シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ヘンリー・コスター監督「オーケストラの少女(One Hundred Men and A Girl)」(アメリカ、1938年)☆☆☆☆

2019-09-24 23:14:45 | アメリカ・戦前
 
天才少女歌手と騒がれたダイアナ・ダービン、指揮者で当時の最高権威であったレオポルド・ストコフスキー、そしてフィラデルフィア交響楽団が出演し話題となった作品です。全編に少女の希望と行動、人間の善意が溢れ、心が温まります。原題は「100人の男と少女」。

冒頭、レオポルド・ストコフスキー指揮、フィラデルフィア交響楽団によるチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」第4楽章が流れます。
失業中のトロンボーン奏者、ジョン・カードウェル(アドルフ・マンジュー)を父に持つパトリシア[愛称パツィ](ダイアナ・ダービン)は、父に再び楽団で演奏できる機会をつくってあげたいと願っていました。ジョンはいくつかのオーケストラに楽団員として雇ってくれないかと頼みにまわっていましたが、どこにも相手にされません。しかし、フロスト夫人が失業者楽団を結成し、ジョンもそこに加わります。

パツィは一計を案じ、楽団の指揮をストコフスキーに依頼しようと奔走します。ストコフスキーがオーケストラのリハーサルをしている場所に乗りこみ、パッツイはそこでモーツァルトの「ハレルヤ」を歌い、交渉のきっかけを得ます。しかし、ストコフスキーには既に半年間の欧州旅行の予定が入っていて、失業者楽団の指揮は断られます。しかし、パツィは粘り強く交渉します。

パツィの強引なやり方に、当初は不快感を示していたストコフスキーでしたが、熱意にほだされ、失業者楽団がストコフスキーの前で「ハンガリー狂詩曲第2番」を演奏すると、彼の手がしだいに動き出し、やがていつもの力のこもった指揮をとりはじめます。

ストコフスキーは少女の願いを全面的に受け入れ、楽団員はホールで彼の指揮のもと、感激で胸一杯の演奏をしました。パツィはストコフスキーに挨拶を求められます。その時、聴衆のタクシー運転手から「歌ったらどうだい!」と声がかかります。幸運を感謝し、喜びの涙で頬を濡らしながらのトラヴィアータを歌う少女パッツィ。いつまでも胸に残る感動的なラストシーンでした。
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