一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2192  腰痛の富士浮びおり霾ぐもり  薪

2021年03月11日 | 投稿

(ようつうの ふじうかびおり よなぐもり)

 俳句には、句を作った人の連想を追っていくという楽しみがある。たとえば今回のお題「春一番」の句に、「髪揺らす」があれば、それは「春一番」から「揺れる髪」を連想したということがわかる。こうした連想にこそ、それぞれの人の感性なるものが垣間見えて興味深い。個人差はあるとはいえ、その連想は「髪揺らす」のように共有されていて、お互い理解しあえる。しかし時々、その理解の許容範囲を超える連想もある。今回は、この「腰痛の富士」がそうであった。腰痛で苦しむ富士山!???であった。しかしこうした句は、解釈するために、逆に無茶苦茶な連想が必要となり、自らの連想能力にとってよい刺激となり、その意味でとても貴重である。前回の「目借時蒟蒻踊る鉄鍋で(歩智)」もそうだった。

 この句の季語「霾ぐもり」は、中国大陸からの黄砂などの影響で曇った状態。たぶん、ここからコロナを連想したと思われる。それで外出ができず巣ごもりが原因で、富士「富んだ士(人)」つまり富裕層が、太ってしまって腰痛になり、富士山のようにドテっと動けない状態になっている。しかしながら腰痛の富裕層は、多くの人が沈む中、動けなくても浮かんでいてなにも問題ない。実際富裕層は、コロナ期でも焼け太りで、逆に資産を増やし続けているという話である。一見イミフ(意味不明)ながら、世相をあてこすった素晴らしい作品である(鯨児)

ヤシャブシ(夜叉五倍子)


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