人間は物事を続け、成長してゆく時、様々な段階を通る。かつて難しかったことがやがて簡単になり、広いと思った道はやがて狭く感じる。初めは大変な勇気を要したことも、繰り返すといつしか当たり前のことになってゆく。
だが、当たり前になってしまったことを当たり前にこなしてゆくことは、かつて恐怖や不安と戦いながら震える足を一歩前に出したことと比べて、例えそれが自分の能力と経験がずっと向上したことの成果でではあっても、果たして尊いことと言えるだろうか。
もし、誰かの表現物が、非常に高いスキルでまとまり、非の打ちどころのない流麗な完成度を持つものに仕上がっていても、それが、表現者自身が不安や恐怖、逡巡、葛藤、そして希望といった人間的な要素から離脱することによって獲得された成果であるならば、それは表現物として本当に、この世界を生きる数多くの人間の精神にとって必要なものとなり得るのか。
慣れてはいけないと言う。初心を忘れるなと言う。朗読者の武器は声と言葉だ。その声と言葉が、「自分の楽にできる範囲内」で、ただその時点でのスキルに応じて形作られたものであるならば、それは誰に届くか。
いや、それは自分自身の内面にすら本当に届くのか。
Poe-Triは昨夜で45回目の開催となった。
それがほんの少しでも、勇気を伴った一歩でありたいと強く願う。
☆☆☆
今回のオープニングを飾るのは、後藤理絵さん。
その静かな言葉には、湧き上がるような怒りと強靭な愛が確かに存在していた。
二番手はイシダユーリさん。
後藤さんの静に対して、こちらは動。叩きつける波動が地下のライヴハウスを満たす。
後半のキャストは初出演・黒川武彦さん。
一見、朴訥に綴られてゆく詩の世界、穏やかな描写の水面下に、人の心の営みが浮かび上がる。
私は「嵐が近づいてきて」「ステアリング」「卒業式」の三篇を朗読した。
今回も、オープンマイクは13枠全てが埋まった。参加してくださったのは登場順に、
死紺亭柳竹さん
工藤さん
今村知晃さん
三木悠莉さん
菊池奏子さん
midoさん
あおばさん
uraocbさん
晴居彗星さん
あしゅりんさん
ジュテーム北村さん
灯汰さん
rabbitfighterさん
という皆さんだった。
出演者、スタッフの方々、お疲れ様でした。
ご来場のお客様、本当にありがとうございました。
次回、Vol.46は、4月4日(水)の開催です。
繰り返しになるけれど、
そこに、新しい勇気を。
だが、当たり前になってしまったことを当たり前にこなしてゆくことは、かつて恐怖や不安と戦いながら震える足を一歩前に出したことと比べて、例えそれが自分の能力と経験がずっと向上したことの成果でではあっても、果たして尊いことと言えるだろうか。
もし、誰かの表現物が、非常に高いスキルでまとまり、非の打ちどころのない流麗な完成度を持つものに仕上がっていても、それが、表現者自身が不安や恐怖、逡巡、葛藤、そして希望といった人間的な要素から離脱することによって獲得された成果であるならば、それは表現物として本当に、この世界を生きる数多くの人間の精神にとって必要なものとなり得るのか。
慣れてはいけないと言う。初心を忘れるなと言う。朗読者の武器は声と言葉だ。その声と言葉が、「自分の楽にできる範囲内」で、ただその時点でのスキルに応じて形作られたものであるならば、それは誰に届くか。
いや、それは自分自身の内面にすら本当に届くのか。
Poe-Triは昨夜で45回目の開催となった。
それがほんの少しでも、勇気を伴った一歩でありたいと強く願う。
☆☆☆
今回のオープニングを飾るのは、後藤理絵さん。
その静かな言葉には、湧き上がるような怒りと強靭な愛が確かに存在していた。
二番手はイシダユーリさん。
後藤さんの静に対して、こちらは動。叩きつける波動が地下のライヴハウスを満たす。
後半のキャストは初出演・黒川武彦さん。
一見、朴訥に綴られてゆく詩の世界、穏やかな描写の水面下に、人の心の営みが浮かび上がる。
私は「嵐が近づいてきて」「ステアリング」「卒業式」の三篇を朗読した。
今回も、オープンマイクは13枠全てが埋まった。参加してくださったのは登場順に、
死紺亭柳竹さん
工藤さん
今村知晃さん
三木悠莉さん
菊池奏子さん
midoさん
あおばさん
uraocbさん
晴居彗星さん
あしゅりんさん
ジュテーム北村さん
灯汰さん
rabbitfighterさん
という皆さんだった。
出演者、スタッフの方々、お疲れ様でした。
ご来場のお客様、本当にありがとうございました。
次回、Vol.46は、4月4日(水)の開催です。
繰り返しになるけれど、
そこに、新しい勇気を。