JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
荻窪駅発行 東京から岐阜羽島まで 新幹線自由席特急券
実家にあったもので、使用したのかしていないのかも分からない新幹線自由席特急券が1枚手元にあります。
いまからちょうど45年前の1980(昭和55)年5月5日に中央本線荻窪駅で発行された、東京駅から岐阜羽島駅までの新幹線自由席特急券です。入鋏が入っていませんし、検札鋏の痕跡もありません。また、無効印等の捺印もありませんので、使用したのかしていないのか、よく分かりません。
裏面です。この券の面白いところとして、券番が5555の「5並び」になっている点です。
これを見たとき、ちょうど45年前のこの日、ある駅で硬券乗車券が飛ぶように売れた出来事を思い出しました。
それはこの券です。昭和55年5月5日の「5並び」の日として、鶴見線昭和駅の硬券乗車券が話題になりました。
御紹介の券は特徴の無い券番のものですが、もし、荻窪駅発行の特急券と同じ券番の「5555」であったら、それは大変なものでしょう。
東京駅発行 小田原・三島間まで 職割用新幹線自由席特急券
1980(昭和55)年10月に、東海道本線東京駅で発行された職割用の東京駅から小田原・三島駅間までの新幹線自由席特急券です。
桃色こくてつ地紋のA型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
裏面です。券番の他、割引証の番号を記入する欄がありますが、記入されている券は殆ど見かけませんでした。
新大阪駅発行 新大阪から東京まで 新幹線自由席特急券(大阪万博混雑対応券)
いままで数回に亘り、EXPO1970日本万国博覧会(大阪万博)の混雑対策として登場した異色地紋の乗車券を御紹介いたしましたが、万博輸送の要になります東海道新幹線の自由席特急券においても、混雑対策とした特殊な券が発行されていました。
大阪万博期間中の1970(昭和45)年8月に、東海道本線新大阪駅で発行された、東京駅までのこだま号自由席特急券です。桃色こくてつ地紋のA型大人・小児用券ですが、大阪万博の混雑対応として、赤横一条引きになっています。
万博期間中、東京駅から新大阪駅および新大阪駅から東京駅への新幹線自由席特急券には4㎜幅の赤一条が、静岡・名古屋地区駅から新大阪駅および東京駅への新幹線自由席特急券には1㎜幅の赤一条がそれぞれ引かれていました。
改札掛員には、到着した列車から一度に大量に下車してくる旅客から回収する特急券の券面を見る余裕がなく、赤い線を頼りに集札業務を行って対応していたようです。
裏面です。券番の他、自由席のため、座席への着席の保証がない旨の注意書きが印刷されています。
(関)富田駅発行 新幹線指定席特急券
前々回エントリーで、岐阜羽島駅で発行された、A型の新幹線指定席特急券を御紹介いたしました。名古屋印刷場では、広島印刷場同様にA型券の新幹線指定席特急券を発行していたようですが、一般的にはD型券で発行していたようです。
1982(昭和57)年12月に関西本線富田駅発行された、名古屋駅から東京駅までの新幹線指定席特急券です。若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
裏面です。券番の他に2列車分の列車指定記入欄があります。
再掲致しますが、岐阜羽島駅で発行されたA型の新幹線指定席特急券です。
A型券では列車指定記入欄に罫線がありませんが、D型券の場合は他の印刷場同様に罫線があります。
広島駅発行 新幹線指定席特急券
前々回のエントリーで山口線津和野駅で発行された、広島印刷場で調製されたA型の新幹線指定席特急券を御紹介いたしましたが、同印刷場ではすべてが特殊なA型券であった訳ではなく、一般的なD型券も発行されていました。
1981(昭和56)年12月に山陽本線広島駅で発行された、広島駅から東京までの新幹線指定席特急券です。若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、広島印刷場で調製されたものです。
御紹介の券は、新幹線ひかり号停車駅である同駅で通常発売されていた訳ではなく、正月用の1ヶ月前の前売用として発行されたものです。マルス券で発券するのではなく、非常用の硬券が使用されています。同様の発行方法は東京駅でも見られましたので、この方が事務的に楽であったのかも知れません。
裏面です。乗車区間の「広島」と「東京」が予め印刷されている完全常備型の券で、着駅まで印刷されているものは比較的珍しいかと思います。
岐阜羽島駅発行 新幹線指定席特急券(閑散期用)
1984(昭和59)年11月に、東海道新幹線の岐阜羽島駅で発行された、岐阜羽島駅から東京駅までの閑散期用新幹線指定席特急券です。
黄褐色こくてつ地紋のA型大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
前回エントリーで御紹介いたしました広島印刷場のようにA型券で発行された新幹線指定席特急券で、全国的に見ても、A型券で発行された例はあまり多くはなかったものと思われます。
裏面です。座席指定については別に発行されていましたので左堰指定の記入はありませんが、一般的なD型券のように、2列車分を記入出来るようになっています。
新幹線指定席特急券は一般的にはD型券で発券されていましたが、この券がなぜA型券で発行されたのか、その理由は不明です。
津和野駅発行 新幹線指定席特急券
1977(昭和52)年3月に、山口線津和野駅で発行された、小郡(現・新山口)駅から東京駅までの新幹線指定席特急券です。
経年で色褪せてしまっていますが、若草色こくてつ地紋のA型大人・小児用券で、広島印刷場で調製されたものです。
広島印刷場では、新幹線岡山駅開業時より、他印刷場のD型券とは異なり、A型の新幹線指定席特急券が発売されていました。
御紹介の券はその頃に発行された券で、登場当初は矢印式の区間表示であったようですが、博多開業時の1975(昭和50)年3月より、三角矢印(▶)に変更されています。
また、岡山開業時以降、硬券の新幹線指定席特急券については座席指定を裏面に記入するようになっていましたが、御紹介の券については表面に座席指定を記入するようになってます。
裏面です。券番の他、表面記載の列車からの乗継列車の指定を記入する欄があります。
一般的に、硬券の新幹線指定席特急券はD型券もしくはD型準常備券が使用されることが多いですが、広島印刷場と名古屋印刷場では、A型券の券が発行された記録があります。ただし、名古屋印刷場では指定を記入する欄は裏面にあり、この時代の新幹線指定席特急券で表面に記入する様式は、かなり珍しいと思われます。
鳥取駅発行 出雲4号 特急券・B寝台券
1983(昭和58)年6月に、山陰本線鳥取駅で発行された、出雲4号の特急券・B寝台券です。
若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、大阪印刷場で調製されたものです。
同駅はみどりの窓口や旅行センターなどのある、県庁所在地の駅になりますが、硬券の指定券類が多く設備されていて、御紹介のような完全常備券も設備していました。
摺沢駅発行 一ノ関から上野まで 新幹線指定席特急券(繁忙期用)
1986(昭和61)年4月に、大船渡線の摺沢駅で発行された、一ノ関から上野までの繁忙期用の新幹線指定席特急券です。
前回御紹介いたしました通常用とは地紋の色が異なり、繁忙期用は黄褐色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
スペースの関係上でしょうか、「一ノ関」と「上野」の活字の大きさ(ポイント)が異なっています。
裏面です。裏面の指定席記入欄は、通常期用のものと全く同一です。
摺沢駅は民営化された後にみどりの窓口が開設されていた時期もありましたが、みどりの窓口は2015(平成27)年に営業を終了し、残された出改札業務についても2022(令和4)年3月に終了してしまい、現在は無人駅になっています。
南仙台駅発行 仙台から東京まで 新幹線指定席特急券
1985(昭和60)年6月に、東北本線南仙台駅で発行された、仙台から東京までの新幹線指定席特急券です。
若草色こくてつ地紋のD型大人・小児用券で、仙台・上野間の常備式券で、東京印刷場で調製されたものです。
裏面です。
新幹線の硬券式指定席特急券は、座席指定を裏面に記入するようになっておりましたので、乗車日以下の情報は裏面になります。御紹介の券は、仙台駅07:48分発のあおば202号用として発行されています。
発駅の「仙台」は印刷されていますが、新幹線の特急券は出場しなければ複数の列車を乗り継ぐことが可能であることからか、着駅の「上野」については空欄になっており、ゴム印で捺印されています。
発行駅の南仙台駅は仙台駅から2駅目の仙台市内の駅で、仙台駅からの新幹線の発売需要はそれなりにある駅でしたが、当時はみどりの窓口のない駅でしたため、区間記入式券の他に、御紹介のような常備式券の設備がありました。
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