今日揚羽きのうカナブンあなたなの おぼこ
一椀にじゅんさい故郷父母よ 〃
炎天や帰宅園児の大鞄 豊狂
水垢離の山雀三羽垣越に 〃
夕涼み百合一輪と白うちわ 黒薔薇
駅ホームクルクル手持ち扇風機 〃
炎天下暗渠でスイスイ鮠の群 吠沖
蝉しぐれアブダカダブラ第九波 〃
朝明けの大樹も揺るる蝉しぐれ 信天翁
夕立ちの叩く雨音流る音 〃
夏草の中に遺跡を見つけたり 伊豆山人
今の世は言葉も人もカビやすし 〃
柔らかに闇を切り裂く蛍かな 紅
ハンカチを握りなおして待合室 〃
夏潮や一直線に定期船 吟
ひと筋の蜘蛛の糸あり不動前 〃
水垢離の肌清めたる白き布 流水
夏の夕アンドゥトヮアンドゥトヮワルツかな
涼やかな野球小僧に釘付けよ コトリ
水風呂やジッジジッジと夜の蝉 〃
水垢離や消しゴムカスに溺れそう 心
サングラスマスクに日傘どちら様 〃
何気ない歩みの下に蟻がいた 余白
生きてればミミズつまんで日陰下 〃
緑陰やワンマン列車走りおり 翠風
真夏日に砂丘海辺を歩きけり 〃
朝涼やつるりと剥ける桃の皮 釣舟
神よりも君を頼りに合歓の花 〃
ビヨウヤナギ(美容柳、未央柳)