原作はレマルクの同名の小説です。戦争経験のない老教師に扇動された血気盛んな青年ポール(リュー・エアーズ)は前線で非人間的状況、死の恐怖に遭遇し、戦争そのものに疑問を持ちますが、最後に戦地であっけなく死んでしまうという悲惨な物語です。
戦争の非人間的性格、残酷さ、悲惨さを浮き彫りにした作品です。蝶にむかってのびた兵士の手が一発の銃声で力を失っていくさまを捉えたラスト・ショットは、静かな反戦の表現ですが、衝撃的でもあります。
ポールが休暇で家族のもとに帰ったおり、かつて妹と一緒に蝶を採集し、それを標本として飾ってある部屋で二人が過去を降りかえる場面があります。ポールは最期の一瞬、そのことを思い出したのでしょうか?
反戦的な言辞が前面に語られるわけではありませんが、全編をつうじて戦争の悲惨さが見るものにひしひしと伝わってくる秀作です。
第3回(1929年-30年)アカデミー賞作品賞、監督賞受賞。
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