会報いしかり
第113号(令和元年7月13:日)
いしかり手打ちそば同好会 初版発行:平成20年9月13日
〒061-3202 石狩市花川南2条6丁目256 URL:http:blog.goo.ne.jp/it sobo
「やってみないことには」
吉岡 鉄史郎
帰札と帰網を繰り返して7月で3年目に入る。夏は高速道路を利用し、冬は夜行の都市間バスを利用する。
高速道路を使用する際にトイレタイムを兼ねて休憩を取る。当初は適当なところで休憩を取っていたのだが、
今は、砂川PAと白滝ICの2ヵ所に決めて休憩を取っている。
5月12日(日)の白滝IC。空は軽やかに晴れ、ひばりの鳴く声が遠くに聞こえる。
道の駅敷地内に、地元の農家さんが春冬を除く夏秋の2シーズン(4月下旬から10月末まで)店を出している。
帰網の途中、必ずといって良いほど店を覗く。種類は少ないが、山わさび、独活(うど)、山ヨモギ、蕗など旬の葉物が店頭に並んでいる。
店の中で目についたのが、山ヨモギ。ビニールの透明な袋に入って2袋しか残ってなかったけど、よほど欲しそうに見ていたのだろう。
店頭のおばちゃん…といっても年は私とそう変わらないだろう…が「1袋200円だけど2袋300円でイイよ」と声を掛けてくれた。
山ヨモギを見た時から、用途は決めていた。100円もまけてもらった嬉しさと、更科に練り込んでいる姿を想像し
、袋を小脇に抱えたまま浮き浮きと車中に収まる。ハマナス同様、乾燥させてミルにかけ粉末に挽いて更科の種物だ。
部屋に戻り、「洗ってはあるけど、ひと洗いしてから使ってね」というおばちゃんの言いつけどおり水洗い。
2~3mm位の芋虫が2匹浮いている。くねくねと体をくねらし泳ぐ仕草は可愛いものだ。でも害虫。つまんで外に放す。
ハマナスもそうであったように3度の水洗いを繰り返し、水切りをし、新聞紙を重ね敷きしたテーブルの上に広げる。
地面に生えているヨモギとは違い、このまま湯がいて灰汁を取り、おひたしにして食べてもいいくらい柔らかい。
室温で10日間放置。茎が硬くなってきたのを見計らって、ハサミを使って葉だけを切る。ミルに入れプラスチックの蓋を閉め、
スイッチON。ウィ~ンという金属音とカサカサというヨモギの葉がこすれる音とともに内刃が回転を始める。
3分間でスイッチOFF。ミルの蓋を取ってビックリ。ハマナスと同じ結果になるものと思っていたが、
何と!綿(繊維)と粉末に分離していた。植物学者でもないので分からないが、実に不思議な現象である。
乾燥させ、葉だけを取りだしたヨモギは31g。分離した綿(繊維)14g、取り出した粉末17g。
唯一残念なのは、このような結果になるとも思っていなかったので袋の中のヨモギの重さは計っていなかったことだ。
保存瓶の蓋を開けると、粉末からはあの独特なヨモギの香りが漂ってくる。二八の更科に使う量は何グラムが必要なのだろう。楽しみがまた増えた。
ミルに挽いて綿と粉末に分離した「なぜ」という現象が頭から離れず、誰に聞いたらいいのかと考えた末、全く無関係ないような場所を思いついた。
無関係といえば無関係だが、毒草の指導も行っているくらいだから全く関係ない訳でもないかと訪問。北海道オホーツク総合振興局の中にある網走保健所だ。
北海道オホーツク総合振興局は、オホーツク圏のくらし・医療・福祉・環境・教育・文化・産業・経済・行政・政策を統括している(HPより)。
保健所の入口は解放されており、入って直ぐに受付カウンター。目ざとく見つけてくれた女性職員が足早に歩み寄ってきた
。ことの次第を話し、植物の組成に詳しい職員がいれば教えて欲しいことを伝える。
そのような職員はいませんが少しお待ちいただけますかといい、奥の方に姿を消す。そうだろうな~、
やっぱり無駄足だったかと思いながら、待つこと5分程度。1枚のパンフレットを手に戻ってきた。
お客様の質問に答えられる職員はいませんが、ここに聞いてみたらいかがでしょうかといってパンフレットを広げる。
こういったところがあるんですね~と相槌を打ちながらパンフレットをめくる。
一通り目を通したあとパンフレットを仕舞おうと手元に引くと、これは差し上げられないんですという。
仕方なく携帯でパンフレットにある住所を撮る。
部屋に戻った頃には12時を過ぎていたため、昼食が終わったのを見計らって電話を入れる。
「公益財団法人北海道立オホーツク圏地域食品加工技術センター」。北見に在所。電話口に出たのはK氏。
保健所に話したことと同じことを伝えたところ、K氏の考え及ぶことを話してくれる。
確認したいので、写真みたいなものがあればいいんだがという。メールアドレスを聞き、写真を送る。
1時間ほどして、K氏の解説と共にPDF資料2枚が添付されている。
おばちゃんが呼称していた「山ヨモギ」の正式名称は「オオヨモギ」。平地に生えているのは「ヨモギ」で葉の形が違う。
綿の正体は、葉の裏に生えている産(うぶ)毛。艾(もぐさ)という。納得。お灸の原料だ。
ヨモギ餅に入れるくらいだから、つなぎとして使っても問題はないと思うが、食用として使うことにはどうだろう。
抵抗はある。胸のつかえの下りた1日だった。
水洗いした生ヨモギ 10日間乾燥させたヨモギ
分離したヨモギの粉末(左)と綿(右)
※ 皆さんからの寄稿をお待ちしています。テーマは問いません。
“ そ ば 識 ” Part14
蕎塾勉強会のおさらい・・・“そばつゆⅡ「そばつゆの種類と製法」”です。
1 辛汁と甘汁
そばつゆは基本的には、「かえし」(醤油、砂糖、味醂)と「出汁(だし)」の処理、濃度を変えた組み合わせできています。
つゆは大きく分けて「辛汁」と「甘汁」の2種類に大別されます。辛汁(からじる)とはざるそばなどつけ汁に用いる濃い汁のことで
、甘汁(あまじる)とは、かけそばなどかけ汁に用いる薄い汁のことです。
2 かえし
かえしとは醤油を「煮返す」からきた言葉とされている合わせ調味料です。醤油の角を取ってまろやかにすることや
、醤油の劣化を抑える、他の料理に使えるなどメリットがあります。
かえしは大きく3つに分けられます。
・本返し:醤油を加熱し、そこに砂糖を加え煮溶かし寝かせる。更科そばなど風味の弱いそばに合う。
・生返し:水で砂糖を煮溶かし、生の醤油に加え寝かせる。藪そばなど風味の強いそばに合う。
・半生返し:砂糖を煮溶かす分だけ醤油を加熱し、残りの生の醤油と合わせる。
「御前がえし」という味醂を使ったかえしの言い方もあります。味醂を入れる理由は甘さの調整やコクの深みなどのほか、
麺に汁が絡みやすくなるためであります。かえしは最低5日間寝かせる必要があり、
毎日味を確かめ、どう醤油が変わっていくか確かめることをお奨めします。
かえしはそば汁の他、いろんな料理に使えますので、作っておくととても便利です。
・焼き鳥などのたれ:かえし1、みりん1
・煮魚:かえし1、出汁1、みりん1
・辛汁、丼つゆ:かえし1、出汁3
・天つゆ、おひたし:かえし1、出汁4
・おでん、鍋物の割り下:かえし1、出汁5
・ぶっかけ、野菜の煮つけ:かえし1、出汁6
・甘汁:かえし1、出汁8 すべて目安ですので、微調整が必要です。
次号は、“そばつゆⅢ「出汁(だし)」”です。
参考図書:「そば打ち教本」
第26回 幌加内新そば祭り
第26回幌加内新そば祭りが令和元年8月31日(土)~9月1日(日)に開かれます。
今回も「白樺」の運営を手伝うことになりました。8月の例会時に参加希望を募りますのでご協力お願いします。
今年の新そば祭りは次のイベントが実施されます。
・8月31日
全麺協素人そば打ち三段位認定幌加内大会
・9月1日
令和元年度北海道素人そば打ち名人大会
全国素人そば打ち「女流」名人大会