下津井電鉄 末期の乗車券

今から18年前の平成2年12月31日、軌間762㎜の軽便鉄道である下津井電鉄が廃止されました。
同鉄道はモータリゼーションによる利用客減少のため、昭和47年3月に茶屋町~児島間を部分廃止し、昭和63年の瀬戸大橋開通を機に観光鉄道への転換を図ったものの、利用客の増加に繋がることはなく、2年後の平成2年に全線廃止されてしまいました。

  images (大人120円区間・表) images (大人120円区間・裏)

  images (小児120円区間・表) images (小児120円区間・裏)

これらは廃線直前に発行されていた乗車券です。
発駅名や発行箇所の記載はなく、金券式の回数券のような感じの券です。
末期は両端の児島駅下電バスターミナルと下津井駅しか乗車券の発売はされておらず、両駅とも同じ券が発売されていました。しかも、日常的に発売日の捺印もされないままの発券でした。

  images (大人200円区間・表) images (大人200円区間・裏)

これは、廃止7年前の昭和55年に初めて訪れた時の乗車券です。
このころの乗車券は廃止直前の券同様の千切り半硬券ではありますが、発駅表示やダッチングによる日付の捺印も行われており、鉄道の乗車券らしさがあります。

なお、双方とも、地紋は「バスじょうしゃけん」というものが使用されていました。

  images (地紋拡大)

見づらいので地紋を拡大してみました。
おそらく、土地柄シンコー印刷製でしょうか。いかにもバス用の券を流用した感じです。

 

本年は、「古紙蒐集雑記帖」にご訪問いただき、ありがとうございました。
来年もまたよろしくお願いいたします。
では、皆様、良いお年をお迎えください。

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JR九州 2枚きっぷ常備券

JR九州の2枚きっぷ(自由席用)の常備券です。

   images (表…再度クリックすると、画像が大きく表示されます。)
   images (裏…再度クリックすると、画像が大きく表示されます。)

2枚きっぷは乗車券と自由席特急券(指定席用は指定席特急券)が2枚づつセットになった、回数券タイプの割引券です。このほかに4枚つづセットになった4枚きっぷもあります。 (JR九州HP

マルスの設備されている駅ではマルス端末によって発券されるようですが、マルスのない小駅では、常備券が設備されているところもあります。
御紹介の券はかっぱの駅舎で有名な、九大本線田主丸駅発行の2枚きっぷです。

   images (田主丸駅)

田主丸駅で発行されている券は吉塚・博多⇔久留米間のもので、発行箇所名補充式の券となっています。
一枚あたり、乗車券470円と特急料金380円の850円ですが、田主丸駅は有効区間外の駅のため、同駅から使用すると久留米までの九大本線区間について別途片道450円が必要となり、合計部分の運賃は920円になります。
しかし、田主丸~博多間の通し運賃1,080円および田主丸~吉塚間の通し運賃1,250円と比べると、若干ですが割安になるようです。

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南小谷⇔中土間の硬券乗車券

平成元年1月28日発行の、JR東日本大糸線の南小谷から中土ゆき硬券乗車券です。

   images

南小谷駅と中土駅は隣駅ですが、さほど需要が見込める区間ではないにもかかわらず、金額式券ではなく、一般式の常備券が設備されていました。
これは南小谷駅がJR東日本の駅であるのに対し、中土駅はJR西日本の駅になるため、同区間の乗車券を単なる金額式にしてしまいますと両社の間での運賃精算業務に支障を来たすことから、敢えて専用の一般式券が設備されたものと思われます。

   images

こちらは逆のパターンで、同じ日に発行された、JR西日本中土駅からJR東日本南小谷駅ゆきの乗車券です。
同じ区間の乗車券でもJR東日本南小谷駅のものは東京印刷場製B型硬券であるのに対し、JR西日本中土駅のものは大阪印刷場製A型硬券と印刷場が異なっており、全く趣が異なっています。

まだ硬券乗車券が健在だったころ、2つの旅客鉄道会社が跨る区間では、隣駅同士なのに乗車券のデザインが全く異なる現象はよくあることでした。
しかし、硬券が廃止されて券売機券やマルス発行券全盛の現在、会社名や券紙の地紋が異なるものの、素人目に見て違う券が発行されるようなことはなくなっています。

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「出羽」号じゃなくて「羽出」号?

  images (昭和60年発行ミス券)

昭和60年10月、羽後本荘駅発行、寝台特急出羽号の秋田ゆき立席特急券です。

寝台特急「出羽」は昭和57年に登場した、上野~秋田間の列車で、客車は24系寝台車、機関車は上野~新津間がEF64、新津~秋田間がEF81が牽引していました。昼行気動車急行「出羽」(上野~酒田)の名前と、夜行急行「鳥海」の運行区間を引き継ぎ、特急に格上げして登場しましたが、夜行列車の需要が減少し、平成5年に上野~青森間を走る寝台特急「鳥海」に吸収される形であっさりと廃止されてしまっています。

上野発秋田行下り「出羽」号は、象潟~秋田間は立席特急券で乗車できるようになっており、羽後本荘7時38分発という発車時間はそこそこ需要があったようで、列車名および区間が印刷された、完全常備の立席特急券が発売されていました。
しかし、この時発売されていた券は「出羽」号の文字が「羽出」号となってしまったミス券で、「出羽」のゴム印で訂正されていました。

  images (昭和61年発行券)

その後、昭和61年に発行されているものは「出羽」号と修正されておりましたが、修正の際にこんどは「号」の文字がなくなってしまっています。

ミス券で設備されてしまったものをすべて売り切ったのか、それとも、再度印刷し直してミス券は返納されたのか、興味のあるところです。

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信越本線御代田駅発行 発駅準常備券

昭和50年9月に信越本線御代田駅(現・しなの鉄道御代田駅)発行された、東京山手線内ゆき発駅準常備券です。

  images (御代田駅発行・新潟印刷場調製)

発駅準常備券は一般的な準常備券の逆バージョンで、最下段に示される駅名が発駅となっており、他駅発の乗車券需要に対応した券です。
国鉄時代は徳島駅や金沢駅などいくつかの例がありましたが、さほど発行例は多くなかったようで、探すのに一苦労の希少券であったようです。

御紹介の券は御代田駅発行の東京山手線内ゆきで、発駅は軽井沢・中軽井沢・小諸が選択できるようになっています。
「東京山手線内 下車前途無効」の注意書きが表面に記載されていますが、スペースの関係で書ききれなかったようで、「東京山手線内」が「山線内」と省略されています。
また、活字が同じポイントなので、一見して着駅表示が「東京山手線内ゆきえ」と言うように読めてしまいますが、これはミスプリントではなく、「え」は設備符号であり、「ゆき」と「え」の間に若干のスペースがあることが分かります。

この様式はJR東日本に民営化されてからも継続して設備されています。
JR東日本では硬券の印刷は東京印刷場に集約され、民営化前に存在した新潟印刷場を始め、仙台印刷場・民間印刷の券についてはすべて東京印刷場に移管されました。そのため、御代田駅の発駅準常備券も東京印刷場調製となりました。

   images (表)  images (裏)

こちらが昭和62年11月に同じ御代田駅で発行された、東京印刷場調製の東京山手線内ゆきの発駅準常備券です。地紋は国鉄地紋のままのですが、JR東日本発行を示す「□東」マークがある、過渡期に発行されたものです。
発駅のバリエーション等、国鉄時代のものと変わりませんが、左上に「□東」マークを挿入した関係なのか、設備符号は発行駅の右側に「(え)」と表示されるようになりました。
また、「東京山手線内 下車前途無効」の注意書きも表面から裏面に移っていますが、本来「東京山手線内各駅( □山表示駅) 下車前途無効」とすべきところ、印刷幅の関係上なのでしょうか、「東京山手線内 下車前途無効」と、昭和50年代前半まで見られた形式で印刷されています。

過渡期の暫定措置終了後も、JR地紋の発駅準常備券が設備されたか否かは不明ですが、御代田駅自体、平成9年10月の長野行新幹線の開業とともにしなの鉄道の駅となりJRの駅名リストから消えてしまいました。

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JR東日本 びゅう商品券

JR東日本が発行する「びゅう商品券」です。

  images (表)  images (裏)

表面は表題と金額が入っており、百貨店で発行されている商品券と基本的には同じ様式で、右側にはホログラムによる偽造防止策が施されています。
裏面には利用できる店舗名一覧と、使用上の注意書きが印刷されています。

位置付けとしては、国鉄時代の「旅行券」に代わるものなのでしょうか、鉄道会社が発行する商品券なだけに、JR東日本とJR北海道の駅や旅行センターで使用することができます。
しかし、なぜだか、その他のJR各社では利用できないようです。

なお、拙ブログとリンクを張らせていただいております、菅沼天虎様のブログ「菅沼天虎の紙屑談義」12月23日エントリーの「JR東日本 びゅう商品券 旧様式券」にて旧様式の商品券を紹介されておられます。トラックバックさせていただきました。

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東急線区間変更券

私事ですが、昨晩、東急電鉄をこよなく愛す友人との忘年会があり、久しぶりに鉄道談義で夜を過ごしました。
これを機に、今回は東急電鉄ネタでエントリーさせていただきます。

  images (再度クリックすると、大きく表示されます。)

これは、東急電鉄渋谷駅に設備されている、補充式の「東急線区間変更券」です。

渋谷駅には東横線と田園都市線が乗り入れていますが、同じ東急電鉄線でも双方の改札は別々になっているため、渋谷駅までの運賃が不足している、もしくは渋谷駅までの乗車券を所持している乗継客が目的駅までの運賃を精算した際に発行されます。

この券は、横浜駅から渋谷駅までの乗車券(横浜→260円区間)で、池尻大橋(横浜から290円)までの区間変更を申し出て発券されたものです。
通常は改札端末にて区間変更の取扱いをするのだそうですが、特別に補充券で発券していただきました。

他社にはない特徴ある様式で、控(乙)片とは複写式とはなっておらず、甲片にも直接ボールペンで記入します。
左下には東急電鉄の社紋が印刷され、右下の発行箇所名は「(東横・田都)渋谷駅発行」となっており、線名を○で囲むことによってどちらの改札で発行されたかを表示できるようになっています。

この記事はMV999様のブログ「叩け!マルス 2」1月3日エントリーの「東急線区間変更券」にトラックバックさせていただきました。

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富内線 日高町駅の補充券の記号表示

廃線を2ヶ月後に控えた昭和61年9月に富内線日高町駅発行で発行された、補充片道乗車券(補片)です。

   images

富内線は日高本線の鵡川駅から日高町に至る全長82.5kmの北海道総局管轄の路線で、国鉄時代の昭和61年11月1日に廃止された路線でした。

北海道総局は昭和45年8月に国鉄の支社制度廃止に伴って、それまでの北海道支社を北海道総局に改称し、さらに札幌鉄道管理局を統合して発足しますが、昭和51年11月には再度札幌鉄道管理局が分離されました。しかし、その後昭和60年3月には再び札幌鉄道管理局は北海道総局に統合され、JR北海道に引き継がれます。

左上に表記されている発行管理局名を示す記号表示は「○道」となっており、北海道総局を示すものと思われます。
富内線は廃止時には北海道総局管内の路線であったものの、昭和60年3月以前は旧札幌鉄道管理局管内の路線であるため、この補片はオフセット印刷の国鉄末期の様式から見て、昭和60年3月以降に設備された、比較的新しい券であると推測されます。

   images

こちらは同じ日に同駅で購入した補充往復乗車券(補往)です。
往復券となると片道券ほどの需要が無かったことが理由であったのか、もしくはたまたま在庫があったからなのかは定かではありませんが、こちらの発行管理局名を示す記号表示は「○札」となっており、札幌鉄道管理局を示す旧券がそのまま使用されているものと思われます。

先にも書きましたように、富内線日高町駅はこれらの券は2ヵ月後には路線廃止と共に廃駅となっており、2ヶ月間の間に北海道総局発行を示す「○道」表示の補往が設備されたのかどうか、興味のあるところです。

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