国鉄バス 「◯委」万座温泉駅発行 共通乗継券

1976(昭和51)年3月に「◯委」万座温泉駅で発行された共通乗継券です。


   

白色無地紋のB型券で、東京印刷場で調製されたものです。

前回エントリーで、国鉄草津温泉駅で発行された、共通乗継券の付いた普通乗車券を御紹介いたしました。
その中で、

> 「共通区間」が乗車券の全区間であれば、バスの運転士が原券を回収のうえ、
> 原券発行事業者へ運賃を請求する原券本位での売上精算が可能

としたうえで、

> バスから鉄道への乗換え駅である吾妻線長野原駅から先の
> 東京山手線内各駅まで有効であることから、
> 原券をバス車内で回収することが不可能であるため、
> 回収用の「バス乗継券」が付けられている

と申し上げました。
しかしながら、旅客が予め共通区間以降まで有効のクーポン券を等を所持している場合、回収用の「バス乗継券」が付けられていないため、売上精算ができなくなってしまいます。
御紹介の万座温泉駅から万座・鹿沢口駅までの区間は国鉄バスの他に西武バス(現・西武高原バス)の路線があり、便ごとに担当するバス事業者が異なったため、駅で購入された運賃売上を利用されたバス事業者に配分する必要があることから単独で回収用の「バス乗継券」を発行する必要があり、御紹介の券が発行されていました。

よく見ますと、ホチキスで留めたような穴が開いていますが、窓口で予め所持していた原券を見せて乗車の手続きをする際、「バス乗継券」を発券のうえ、原券にホチキス留めして交付されました。

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国鉄バス 「◯委」草津温泉駅発行 東京山手線内ゆき片道乗車券

1975(昭和50)年9月に、国鉄バス志賀草津高原線の「◯委」草津温泉駅で発行された、東京山手線内ゆきの片道乗車券です。


   

青色こくてつ地紋のA型(変則)相互式券で、東京印刷場で調製されたものです。

本来であれば一般式券で発行されるところではありますが、当時の草津温泉駅~長野原(現・長野原草津口)駅間については国鉄バスの他に草軽交通バスとの共同運行になっており、どちらの会社にも乗車できるように「乗継券」を付ける必要があることから、変則的な様式になっています。この様式は東京印刷場では「共通区間乗車用」と呼ばれていたようです。
「共通区間」が乗車券の全区間であれば、バスの運転士が原券を回収のうえ、原券発行事業者へ運賃を請求する原券本位での売上精算が可能ですが、御紹介の券の場合はバスから鉄道への乗換え駅である吾妻線長野原駅から先の東京山手線内各駅まで有効であることから、原券をバス車内で回収することが不可能であるため、回収用の「バス乗継券」が付けられています。
国鉄バスに乗車した際には売上精算のための請求をする必要がありませんでしたので、「バス乗継券」の回収はされませんでした。


   

裏面です。券番と発行駅名の他、自動車線内が下車前途無効である旨と、東京山手線内各駅では下車前途無効である旨が記載されています。

なお、発行駅名の前に「◯委」の符号が付けられていますが、草津温泉駅は地元自治体である草津町の第三セクターである「草津バスターミナル株式会社」がバスターミナルの施設を維持管理しており、出札業務についても国鉄から受託しているため、業務委託駅の扱いになっていることから付けられています。

バス車内にも運賃箱があるために車内での運賃精算も可能ではありますが、草津温泉駅ではバス乗車時には乗車券を購入してから乗車するよう案内しており、バスに乗車する前に乗車券を購入することが一般的でした。
また、同駅は大きな温泉街の玄関口である駅であるために長野原駅から先の鉄道区間まで乗車する観光客の需要が大変多く、さらに接続駅である長野原駅は窓口が1つしかないことからバス到着後に窓口が混雑し、時期によっては列車の発車時刻までに乗車券類を購入することができなくなる可能性があるため、鉄道への連絡乗車券の発売需要が多かったようです。そのため、窓口上部には全国の国鉄主要駅までの運賃が、長野原駅までの自動車運賃を加算した金額で表示されており、乗車券の他、急行券類や指定券類の発売も行われていました。

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◯委 塩原温泉駅発行 東京山手線内ゆき 片道乗車券

1977(昭和52)年3月に国鉄自動車塩原線の駅である、◯委 塩原温泉駅で発行された、東京山手線内ゆきの片道乗車券です。


   

青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
乗車経路は、塩原温泉~(塩原線)~西那須野~(東北本線)~東京山手線内というルートで、国鉄自動車線と鉄道線の通し乗車券になります。

塩原温泉駅から西那須野駅までの塩原線の営業キロは21.7km、西那須野駅から東京山手線内(東京駅)までの営業キロは151.8kmで、合計すると173.5kmの距離になります。

当時の国鉄の旅客営業規則では、普通乗車券の有効期間は、鉄道区間若しくは航路区間内各駅相互発着又はこれらの区間にまたがる乗車券の有効期間は、営業キロが100キロメートルまでのときは1日、100キロメートルをこえ200キロメートルまでのときは2日とし、200キロメートルをこえるものは、200キロメートルまでを増すごとに、200キロメートルに対する有効期間に1日を加えたものとする、と規定されており、御紹介の券の鉄道区間の有効期間は2日間ということになります。
さらに、鉄道又は航路と自動車線との相互発着(自動車線を通過する場合を含む。)の乗車券の有効期間は、上記の有効期間に1日を加えたものとする、とされておりますので、御紹介の券は鉄道区間の有効日数に自動車線との相互区間に伴う加算によって、有効期間は3日ということになります。


   

裏面です。
東京山手線内各駅では下車前途無効であることのほか、自動車線内は下車前途無効ではありますが、温泉街および牧場という観光地の最寄りである福渡温泉停留所・大網温泉停留所および千本松停留所については途中下車ができる旨の記載があります。

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館山駅発行 南房総定期観光乗車券

見本券になりますが、内房線館山駅で発行された、国鉄バスの南房総定期観光乗車券です。


   

桃色こくてつ地紋のA型矢印式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
見本券なので実際に発売されていたものかどうかは定かではありませんが、1972(昭和47)年に国鉄東京印刷場が発行した硬券見本帳に収納されておりましたので、その頃のものと思われます。
乗車経路は、内房線館山駅から外房線安房小湊駅を経由して小湊山誕生寺へ至る経路のもののようです。

「定期観光乗車券」といっても、券面を見る限りでは最終的に発地に戻る形ではなく、単なる片道乗車券に見えます。定員制乗車の関係と思われますが、乗車月日を指定する欄があることから、立席が可能な路線バスではなく、観光バス用車両を使用した路線であったと思われます。
現在では安房小湊駅にはJRバスの発着は無いようですし、同駅から誕生寺までは徒歩20分くらいの距離のようですが、鴨川市が運営するコミュニティバスが運行されているようです。


   

裏面です。券番の他には発行駅名のみが記載されており、ご案内文の類いの印刷はありません。

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〇自 様似駅発行 自動車線70円区間ゆき片道乗車券

1986(昭和61)年9月に「〇自」様似駅で発行された、様似から70円区間ゆきの自動車線用片道乗車券です。


   

桃色こくてつ地紋のB型金額式券で、札幌印刷場で調製されたものです。

国鉄日高本線の様似駅は、国鉄自動車線である日勝線の駅でもあり、発行駅名の頭にあります「〇自」の符号は自動車線駅であることを示しています。自動車線の様似駅は鉄道と同じ駅舎を使用しており、乗車券の発券窓口も鉄道と同じ窓口でした。


   

裏面です。当時すべての便がワンマン化されており、運賃収受機に乗車券を投入した際、箱の中で裏返しに着地しても金額の確認ができるよう、裏面にも70円の表記があります。


国鉄バス日勝線の歴史は古く、1943(昭和18)年に「苫小牧~浦河~様似~襟裳~広尾~帯広」という鉄道路線の建設計画があり、「鉄道の先行路線」という、鉄道が開通するまでの暫定的路線の位置づけで様似~襟裳間の路線として開業したのが始まりのようです。しかしながら、帯広~広尾間の広尾線がJR民営化直前の1987(昭和62)年2月に全線廃止され、日高本線についても2021(令和3)年3月に鵡川~様似間が廃止されてしまいましたので、日勝線はその殆どがバスだけが生き残る形となって現在に至っています。

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〇自 白金温泉駅発行 美瑛ゆき 片道乗車券

1979(昭和54)年1月に、美瑛線 〇自 白金温泉駅で発行された、美瑛駅ゆきの片道乗車券です。


   

桃色こくてつ地紋のB型相互式大人・小児用券で、札幌印刷場で調製されたものです。
札幌印刷場で調製された相互式券は発駅および着駅の活字に明朝体が使用されているのが特徴的で、他の国鉄印刷場で調製されたゴシック体の券とは趣きが異なります。


   

裏面です。国鉄バスはワンマンカーでの運転のため、降車の際に乗車券を運賃箱に投入して下車しますが、運賃箱に投入された券が裏返しになって着地してしまっても運賃が判るよう、「500円」と大きく印刷されています。


〇自 白金温泉駅は、国鉄北海道総局北海道地方自動車部が運営していた「美瑛線」という自動車線の駅で、発行箇所名の頭には自動車線の駅(自動車駅)であることを示す「〇自」の符号が付けられています。
自動車駅はバスターミナルのような場所ですが、ターミナル内には待合所やきっぷうりばのある駅舎があり、そこでは国鉄全駅への乗車券や特急・急行列車の指定券などを発売していました。イメージとしてはレールが無いことを除けば、鉄道駅と機能的には同じと考えて良いと思います。駅によっては手荷物・小荷物・貨物の取扱いも行っており、貨物専用の自動車駅も存在しており、トラックによる貨物輸送も行われていた路線もあります。

美瑛線は富良野線の美瑛駅から、美瑛町役場前・丸山公園前・不動の滝・白金温泉・国立大雪青年の家(現・国立青少年交流の家)という路線で、白金温泉や国立大雪青年の家への観光路線として位置づけられた路線でしたが、国鉄民営化前の1986(昭和61)年10月に廃止され、現在では一部走行ルートが異なっていますが、地元の道北バスに引き継がれて運行されています。

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〇委 塩原温泉駅発行 栃木ゆき片道乗車券

前回エントリーで塩原温泉駅で発行された宇都宮ゆきの往復乗車券を御紹介いたしました。
国鉄自動車路線である塩原線では千本松・大網温泉・福渡温泉という観光地の最寄停留所で途中下車が可能となっていたようですが、拙ブログ2013年12月14日エントリーの「塩原温泉から東京山手線内ゆき 鉄道連絡片道乗車券」で御紹介いたしました券についても、福渡温泉・大網温泉・千本松の各停留所では途中下車が認められていたことが確認できますので、この取扱いは古くから存在していたものと思われます。


   

やはり見本券ですが、塩原温泉駅で発行された両毛線栃木ゆきの片道乗車券です。青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
乗車経路は、塩原温泉~(塩原線)~西那須野~(東北本線)~小山~(両毛線)~栃木というもので、鉄道営業キロ82.0km、自動車線営業キロ21.7kmの通算103.7kmとなり、鉄道線有効日数2日と自動車線加算1日の有効3日間となります。

こちらは2等級制度時代のもので、時代的に1960(昭和35)年7月1日の改定で2等級制となってから、1969(昭和44)年5月10日の改定でモノクラス制となった時期以前に作成されたものと思われます。


   

裏面を見ますと、やはり観光地最寄の停留所での途中下車扱いが存在しておりますが、この券の場合は塩釜温泉・福渡温泉・大網温泉・関屋宿となっており、該当する停留所が異なります。

国鉄末期では塩釜温泉(現・塩原塩釜)停留所と関谷宿駅が途中下車不可となり、代わりに千本松停留所が追加されています。
途中下車が不可となった理由は定かではありませんが、千本松停留所は近隣にある那須千本松牧場が1960年代中頃から体験型農業施設、飲食、農産物などの物販に力を入れた観光農場になっていった経緯がありますので、それによって観光地として追加されたものと思われます。


現在でも塩原線はジェイアールバス関東の路線として現存していますが、JR東日本の鉄道線との連絡乗車券の取扱いは無く、また、同社ホームページを見ても途中下車の取扱いについての案内はありませんので、この取扱いは終了しているものと思われます。

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〇委 塩原温泉駅発行 宇都宮ゆき往復乗車券

見本券ですが、塩原線塩原温泉駅で発行された、宇都宮ゆきの往復乗車券です。


   

青色こくてつ地紋のA型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
乗車経路の記載はありませんが、塩原温泉~(塩原線)~西那須野~(東北本線)~宇都宮という経路で、西那須野駅から宇都宮までは鉄道線という自動車線から鉄道線へ接続する乗車券になります。


塩原線は国鉄関東地方自動車局管内にある自動車線で、塩原温泉郷への観光輸送と、矢板市北部および西那須野町北西部の農村地域のローカル輸送が主体となっています。
運転業務は西那須野自動車営業所が管理しており、東北本線西那須野駅から三島農場~千本松~関谷宿~大網温泉(現・塩原大網)~福渡温泉(現・塩原福渡)~塩釜温泉(現・塩原塩釜)を経由して塩原温泉駅に至る営業キロは21.7kmの路線を本線とし、支線として矢板北線と日塩線が存在していました。


   

裏面です。自動車線と鉄道線を合算しても片道100km以下ですので下車前途無効となりますが、自動車線内の千本松・大網温泉・福渡温泉が途中下車が可能となっていたようです。


塩原温泉駅は塩原線の自動車駅で、現在でもジェイアールバス関東(JRバス関東)西那須野支店のバスターミナルとなっています。
かつては塩原営業所(国鉄時代は塩原支所)という営業所も併設され、塩原温泉の玄関口としての駅として、自動車線の他、鉄道や船舶を含む国鉄全線の乗車券類を発売可能なみどりの窓口を有する出札窓口があり、売店・喫茶コーナーもある駅でした。しかし、バス路線の一部廃止によってターミナル機能がなくなってしまい、平成10年代後半には窓口が廃止され、現在では「塩原温泉バスターミナル」として塩原線と那須塩原市営バスとの連絡ターミナルとなっています。

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〇自 名古屋駅発行 守山自衛隊・緑地公園前間ゆき 片道乗車券 ~その2

前回エントリーで「〇自」名古屋駅で発行された守山自衛隊・緑地公園前間ゆきの片道乗車券を御紹介いたしましたが、同駅には小児専用券の設備もありましたので御紹介致しましょう。


      


大人・小児用券と同じ1987(昭和62)年3月に「〇自」名古屋駅で発行された守山自衛隊・緑地公園前間ゆきの小児専用片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型一般式小児専用券で、やはり名古屋印刷場で調製されたものです。
様式的には大人・小児用券と同じで、鉄道線用の乗車券と同じ様式です。特に、名古屋印刷場の一般式券は複数の着駅名が横並びに記載されることが多く、その間にはやたら大きい黒丸のような点「●」が特徴です。


   


裏面です。こちらもやはり、料金機対応の金額が印刷されており、大人・小児券が「160」と記載されているのに対し、小児運賃の80円を示す「80」が印刷されています。

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〇自 名古屋駅発行 守山自衛隊・緑地公園前間ゆき 片道乗車券 ~その1

今からちょうど33年前の1987(昭和62)年3月3日に「〇自」名古屋駅で発行された、名古屋駅から守山自衛隊前・緑地公園前間ゆきの片道乗車券です。


   


桃色こくてつ地紋のB型一般式大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
様式的には鉄道線の乗車券と変わりませんが、れっきとしたバス(国鉄自動車線)用の乗車券になります。国鉄バスの乗車券には「国鉄バス経由」、「自動車線経由」や「国バス経由」などの表記があるものが多いですが、このように何も表記が無いものも数多く見かけました。


   


裏面です。料金機対応として金額が裏面にも印刷されています。これは、料金機に投入された際に裏返しになってしまっても金額がわかるようになっています。強いて言えば、この部分がバスの乗車券であることを窺わせています。

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