寒林や生きとしもののある気配 稱子
湯たんぽを赤児のように抱いて寝る
遠火事や放火魂疼く夜 鯨児
寒月や道行く人を石に変え
玄関の乱れし靴や去年今年 豊春
仄赤き雲の広がる寒の空
精悍な風貌となり成人日 さくら
駅なかにピアノ響くや寒に入る
雪の夜は踏切の音高くして イヨ
初雪やただ深々と夕の闇
冬花火果てたる闇に孤りをり 凛
雪の日の三千院が好きと君
冬の海月光の道佇まふ 黄玉
満月臘梅寄り添って漣
夫婦にも雑煮の味は郷の色 裕
福寿草箱根七里を駆け抜けて
初泣きは親と娘の卒業式 沙会
書初めは行雲流水と決めにけり
初詣最強守り一つ買う 鞠
早春や古希の祝いの昼の茶事
福寿草ぷいとよそ向く犬の鼻 薪
チーズフォンデュ泡立ちねばる女正月
初雪や紅茶に一匙ナポレオン 洋子
女正月男交じえずいと楽し
スマートフォン操る子の香筆はじめ 炎火
大発会オミクロン株大暴騰
おでん食べ身も心も通い合う 余白
雪だるま汚れ欠けてもおかしけり
猛襲のコロナ六波や小正月 光子
どんど焼き灰かき分けて柚子参上
大寒や野鳥の皿に湯を満たす 雲水
空腹を水で満たすや寒の犬