弥生時代、日本に本格的な稲作がもたらされるにつれ、ネズミが繁殖し、それを捕食するキツネが、豊作をもたらす益獣であることを人間は知った。人々は田の付近に祠を作り、油揚げ等を餌付けすることで、鼠を忌避する効果を得た。そしてキツネを神聖視する民間信仰が芽生えた、という。
キツネ施行、キツネの嫁入り、キツネ火、キツネの提灯、キツネ雨などの様々な伝承が生まれ、キツネが神格化された稲荷神社が全国に建てられた。実に人間との関わりが深い動物だったのである。
しかし、それも昔の話、電車、車、ジェット機の時代になって、人間からキツネは完璧に忘れ去られた、と言っても言い過ぎではないだろう。
マンリョウ(万両)