伊豆山の花火に鎮魂手を合わす 伊豆山人
盆の月初島照らす灯台か 〃
夕散歩追尾執拗アオマツムシ 豊狂
夏の夕破れ幟と仕舞屋と 〃
猛暑日の真夜中に聞く蝉時雨 流水
寝苦しき闇を切り裂く救急車 〃
かくれ湯へ長き廊下や虫の宿 吟
邯鄲や答え待つかに間を置いて 〃
雲散って空の青さや夏薊 黒薔薇
小川路きらきら泡ふく沢蟹 〃
静けさを奏でる小川赤とんぼ 信天翁
秋立ちてせせらぎの音風の音 〃
遠ざかる昭和夾竹桃の白 紅
連山の青き嶺々雲の峰 〃
小ヤモリが葉っぱの裏で雨宿り ことり
夏休みこのひとときは陶芸家 〃
ボンベ引きずり共に夏生きる 余白
疎開先蝉の鳴く声父の森 〃
縁の糸ただ一心に墓洗う 心
今生を惜しみて鳴ける秋の蝉 〃
赤とんぼ廃墟に沈む夕富嶽 吠沖
こころのなかあちこち迷走夏颱風 〃
七夕や湯気立ちの釜銀河菓子 翠風
七夕や満天の星朝茶事 〃
休み窯空のこころにちちろ鳴く 釣船
原爆忌・敗戦日・盆・無為徒食 〃