シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

パブロ・ラライン監督「スペンサー・ダイアナの決意(原題:Spencer」(イギリス他、2021年、116分)

2024-09-28 20:26:54 | イギリス
 
 

1991年のクリスマス。イギリス王室のロイヤルファミリーはエリザベス女王の私邸、サンドリンガム・ハウスに集まりますが、何かしら異様な空気が流れていました。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の仲が冷え切っていたことがその理由の一つです。

クリスマス休暇を過ごす王室メンバーのなかで、ダイアナ(クリステン・スチュアート)はひとり遅刻。その原因は彼女の道草。隣接する生家スペンサー邸の敷地に入り込み、畑のカカシに着せてあった実父の上着を持ち帰ります。

夫の浮気や王室の特異な風習に疲弊したダイアナは、この頃、奇妙な行動が目立っていました。慣習で暖房を使えず、公式の衣装は朝昼晩ごとにコーディネーターに決められ、行動は全て監視され夫に報告されていました。イブの晩餐会のご馳走はトイレで戻してしまい、夜中にキッチンで盗み食いするダイアナ。

誰かが(意図的に?)置いたようなアン・ブーリンの伝記を読んで魅せられるダイアナ。別の女と結婚するために夫ヘンリー8世によって不貞の罪を着せられ処刑されたアン。ダイアナはアンの身の上に自らを重ね合わせます。

使用人の中にはダイアナの将来を案じ、忠告する者もいましたが、孤独を癒せないダイアナ。クリスマスの晩餐会を中座したダイアナは、今は無人の生家スペンサー邸に入り込み・・。
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アラン・バイロン監督「エリザベス2世 知られざる女王の素顔(原題:The Majestic Life of Queen Elizabeth II)」(イギリス、2013年、94分)

2024-09-26 20:28:27 | イギリス
 


立憲君主制国家のイギリス。この点では日本も同じですが、それは形だけで中身は全然違います。イギリスの皇室のほうが、いい意味で人間くさいですね。(日本の皇室は戦後、アメリカがこの国を傀儡(かいらい)国家として利用するために存続させ、いまに至っています。)
エリザベス2世(1926-2022)は2年前に亡くなりました。この作品は生前に製作されたドキュメンタリー映画です。「王室行事が税金の無駄との国民の声」「ダイアナの事故死に対するエリザベスの姿勢と王宮の対応への批判の声」などもつつみ隠さず収録されています。
エリザベスのほぼ全生涯を、幼少の頃から80歳代後半まで、残っているかなり多数のフィルムと、インタビューで構成しているのが本作品です。
エリザベスは1926年にアルバート公(後のジョージ6世)とエリザベス王妃の長女として生まれました。妹にマーガレットがいます。仲のよい4人家族。
1947年に出自がギリシャのフィリップ・マウントバッテンと結婚。
そして、父ジョージ6世の崩御の後、1952年に女王の地位につきます。
この作品は、第二次世界大戦中と直後の戦勝の空気を経て、その後の女王の座についたエリザベスの戴冠式と連邦諸国訪問、皇太子ウィリアムズとダイアナとの結婚と離婚、ダイアナ事故死とその後の王室の困惑、追悼スピーチ、と続きます。
インタビューに応じているのは次の方々。
映画「クィーン」で女王を演じた女優ヘレン・ミレンの他、G・ランドレス(作家/コメンテーター)、R・レイシー(歴史家/伝記作家)、H・ヴィッカーズ(作家/コメンテーター)、I・スワード(王室雑誌、編集長)、M・ローズ(女王のいとこ)などなど。
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オリヴァー・ヒルシュピーゲル監督「ダイアナ(原題:Diana)」(イギリス、2013年、113分)

2024-09-25 20:29:32 | 日本・戦前
1997年にパリでの交通事故で夭折したウェールズ公妃ダイアナ(1961-97)の最期の2年間(皇太子[後のチャールズ3世]と離婚してから亡くなるまで)を描いた作品です。

離婚後、ダイアナ(ナオミ・ワッツ)はアンゴラでの地雷撲滅などの人道的活動にとりくみました。

その後、パキスタン出身の心臓外科医、ハスナット・カーン(ナヴィーン・アンドリュース)と出会い、新しい人生を見つけました。二人は愛しあいながらも、それぞれの置かれた立場の相違、カーンの親族によるイスラム教サイドからの宗教的偏見が理由で対立します。

他にも、執拗なマスコミのカメラ取材に会い、精神的にきつい生活を余儀なくされます。

直後、大富豪ドディ・アルファイド(キャス・アンバー)との交際関係が浮上。
1997年8月31日未明、ダイアナはドディなどとパパラッチを忌避、ホテルを出てからを猛スピードでコンコルド広場からアルマ広場に向うなか、広場の下のトンネルで他車と接触、車体が中央分離帯に激突します。瀕死状態だったダイアナは、収容先の病院で4時間後息を引き取りました。

バッキンガム宮殿の門扉の前を埋め尽くす献花。世界のダイアナファンが泣き崩れました。
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スティーヴン・フリアーズ監督「クイーン(原題:The Queen)」(イギリス、2006年、104分)

2024-09-22 11:49:29 | イギリス

 
ダイアナ元皇太子妃の事故直後の、王室の混乱ぶり、そして労働党ブレア新首相が国民の弔意と王室の意向との間で奔走する姿を描いています。

主演のヘレン・ミレンは、この作品でアカデミー賞主演女優賞受賞。

1997年5月、総選挙で労働党が勝利。党首のトニー・ブレア(マイケル・シーン)が首相となりました。

首相任命と組閣要請を受けるため、バッキンガム宮殿に居住する女王エリザベス2世(ヘレン・ミレン)の元に拝謁するブレア夫妻との間にはぎこちないも空気がながれていました。

その年の8月31日未明のパリ。ダイアナの乗った車がパパラッチを猛スピードで振り切ろうとして交通事故を起こし、彼女が死亡。

おりしもバルモラル城で静養中であった女王は、ダイアナについて王室を去った民間人であるため何の意思も示さず、ロンドンに戻ることなくバルモラルに留まり続けました。

ダイアナの人気は半端なく、バッキンガム宮殿の献花の列はたえません。

ブレア政権のスピーチライターであるキャンベル補佐官はダイアナの人気に着目。ブレアはダイアナの死を悼む演説をし、国民の心を掴みます。ダイアナの遺体を引き取りにパリに飛んだチャールズ皇太子は、パリでダイアナがいかに敬愛されているかを目の当たりにし、女王や両親、祖母の態度に疑問を抱きます。

女王のかたくなな態度を冷酷と受け止めた国民の不満は高まり、王政の廃止をのぞむ声が25%になる世論調査もでるなかで・・・。
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オリビエ・ダアン監督「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札(原題:Grace of Monaco)」(フランス他、2014年、102分)

2024-09-21 11:56:31 | フランス
「裏窓」「喝采」(1954年製作)などで女優として絶頂期にありながら、スターの座を捨てモナコ公妃となったグレース・ケリー(ニコール・キッドマン)の物語。

モナコ宮殿のしきたりに馴染めず、公務に勤しむ夫レーニエ3世(ティム・ロス)との行き違いが重なる彼女のもとに、映画監督ヒッチコックがやってきます(1961年12月)。新作映画「マーニー」への出演の誘いです。5年振りの出演を喜んだ彼女でしたが、大公妃としての立場を考え憂慮します。

翌1962年。フランス大統領ド・ゴールは長引くアルジェリア戦争の戦費を得るため、モナコ政府に対しフランス企業からあがる税金をフランスへ支払うように要求。大公はこれを拒否。両国の対立が顕在化するなか、大公はグレースの女優復帰をひとまず容認します。

しかし、女優復帰の情報が宮殿内からマスコミにリークされ、グレースは批判の矢面に。

1962年7月、フランスの圧力に屈した大公は課税の支払いを了承しますが、大統領はさらにモナコ企業にも課税しフランスに支払うように要求。

交渉に失敗した大公はグレースに冷たくあたり、女優復帰の話を蹴るように告げます。ショックを受けたグ彼女は離婚を考えます。

そして後見人としてグレースを支えてきたタッカー神父がモナコを離れるという事態に及んで、彼女は・・・。
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アルノー・デプレシャン監督「レア・セドゥのいつわり(原題:Tromperie)」(フランス、2021年、103分)

2024-09-20 12:09:31 | フランス
原作は現代アメリカ文学を代表する作家フィリップ・ロスによる「いつわり」、そしてこの映画の原題も「いつわり」。

邦題にある「レア・セドゥの」は意味不明です。たぶん、美人女優でフランス映画ファンなら誰でも知っている彼女の名前を書き込んでの「客寄せ」です。

「いつわり」は、この映画の主人公のひとり作家フィリップの小説のタイトルでもあります。

映画化しにくい作品をデプレシャン監督が挑戦しましたが、やや観念的、抽象的でわかりにくい心理的会話が横溢した映画です。

主要な舞台は1987年ロンドン。そしてプラハ、ニューヨーク。

夫との結婚生活に不満があるイギリス人女性(レア・セドゥ)は、ユダヤ系アメリカ人の人気作家フィリップ(ドゥニ・ポダリデス)の仕事場を度々訪れ、そこで二人は人生、宗教、愛、社会、互いの夫婦生活に関する会話を交わします。

フィリップは女性との会話を丁寧に書きとめ、次の作品創作に活かしていました。彼のその創作ノートには、NYで入院している昔の愛人、チェコから亡命してきた女性、かつての教え子など複数の女性も登場します。

フィリップの小説の手法は、女性との会話を事細かに書き留め、それを自分の小説にしたてるというもので、結果的に、自分の妻以外に数多くの女性との「関係」があった事を語ることになっています。

その結果、妻に自分の大事な創作ノートを盗み読みされ、自分の仕事場で女性との逢瀬を重ねていたが発覚し・・・。
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星田良子監督「ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター」(2012年、113分)

2024-09-19 12:11:37 | 日本・2010年~
五十嵐貴久による小説「1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター」の映画化です。

舞台は東京・狛江市。

幸せなそうな主婦に見える40代の主婦、井田美恵子(黒木瞳)。かなり立派な家に住み、キッチンも部屋もこぎれいです。

しかし、その実、彼女の心にはフラストレーションがオリのようにたまっていました。自分に無関心な夫(西村雅彦)、引きこもりの娘、嫌みな姑。

そんな彼女は一念発起してコンビニでパートを始めます。

バイトを始めるといろいろな出会いがあります。美恵子の後輩でバツイチの井口かおり(木村多江)が時々、顔をだします。店の商品を万引きする立花雪見(山﨑静代)、お客で謎めいた元ロッカーとおぼしき広田新子(真矢ミキ)。

その矢先、かおりが四人の鬱屈した気分を打ち破るかのように途方もない提案をします。店のドアにロックメンバー募集のお誘いの貼り紙。

新子以外はまともに楽器に触ったこともないないのに何という無謀な提案でした。そうこうするうちに、美恵子の娘が通う紅葉高校でチャリティーコンサートをする具体案が飛び出し余す。それも「ディープ・パープル」の名曲「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が演奏曲に決まります。

練習を続ける四人。美恵子(ボーカル&ギター)、新子(ベース)、かおり(キーボード)、雪見(ドラム)。

ぶつかり合い、解散しそうになりながらも、その日は近づいてきますが・・・

クレジットロールで、夭折した「ザード」の坂井泉水さんの歌声が(泪)

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生野滋郎監督「食べる女」(2018年、104分)

2024-09-18 12:13:15 | 日本・戦前


原作は筒井ともみによる同名小説。

8人の個性的な性格をもち、それぞれユニークな生活に生きる女性たちの物語。
テーマは「食」と「セックス」

その8人とは・・・
■餅月敦子(小泉今日子)あだ名はトンコ。雑文家兼古書店女店主。愛猫シラタマと暮らしています。
■小麦田圭子(沢尻エリカ)あだ名ドド(圭の字を音読み)。トンコの担当編集者。
■白子多実子(前田敦子)番組制作会社のAP。不倫が続くなかで現在の普通の恋人に結婚を申し込まれます。
■本津あかり(広瀬アリス)お酒好き、SEXをした男にひき肉料理をふるまう病的な癖があります。
■茄子田珠美(山田優)BARロマのママ。4人目の子どもを妊娠中です。
■鴨舌美冬(鈴木京香)トンコの幼馴染で、ごはんや「道草」の女将
■豆乃・リサ・マチルダ(シャーロット・ケイト・フォックス)あだ名マチ。料理ができないために離婚の憂き目にあいますが、美冬に弟子入りで料理に開眼。
■米坂ツヤコ(壇蜜)耳のパーツモデルで二児の母。
女性たちの絡みが面白いです。

最後のシーンで、この女性たちが一人づつ、卵かけご飯を食べています。
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アンティ・J・ヨキネン監督「魂のまなざし(原題:Hellene)」(フィンランド・エストニア、2020年、121分)

2024-09-17 12:15:22 | フィンランド


原題は主人公のファーストネームである「ヘレン」です。

フィンランドの画家ヘレン・シャルフベック(1862-1946)の画業と半生を描いています。

彼女の名前は日本ではあまり知られていませんが、近年モダニズムを代表する画家のひとりで世界的に注目を集めています。

彼女の経歴をWIKIPEDIAからかいつまんで整理すると、11歳のころにヘルシンキの「Academy of Fine Arts」に入学して絵画を学び始め、この学校で映画にも頻繁に登場する友人ヘレナ・ヴェスターマルクと出会いました。卒業後はヘルシンキ大学関連のアカデミーで学んだようです。18歳の頃、パリに出て画業を続けます。

1915年、高齢の母親と田舎で暮らす画家のヘレン・シャルフベック(ラウラ・ビルン)は、世間からは遠いところで画業にとりくんでいました。

そんな彼女のもとにある画商が訪ねてきて、運命が大きく転換します。画商はヘレンが描きためていた159点の作品を発掘し、大きな個展開催を計画します。

画商が紹介した19歳年下の青年エイナル・ロイター(ヨハンネス・ホロパイネン)との出会いによって、ヘレンは自らの人生の舵をきります。

抑圧的な家庭にも臆さず、内からあふれ出る魂と情熱に身をゆだねる画家の姿、しかし母や兄との絶えることのない確執と諍いが北欧の美しい自然を背景に描かれています。

エンディングで彼女の代表的作品を丁寧に紹介しています。
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ジャン・ベッケル監督「画家と庭師とカンパーニュ(原題:Dialogue avec mon jardinier)」(フランス、2007年、108分)

2024-09-14 12:17:25 | フランス
 
原題は「わたしの庭師との対話」。

監督は「クリクリのいた夏」(1999年)のメガホンをとったジャン・ベッケル。

生の終焉へと向かう中年男性ふたりの穏やかな日々と素朴な会話のやりとりは、わたしたち鑑賞者に豊かな人生の価値観を再認識させてくれます。
舞台はフランスのカンパーニュ地方。

都会での家族との生活に疲れ、故郷のカンパーニュに戻り、田舎の一人暮らしを始めた画家のキャンバス(ダニエル・オートゥイユ)。妻とは別居同然の生活。画のモデルになってくれている若い女性とつきあっています。

キャンバスは何年も放置し、荒れ果てた庭を手入れするため庭師を雇うことにします。その求人広告を見てやってきたのは、幼ななじみで、カンパーニュを離れずに暮らしていた庭師のジャルダン(ジャン=ピエール・ダルッサン)でした。

再会し旧交を温めるふたりでしたが、ジャルダンは腹の調子がよくなく、庭仕事中に倒れます。あわてたキャンバスは、ジャルダンをパリの病院につれていき、医師は開腹手術をしますが・・・。
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マリヤム・トゥザニ監督「モロッコ、彼女たちの朝(原題:Adam)」(モロッコ他、2019年、101分)

2024-09-13 12:20:06 | モロッコ
 
イスラムの世界では未婚女性が妊娠することはタブー。彼女たちをめぐる厳しい状況を描いた作品です。

舞台はカサブランカ市内。

美容師だったサミア(ニスリン・エラディ)は未婚で妊娠中で、失業中。ドアをたたき仕事をくださいと懸命に職探しますが、妊娠中の彼女に世間は冷淡そのもの。

とあるパン屋にも仕事がないか打診しますが、女主人でシングルマザーのアブラ(ルブナ・アザブル)にも断わられます。途方に暮れたサミアは、夕方になったので仕事探しをあきらめアブラの店の前で一晩寝込むことにします。そんな彼女を見かねたアブラは、一晩だけとの約束で、彼女を家に泊まらせます。

翌日、妊婦であるサミアを心配したアブラは、もう少しの間の宿泊を許します。

サミアは、アブラの一人娘ワルダと仲良し。それも束の間、アブラは世間体が気になり、サミアに出ていくよう言い渡します。

サミアがいなくなったことを知ったワルダは母親に冷たくあたり、ワルダの願いを聞き入れたアブラは二人でサミアを探します。ようやく雑踏の町の中でサミアを発見しますが、彼女は二度と世話にならない、と抵抗。アブラとワルダは、かたくななサミアをやっとのことで説得。家へ連れ戻します。

サミアは父親のいない子どもが社会的な差別を受けることを懸念して、産んだ子を養子に出して自分は実家に帰ると主張しますが・・・。
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ロジャー・ミッシェル監督「ウィークエンドはパリで(原題:Le Week End)」(イギリス、2013年、93分)

2024-09-11 12:21:54 | イギリス
パリ旅行にやって来た熟年夫婦の危機と絆を描いた人間ドラマ。

ある週末。30年目の結婚記念日の想い出づくりに、かつての新婚旅行先のパリを再訪したイギリス人夫婦、大学の講師で根が心配性な夫・ニック(ジム・ブロードベント)と開放的な妻・メグ(リンゼイ・ダンカン)。

思い出のホテルに到着したふたりは、記憶との違いに唖然とします。メグの気転で、ふたりは別の高級ホテル・プラザアテネに乗り込みます。ブレア首相も滞在したという最高級スイートにチェックイン。

生来、好奇心旺盛なメグは凱旋門や美術館を巡り、フランス料理にワインと、旅を満喫しますが、ニックが突然「大学からクビを宣告された」ことを告白。このことがきっかけで、夫婦は長年にわたって溜めこんできた互いへの不満をぶつけます。

そんなおり、街で偶然、二人はニックの大学時代の友人モーガン(ジェフ・ゴールドブラム)と再会。人気作家として名誉と富を手にした彼の出版記念パーティーに招待されますが、ニックは懐かしさとともに劣等感にさいなまれます。出席者たちの前で、メグが明かした夫への「想い」とは・・・。
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フィリップ・ミュイル監督「パピヨンの贈り物(原題:Le Papillon)」(フランス、2002年、80分)

2024-09-08 12:23:22 | フランス
幻の蝶をさがしもとめフランスの野と山を徘徊する老人と幼女、ふたりの会話が秀逸。
主要舞台はパリ、そしてフランス南部のヴェルコールの山。

8歳の少女エルザ(クレール・ブアニッシュ)の楽しみは、放課後にママと二人で映画を観に行き、夕食にハンバーガーを食べること。

それなのに、シングルマザーで看護助手の母親(25歳)は、仕事と友達付き合いで忙しく、いつもエルザの願い叶いません。

エルザと同じアパートに住む老人ジュリアン(ミシェル・セロー)はそんな彼女を見かね、自分の部屋へと招き入れます。現役をしりぞいたジュリアンは、趣味の蝶の蒐集に熱中。気ままな一人暮らしでした。ジュリアンの切実な願いは、ヨーロッパで最も美しいと言われる幻の蝶「イザベル」を手に入れること。

イザベルを探し求めて数年、どうしてもめぐり逢えません。ある日、フランス南部の山に「イザベル」がいるという情報を得たジュリアンは、さっそく車で当地に向います。
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セドリック・クラピッシュ監督「おかえり ブルゴーニュへ(原題:Ce qui nous lie)」(2017年、113分)

2024-09-07 20:53:53 | フランス
ブルゴーニュの美しく広大なぶどう畑が印象に残ります。そこが舞台。

ぶどうの収穫、ワイン醸造のプロセスがいきいきと描かれています。

ワイン製造の経営者の死によって遺された3人の子どもたちの土地の相続、ワイン経営、家族のいきかたをめぐる葛藤が描かれた作品。

ドメース(ワイン生産者)の長男・ジャンは(ピオ・マルマイ)家業に反発して海外のあちこちを放浪し、最終的にオーストラリアでぶどう園を経営し、家族をもったものの音信不通でしたが、父が末期の状態に陥ったことを知り、10年ぶりに故郷に戻ってきました。

そこで、彼は家業を継ごうとしている妹ジュリエット(アナ・ジラルド)と、別のワイン生産業の婿養子となった弟ジェレミー(フランソワ・シビル)と再会します。
父親が亡くなり、残されたブドウ畑や自宅の相続をめぐって様々な問題が出てくるなか、ブドウの収穫時期を迎えます。

3人は相続問題に直面しつつ、当面のワイン作りに協力しますが、ジャンは離婚問題を抱え、ジュリエットは醸造家としての働き方に悩み、ジェレミーは義父との問題に揺れ、それぞれが互いに打ち明けられないでいますが・・・。
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イヴァン・カルヴェラック監督「ムッシュ・アンリと私の秘密(L’Etudiante et Monsieur Henri)」(フランス、2015年、98分)

2024-09-06 20:55:50 | フランス
(フランス流の)ウィットとユーモア健在なり。

自分の人生を行くのを認めない頑固オヤジと、そんな父親との関係に悩む子どもの、心の葛藤がテーマです。

頑迷な老人アンリ(クロード・ブラッスール)と息子のポール(ギヨーム・ドゥ・トンケデック)、ふたりとも個性的で、ユニークな俳優です。演技うまく、表情豊です。

アンリには独り息子の嫁ヴァレリー(フレデリック・ベル)が大キライで、本音はわかれさせたいのです。

そんな老人アンリのアパートに女子学生コンスタンス(ノーミー・シュミット)がやってきて空き部屋に下宿させてほしいと訴えます。彼女は八百屋の口うるさい父親から逃れ、オルレアンからパリにやって来たのです。

はじめは断わられますが、やっとのことで後日、許可されます。

ところが、コンスタンスは触るなと言われていたピアノを弾いていたところを見つけられ、アンリを怒らせます。

信用を失いアパートを追い出されそうになったコンスタンス。必死で謝る彼女に、老人アンリはひとつの話しを持ちかけます。

息子ポールを誘惑し嫁ヴァレリーと離婚させろ、というめっそうもないこと。

そんな汚い事はしたくなかった彼女でしたが学業とバイトで生活がカツカツだったため、6ヶ月分の家賃をタダにしてもらうという条件で引き受けることになりますが…。
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