おはようございます。ヒューマン・ギルド岩井俊憲です。
「酒井法子から読む『反社会性パーソナリティ障害と嗜癖』」の続編です。
今度こそ『精神病理と心理療法―症例の統合的理解とアプローチ』の第14章「反社会性パーソナリティ障害と嗜癖」をテキストにします。
ただし、引用の本の訳語を私なりに変えているところがあること、私は酒井法子を反社会性パーソナリティ障害の人として決めつけているのではないこと、をご承知おきください。
典型的な反社会性パーソナリティ障害の特徴は、『異常心理学と現代社会(第8版)』(カーソン他)によれば、以下のとおりです。
1.不十分な共通感覚の発達と不安や罪悪感の欠如
2.無責任で衝動的な行動―低い欲求不満耐性
3.他人に印象づけたり他人から搾取し、自分自身の社会的に認められない行動を他人のせいにするための「八方美人」的能力
4.権威に対する否定と、経験からの学習能力の欠如
5.良好な人間関係を維持する能力の欠如
ちなみに、アドラーは、アルコール依存症者などについて次のように記してしています(『人生の意味の心理学』)。
人生の諸問題に取り組むわれわれの気分は、次のような確信にまとめられよう。
問題行動をする子ども、犯罪者、神経症者、精神病者、アルコール依存症者などは、勇気をくじかれているからこそ共同体感覚も欠落しているのである。
アドラーは、勇気をくじかれ、共同体感覚が欠落していることに力点を置いています。
次に、この本では、さまざまな精神病理について次のような概念で特徴づけています。
(1)すべて自己の重要性を見つけるための努力であり、このような人は、誤ったライフ・スタイルを持ち、間違った方法でこれに取り組んでいる。
(2)人生の非建設的な側面を生きている。
(3)勇気をくじかれた人で、共通感覚がなく、自信に欠けている。
さらに分担執筆者は、「人は他者と協力する前に、まず自立しており、自己充足的でなければならない。社会的協力には自己への信頼が先行条件である」(Beecher & Beecher)を引用して次のように続けます。
認められたいとか印象を与えたいという意味での自我が強ければ強いほど、その人の共同体感覚は少ない。
最後に、嗜癖についての記述は、次のようです。
嗜癖だけでなくすべての異常行動は、個人的に重要と感じる外見をもって、体面を保ち、現実とぶつかるのを避けるための間違った行動様式なのである(Lombardi)。注目を集まるために奇妙なことをする人もいる。また自滅的な行動に伴う代償を払ってでも、スターやヒーローと見られるために多くのことをする人もいる。
目的のない嗜癖というものはなく、嗜癖者は快感、アリバイ、うわべだけの自己の重要性や安全を嗜癖行為によって受け取っている。
いかがですか? 少しは『精神病理と心理療法―症例の統合的理解とアプローチ』を読んでみる気になりましたか?
アドラー派のカウンセラーを自任するならば、この本くらい読んでいないと。
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