今は実に便利な時代だ。旅に出るのに、観光マップどころかナビゲーションシステムまで登場している。複数の人工衛星によって位置を確認し、その誤差は数メートルもないという。
しかし鳥達は、ナビゲーターはおろか地図もなしに数千キロの旅を古代から続けている。 ガン、カモ、ツグミ、ジョウビタキなどの冬鳥が、移動に備え、しきりと餌を啄む姿は可憐である。
鳥から見れば、人間の愚かさを笑わざるを得ない。人間は文明の進歩と共に、本能という様々な能力を失い続けているのだから・・・・・・そういう意味で、この句の諧謔は興味深い。