕にしてくれたことをぼくはどこでするだろうか」と答え、その後、その意味を組んで同様のことを他者にずっとやり続けたエピソードには深く感動しました。
ちょっと有名になったからといって、受講料を急に上げたり、カウンセリング料を高く設定したりすることは、私のモットーに反します。
バレエで有名なニジンスキーの夫人とのやりとりの中には、ちらっとアドラーの話も出てきます。
この本の全体を通じて、一貫しているのは、(1)河合氏が生涯学び続ける人であったこと、と(2)ジョン・クランボルツの「プランド・ハプンスタンス(Planned Happenstance)」(計画された偶然性)が河合氏を動かしていたこと、です。
家にはまだ読んでいない河合氏の本が何冊かあります。
連続して読んでみたい気がしています。
そんな気持ちにさせてくれた人間味溢れる河合氏の自伝です。
<お目休めコーナー> 7月の花(15)
