一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

3052  かがり火の音たくましや鵜飼舟  信天翁

2024年07月27日 | 

 掲句の作者は、鵜飼を篝火に焦点を当てて炎の力強さを表現している。鵜飼の句と言えば、芭蕉の「おもしろうて」の句や謡曲「鵜飼」の文言が下敷きになっているかもしれない。

 つまり、芭蕉の鵜飼の俳句「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉  芭蕉」があるからだ。芭蕉のこの句は、能・謡曲の題目である「鵜飼」を下敷きにして作られた、と言われている。

 あらすじは、「安房の国の僧が、老いた鵜使いと出会う。鵜使いによると、『私は殺生の禁制を破った咎めを受けて、殺された鵜使いの亡霊である』と語り、鵜を使った漁の様子を見せた後、闇へ消えてゆく。  鵜使いの悲惨な死を聞いた僧は、甲州笛吹川の石に法華経の経文を書きつけて、老人を供養する。そこに閻魔大王が現れ、殺生の罪により地獄に堕ちるべき鵜使いの老人が、以前従僧をもてなした功徳と法華経の功徳もあって、救いを得たことを知らせる」 尚、この僧は、日蓮と言われている。

 芭蕉の句は、鵜飼見物の一夜が更けて鵜舟が帰るころには、あれほど面白がっていた鵜飼であったが、そのまま悲しく切ない思いへと変わってゆくことだ、という意。

 見物人を集めるほど人気の鵜飼ではあるが、鵜を飼い慣らし、殺生をする行為を残忍ととらえ、止めさせようとする仏教、特に日蓮宗・法華経の教えが基本になっている。

オオバギボウシ(大葉擬宝珠)


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