バレエ界のレジェンド、ルドルフ・ヌレエフ(1938-93)の半生を描いた作品です。
父親の赴任地に向うシベリア鉄道のなかで生まれたルドルフは3歳でバシキール共和国ウファに移住。幼少の頃から舞踊に興味を示し、11歳で当時ウファに転入してきた元ディアギレフ・バレエ団のアンナ・ウデルソヴァにバレエに手ほどきを受けます。17歳でロシアバレエの名門校ワガノワ・キーロフバレエ学院に編入し、本格的にバレエを学びます。名教師プーシキンに師事した後、ソリストとしてキーロフ・バレエに入団。
1961年に、海外公演の途中に亡命。1963年ごろから英国ロイヤル・バレエのゲストとして20近く年上のマーゴ・フォンテインとペアを組みます。1964年にウィーンに活動拠点を移し、1980年代にはパリ・オペラ座バレエ芸術監督に就任、という経歴です。
ホワイト・クロウ(白い烏)というのは「類いまれなる人物」「はぐれ物」の意。
主要な舞台はレニングラード、パリ。
作品の焦点は海外公演の途中の1961年6月16日、パリのル・ブルジェ空港でフランスに亡命するシーンとそこに至るまでの約5週間の滞在期間中の生活と公演での成功です。
作品の展開はそこに至る幼い頃の家族とくに母の想い出、レニングラードのバレエ学校時代のレッスンシーンを織り交ぜ、青年期におけるヌレエフの芸術的鍛錬と人生観の形成を掘り下げています。