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JR九州 熊本から東京ゆき 新幹線自由席特急券 ~その2

拙ブログ5月18日エントリーの「JR九州 熊本から東京ゆき 新幹線自由席特急券」で、5時間以上に亘る当該区間について「途中出場はできません。」というのであれば、特急料金を割高な「博多打切り」とせずに通しで計算すべきではないか、という意見を述べさせていただきました。
さらに、JRの理由によって「博多打切り」とするのであれば、熊本~博多間および博多~東京間をそれぞれ別に購入しても同額なので、博多駅での途中出場を認めても良いと思われるということも述べさせていただきました。


   


この意見の根拠は、鉄道の運賃料金というのは鉄道事業者から提示された金額を旅客が支払う、という既成事実が創業時から当たり前のように行われていますが、一般的な商取引には売り手が一方的に価格を提示するだけでなく、買い手の方にも価格交渉をする余地が残されているというところに違いがあるということです。つまり、鉄道の商売には、買い手である旅客には価格交渉をする権利は一切与えられず、売り手である鉄道事業者から言われた運賃料金を払わなければ乗車する権利が与えられないので商取引は成立しないことによります。

「鉄道の運賃料金は国土交通省に届けられて認可されているものだから」と言われればそれまでですが、なんとなくしっくり来ないのです。だから、同好の皆様はどのように思われているのかなぁ、と思っただけです。


この記事を見られた御訪問者様からは、

「価格交渉力がないのはその通りだが、だからこそ、約款があり、認可事業なわけで、他に選択肢がないのならともかく、他の選択肢を含めた中から選んだのだから、説得力ない。」という御意見や、

「民営になるということは、エゴが出ること。」というご意見、

「東海道・山陽区間と九州区間が単純に合算されているのを承知の上なら初めから博多までと博多からを買えばよいだけのこと。」という御意見や、

「国鉄を引きずっている、というよりは、『分割』民営化したが故の弊害が端的に表れた事象であり、どさくさ紛れに小倉・博多の乗継割引を廃止したことと合わせ、会社境界での料金打ち切り計算という既成事実を積み上げるやり口は、感心しない。」という御意見、

さらには、
「消費税増税を機に、運賃まで打ち切りにする腹づもりではないかと勘繰ってしまう。」という御意見を頂戴しました。

その他、
「一方的に金額を押し付けられて一切交渉の余地がないのはJRに限らず公営・私鉄・地下鉄どれも同じ。ある路線を別会社化やバス転換して運賃は打ち切りで値上げとなるケースは過去にJRや国鉄以外にも多数ある。」という御意見、

逆に、
「バス転換などでの打ち切り計算を例に挙げるのは、的外れ。JR鉄道線同士の場合は通し運賃・料金でやっていく、という前提のもとで民営化された。新幹線料金の博多打ち切りは異質。」という御意見や、

「認可事業である鉄道の利用で、全く同じサービスでも個別の交渉で対価が変わるというのは公平性を著しく欠き、ナンセンス。」という御意見、

「JR鉄道線同士の場合は通し運賃・料金でやっていくという前提=正しいとは限らない。民営化して相当の時間がたっているので、前提が成り立たなくなりつつあるという経過はきちんと見ないといけない。」という御意見、

「旅客側に価格交渉権はナンセンス。客と鉄道会社の手間が増えるし、公共交通機関でありながら客扱いの不平等を推進し、現実的でない。」という御意見、

「価格交渉の余地がないのは公共系全般に言えることで、余地がないからこその認可事業。国が価格をコントロールしているので、文句は国に言うべきでありJRに言うべきでない。」という御意見、

「今回のケースは制度的にも博多を境に料金を合算しているわけで、東京から鹿児島中央まで、金額はそのままで大きな三角表で料金を設定すればよい。」という御意見、

「合算なら東日本の新在直通特急の様にするのが良いのでは。」という御意見、

「民営化から26年が経ち、各社独自色を強めているので、成り行きに任せれば運賃・料金を打ち切り計算する方向に進んでしまう可能性がある。なんらかの外部からの力によってでも、その傾向を矯正することも必要ではないか。」という御意見、

「旅客会社の運賃・料金の割引というのは、旅客会社の自主的判断で行うべきものとしつつも、運賃制度の運用上、現行の割引制度が維持されるように最大限配慮するとあるが、最大限の配慮と約束は意味が違い、通し計算に通ずるものとして、同じ山陽新幹線ながら、岡山や新山口、制度上は広島などでも維持されているにも拘わらず、小倉と博多だけ廃止するのは、会社が違うからというだけで、合理性がない。」という御意見、

いままでとは逆に、
「旅客会社の運賃・料金の割引というのは、旅客会社の自主的判断で行うべきものと言っているのだから、会社が違うというのは十分合理性はあると思う。」という御意見、

「千葉~南小谷間のあずさ、長野~大阪間のしなのも5時間以上拘束されますし、もちろん途中下車はできない。寝台特急などは半日以上になる。そういう利用となるきっぷを選択して苦痛だのなんだの言っても、何をいまさらとしか言いようがない。」と言う御意見等がありました。


皆様からいろいろな御意見を伺いましたが、確かにそうだということもあれば、申し訳ありませんがかなり的を外した御意見もあるように感じます。

管理人の予想を外し、中締め後にいろいろな御意見をいただきましたので様子を見させていただきましたが、週末になりましたので、この辺で一区切りつけさせて頂きたいと思います。


中には、「結局は管理人氏は何も無かったかのように次の記事を書き、この件はスルーしている。」というコメントもありましたが、40代半ばの真っ当なサラリーマンが夜な夜な趣味に明け暮れてブログを書き続けることができる筈もなく、週末にまとめて予約投稿して更新しているという現実も理解できずに「酔っぱらった勢い」とまでの暴言をコメントするような方も居られ、「顔が見えないから何を言ってもよい」というネット社会の底辺のようなものを垣間見ることもできました。

また、在来線特急や寝台列車の話の議論は、次元の違う比較対象であり、テーブルの上に乗る余地もありません。


皆様の御意見を拝見していると、思いつかなかったような斬新なものもあり、同じきっぷ同好者の方がいろいろなものの見方をしているということに大変面白さを感じました。


飛行機・鉄道・バスなどさまざまな選択肢の中から新幹線(鉄道)を選んだわけですから、選択した方にも責任があります。

飛行機は速くて鉄道は太刀打ちできませんし、バスは遅いけど運賃面では太刀打ちができません。また、バスは遅いけど、深夜高速運行されるので、翌朝から時間を有意義に使うこともできます。鉄道は飛行機みたいに速くは無いし、運賃もさほど飛行機と変わりません。逆に、早割を使用した飛行機の運賃の方が鉄道より安いことさえあります。しかし、途中の街や景色を見ながら移動することは飛行機には叶いません。

寝台特急について言えば、飛行機の最終便や夜行高速バスの出発時刻より速く出発し、飛行機の1番便や夜行高速バスの到着時刻より遅く到着するのでは、運賃面だけでなく、すべての面で軍配が上がることは無いのです。

利用客はいろいろな考えや基準、時によっては気分でさまざまな移動手段から選択するわけです。

そして鉄道を選択した旅客は、東海道・山陽区間と九州区間が単純に合算されているのを承知の上なら初めから博多までと博多からを買えばよいだけのことなのです。


しかし本当にそうなのでしょうか?


このブログに訪問くださる皆様はきっぷ蒐集に何らかの興味を持っておられる方が殆どであるのではないかと思いますが、この趣味は鉄道の営業規則に密接な関係を持っているという性格がありますので、かなりの方がJRの旅客営業規則を良く理解されていることでしょう。であれば、「東海道・山陽区間と九州区間が単純に合算されている」ということは周知の事実であり、何を今更感があるかもしれません。博多で途中下車するかもしれないのであれば、新幹線自由席特急券を博多で打ち切って2枚に分けて購入すれば良いだけなのです。

しかし鉄道は鉄道趣味者のみを相手にしているわけではありませんから、窓口で乗車券類を買い求める「ふつうの旅客」は、それを知らずに(気づかずに)きっぷを購入してしまうわけです。
窓口の係員がよほど親切で気の訊く方でなければ「料金は変わりませんので、もし博多で途中下車を希望されるのでしたら、特急券を分割しておきますよ」なんて案内をすることなく券を1枚にまとめて発券するでしょうし、MV端末がそんなことをアドバイスしてくれるはずがありません。窓口にある運賃表も、そのようなことを容易に読み取れるようには書かれていません。


また、「運賃交渉はナンセンス」という御意見がありましたが、飛行機や高速バスだって公共交通です。しかし、早割や季節需要・競合路線の有無によって運賃が変わります。たとえば、幹線航路は需要があるために比較的安価な運賃が設定されていますが、競合路線の無いローカル航路の場合、運賃設定は高めになります。こんなことは世界的に当たりまえのことです。

良く見ていると、飛行機の世界では、競合路線が撤退した途端、今まで格安運賃であった路線の運賃が急に値上げされることだって普通にあります。

要は「需要と供給」です。別に、きっぷを購入するときに窓口でいちいち価格交渉をして、もしくはオマケを強請るということではないのです。

しかし、鉄道はどの区間であっても、若干の地方交通路線の割増があるものの、ほぼ同一の運賃率で計算されています。ただ、鉄道が他の交通手段と違うのは、他の手段が座席指定料込みの運賃であるのに対し、鉄道は運賃の他に特別急行料金や座席指定料金などの付帯料金がありますので運賃部分についての議論は難しいかもしれませんが、料金部分については検討の余地があるように思います。
ですので、管理人には「ナンセンス」という言葉の意味することが理解できません。


ちなみに、管理人によるコメント内容の仕分けです。もしかすると同じ方が複数回コメントを入れられているかもしれませんが、それは考慮しないこととして、JRの現状が正しいと感じられている方が22%、JRのやり方に疑問を感じられている方が34%、管理人への御批判が22%、その他の御意見が22%という結果でした。


鉄道業界は、そろそろ開設以来続いている「固定概念」の呪縛から解き放たれて、世の中の他の商売の概念を取り入れる、柔軟な思考をしなければ、寝台特急が衰退してしまったように飛行機や高速バスといった別のインフラに対抗出来なくなる時期がくるのではないのかと思った次第です。

いろいろ異論・反論はあるかもしれませんが、この辺でお開きにしたいと思います。

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