別線往復乗車券

   images (ゆき券…小倉→鹿児島本線経由→博多)

   images (かえり券…博多→博多・新幹線・小倉経由→小倉)

小倉⇔博多間の別線往復乗車券です。

新下関⇔博多間は在来線経由ですと新下関⇔下関間がJR西日本山陽本線、下関⇔門司間がJR九州山陽本線、門司⇔博多間がJR九州鹿児島本線を通ることになり、新幹線経由ですと新下関⇔小倉間がJR西日本山陽新幹線(山陽本線)、小倉⇔博多間がJR西日本山陽新幹線(鹿児島本線)を通ることになります。

運賃を見てみますと、在来線経由の場合、新下関⇔博多間は1,600円、小倉⇔博多間が1,250円、新幹線経由の場合、新下関⇔博多間は1,450円、小倉⇔博多間が1,110円となります。

新下関⇔博多間が絡む場合、JRの旅客営業規則第16条の3の「新幹線と新幹線以外の線区の取扱いの特例」において、「次の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区に関し、第26条第1号ただし書、第2号ただし書及び第3号にそれぞれ規定する普通乗車券の発売、第68条第4項に規定する鉄道の旅客運賃計算上の営業キロ等の計算方並びに第 242条第2項に規定する区間変更の取扱いにおける旅客運賃・料金の通算方又は打切方については、前条第1項の規定を準用する。 山陽本線中新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・博多間、山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間及び鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間~」とあります。
これはJR西日本JR九州の運賃体系の違いによるもので、JR化後の弊害と言えましょう。

この規則に準じ、新下関~博多間を含む区間については、在来線と新幹線とでは運賃が異なりますが、この区間を含む場合については、ゆき在来線、かえり新幹線(逆も同じ)であっても往復乗車券を発売し、片道601km以上の区間については往復割引が適用されることになります。

前置きが長くなりましたが、ゆき在来線、かえり新幹線を選択して小倉⇔博多間の往復乗車券として発券されたものが、今回エントリーさせていただきました「別線往復乗車券」です。
往路1,250円プラス復路1,110円の合計である2,360円が発売額となります。

ゆき券を見ますと、通常の往復券と違うところは、
  ① 括弧書きで「¥」表示がありませんが、発売額の記載があること。
  ② かえり(復)券の博多→小倉間が新幹線経由であること。
  ③ かえり(復)券の運賃が割引無(片道601km以上の場合は割引前の運賃)で1,110円である旨の記載があること。
  ④ ゆき券の経路コードはC14ですが、かえり(復)券の経路コードがC62である旨の記載があること。
の4点が挙げられます。
かえり券を見ますと、
  ① ゆき(往)券が全線在来線経由のため「---」と記載されていること。
  ② ゆき(往)券の運賃が割引無(片道601km以上の場合は割引前の運賃)で1,250円である旨の記載があること。
  ③ かえり券の経路コードはC62ですが、ゆき(往)券の経路コードがC14である旨の記載があること。
の3点が挙げられます。

このような特殊な様式の「別線往復乗車券」ですが、マルスには独立のメニューとして設定されているようです。

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東京駅 カメレオン作戦

国鉄時代、東京駅の新幹線乗換精算口で発行される硬券入場券は赤色印刷のB型券でした。

   images (通常発売の赤色印刷券)

しかし、過去3回ほど、敢えていつもと違う色の入場券を発売した日がありました。

入場券で入場した旅客が往路のみは正当な運賃・料金を支払って乗車するものの、復路については入場券で入場した上で乗車し、車内の検札を潜り抜け、東京駅で往路に購入した入場券で出場するといった不正乗車が後を絶たなかったため、不正乗車を摘発するために「ある作戦」が実施されました。この作戦は「カメレオン作戦」と呼ばれています。

作戦一回目は昭和52年12月19日から25日にかけての午前11時30分以降に発売された入場券について実施され、期間中は新様式である黒印刷に横赤一条の60円カメレオン入場券が使用されました。

   images (一回目および二回目使用のカメレオン入場券)

作戦二回目は昭和53年12月6日から8日にかけて実施されています。
入場料金は昭和53年7月8日の改定により80円に値上げされていますが、一回目の残券に料金変更印を捺印のうえ実施されました。
しかし二回目の場合は一回目とは違い、午前11時までに発売された分についてをカメレオン入場券での発売とし、一回目の作戦を知っている不正旅客の目を欺くよう、趣向が凝らされています。

   images (三回目使用のカメレオン入場券)

作戦三回目は昭和54年11月18日から20日にかけて実施されています。
このときは昭和54年5月20日の改定によって入場料金が100円に改定されたため、料金変更印の捺印された60円券は使用されずに廃札となり、新たに100円のカメレオン入場券が作成のされてミッションが実施されました。
三回目の場合、入場時間帯によって入鋏を入れる位置が指定されていました。

この時期既に東京駅の当該窓口には印発機が設備されており、ミッション中に印発機で発売された入場券については赤鉛筆で赤一条を引いて対応されました。
また、券売機にて発行される入場券については通常赤地紋の原紙を使用していますが、当時は入場券の券売機は単発式の入場券専用機であったため、緑色の原紙をセットして使用されています。

このようにカメレオン作戦は時間と手間の掛かる作戦でしたが、その実施によって果たしてどれだけの乗客が往路に購入した入場券で出場する不正行為にトライし、結果として失敗してしまったのか、詳しい効果額は不明です。

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有楽町から東京経由横浜ゆき

   images

有楽町駅発行の東京駅経由横浜ゆきの常備連続乗車券です。
有楽町駅は東海道線の普通列車は止まりませんので、横浜へ行くには京浜東北線の電車で行くか、隣の新橋駅で東海道線もしくは横須賀線に乗換えて行くことになりますが、敢えて反対側である東京駅まで行って引き返すルートで設定されています。

東京駅に用事があるか、横浜までどうしても座って行きたいので東京駅から始発電車に乗るなどの理由により発行されるものですが、窓口にはこのような案内は無いものの、「知っている人は知っている」といった感じのもので、常備券を設備するほど需要があったようです。

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路線バス振替乗車票

先日JR中央線の電車が抑止状態になった際、三鷹駅で配布された「路線バス振替乗車票」です。

  images (現行券)

これは列車が事故等で運転見合わせになった際に、路線バスに振替乗車を認めた乗客に配布されます。
駅によっては、路線バスへの振替乗車を取り扱っている駅とそうでない駅があるようですが、そのためか、路線バス用の振替乗車票は他鉄道線への振替乗車用のものと区別されているようです。

ただ、この券は最近様式が変更されたようで、以前はペラペラの用紙に印刷されたものが使用されていました。現行のものは遅延証明書を発行する印字機で印刷しているようで、ツルツルの白い用紙に熱転写印字されたものになったようです。

   images (以前のもの)  images (現行の遅延証明書)

以前の様式は下部にパンチで日付を刻む欄があり、発行駅名は補充式のものでしたが、現行券はすべてが一括印字されています。
また、右上には遅延証明書同様に券番が打たれています。

   images (国鉄時代…表)  images (裏)

路線バスへの振替乗車制度は国鉄時代もあり、やはり他鉄道線への振替乗車用のものと区別されていたようです。
当時のものは「連絡乗車票」という赤印刷のB型硬券で、路線バスへの振替乗車票であるとは思えないものでしたが、裏面の注意書きには「この票は、降車の際お渡しください。」と書かれており、路線バスから降りることを伺わせる表現になっています。

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綾瀬から北千住ゆき


本日、拙ブログのエントリーが開始されてから、おかげさまで2周年を迎えることができました。不定期ではありますが今日に至るまで何とか更新を続けられましたのも、皆様のおかげと感謝いたしております。ありがとうございます。
アクセスカウンターによりますと、昨日までの2年間で、アクセス数は201,451件、ご訪問者数は120,396名を数え、本当にたくさんの方にご訪問いただきました。今後とも拙ブログを御贔屓のほど、よろしくお願いいたします。

さて、第1回目の記事にて綾瀬駅の硬券入場券についてエントリーさせていただきましたが、2周年を記念して(?)綾瀬駅関連の乗車券についてエントリーいたしましょう。

綾瀬駅は昭和46年4月20日に帝都高速度交通営団(現・東京メトロ)千代田線の開通と同時に交通営団に移管され、現在も東京メトロ管理の駅となっています。
以前は営団地下鉄管理の駅にも拘らず国鉄の入場券が発売されていましたが、現在は他の東京メトロ駅同様発売されていません。

  images (綾瀬駅発行の国鉄入場券)

これはかつて綾瀬駅で発売されていた硬券入場券です。東京印刷場製の首都圏用の硬券入場券には発行箇所名の記載がありませんが、右下には社線駅発行を示す「○社」の表記がありました。

綾瀬駅~北千住駅間はJR常磐線と東京メトロ千代田線が重複する特殊な区間となっており、JRの旅客営業規則では、第16条の5(常磐線北千住・綾瀬間相互発着となる旅客の取扱い)において、「常磐線北千住・綾瀬間相互発着となる旅客に対しては、乗車券類の発売を行わないものとする。」と規定されていることは乗車券収集家の間では有名ですが、北千住・綾瀬間相互間の乗客に対する乗車券は東京メトロにて発売されます。
ただし、東京メトロの運賃は初乗り運賃は160円のため、同区間の運賃はJRの初乗り運賃の130円に合わせた特定運賃が適用されています。
(実際、反対方向の亀有ゆきの乗車券はJRの綾瀬から130円区間の券が発売されており、北千住・綾瀬間相互間をJRの130円券で乗車しても特に問題は無いようです。)

   images (旧型タッチパネル式)  images (新型タッチパネル式)

綾瀬駅の券売機で購入した、東京メトロの北千住・綾瀬間相互発着の乗車券です。左が旧型のタッチパネル式券売機のもので、右は新型のタッチパネル式のものです。記載されている内容は同じですが、字体がかなり違っています。
現在、綾瀬駅の券売機は上記の2機種だけで、東口・西口共に新旧の券売機が並んでいます。

また、東口出札窓口にはJRのマルスが設備され、綾瀬駅発JR全線の乗車券の発券が可能ですが、北千住ゆきの乗車券だけはJRの旅客営業規則により発券することができません。

   images (東京メトロ補充券によるもの…再度クリックすると大きく表示されます)

そのため、窓口発券の場合は東京メトロの補充券で発券することになります。

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市川駅の大人専用入場券

平成2年ごろ、JR東日本の千葉支社管内の駅で、一度は軟券化された硬券入場券が再び発売されました。
様式は通常の大人・小児用入場券が主でしたが、なぜか総武本線市川駅の硬券入場券だけは大人専用券での発売となっていました。

   images

特に集中印刷方式が採用されたとか言うわけではなく、小面印刷での調製で、小児用券の影文字を省略して料金を大人料金にしたような券です。
当時、小児用券の設備があったかどうか確認することを失念いたしましたが、なぜこのような様式で登場したのか謎です。

東京印刷場管内では大人専用入場券は東京駅新幹線乗換精算口に100円時代の赤券が設備されていた記憶がありますが、需要が多い口座であったために集中印刷方式で調製されており、小面印刷の大人専用入場券は他に例を知りません。

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甲府から甲府ゆき

菅沼天虎様のブログ「菅沼天虎の紙屑談義」9月11日エントリーの「甲府から東京都区内ゆき」の記事の中で、氏の仰せの通り、甲府駅には身延線・東海道線・中央本線経由となる「甲府から甲府ゆき」の常備片道券の設備が存在していた痕跡がありましたので御紹介いたします。

   images

これは見本券ですが、交通公社(現・JTB)甲府支店発行の甲府から身延線・東海道線・中央本線(新宿)経由甲府ゆきの常備片道券です。
見本券のため実際に発売されていた口座なのかどうかは定かではありませんが、長距離券であるにも拘らずB型硬券となっている様式から推測するに、まだ戦後の物資が潤沢ではなかった昭和20年代後半のもののようです。
もしこの口座が実際に存在していたと仮定すると、発行箇所が「○交甲府」となっておりますが、甲府駅窓口にも同様の口座があった可能性も否定できません。

このような乗車券が存在した背景には、往路に身延線経由で富士宮・富士・吉原・沼津・三島・熱海・小田原・横浜等で所用を済ませて東京方面へ旅行し、復路は東京から中央本線でまっすぐ甲府へ帰るという需要がそこそこあったものと思われます。
また考えられることとして、甲府から中央本線(新宿)・東海道線・身延線経由で甲府へ帰る、逆回りの常備券も存在したかもしれません。

この記事は菅沼天虎様の「菅沼天虎の紙屑談義」9月11日エントリーの「甲府から東京都区内ゆき」にトラックバックさせていただきました。

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三鷹駅プラットホームの自由席特急券発売機

8月下旬、JR東日本中央線三鷹駅の松本方面ゆき(3.4番線)ホームの東京寄りに、自由席特急券専用の券売機が設置されました。

   images (三鷹駅ホーム券売機)

何か工事をしているのは通勤途中で見ていたので気づいておりましたが、突然券売機小屋が現れたのには驚きました。

   images (タッチパネル表示部分)   images (券売機全容)

小屋の中には旧型のタッチパネル式券売機が1台据え付けられていました。
SuicaやPASMOも使用できるようで、発売区間は立川~竜王間のみのようです。
また、ホーム内のため、乗車券の発売機能は一切ありません。

   images (ホーム券売機発行の自由席特急券)

早速試しに小児用最短区間特急券を購入してみました。
縦型85mm券で特に目立った特徴はありませんが、発行箇所名が「三鷹駅F11」となっており、「F」の文字は「ホーム」を表すものと思われます。
良く見ると縦に3本ほどのスジが入っており、印字ヘッドに疵があるようです。恐らく、どこかの駅で新型タッチパネル式券売機へ交換されたために発生した余剰機器を使用したものと思われます。

   images (コンコースの券売機発行の自由席特急券)

三鷹駅の券売機は駅ビル内にある特急券発行機能の無い1台を除き、すべて新型タッチパネル式券売機に代替済みであり、この券売機の登場により旧型タッチパネル券売機による特急券の様式が新たに誕生したことになります。
新規設備に敢えて旧型機が設備されるということは、使用頻度が低いことが予想されたためなのでしょうか?

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京成電鉄 国鉄千葉駅前駅最終日発行の補充券

菅沼天虎様のブログ「菅沼天虎の紙屑談義」9月6日エントリーの「京成電鉄 国鉄千葉駅前駅」にて入場券が紹介されていますが、手元に同駅最終日(=国鉄最終日)発行の補充券がございましたので僭越ながら御紹介させていただきます。

京成電鉄の「国鉄千葉駅前」駅は、昭和62年4月1日に国鉄が民営化されるのに伴い、「京成千葉」駅に改称されましたが、おもしろいことに、隣駅がもともと「京成千葉」駅であったため、同じ駅が2つということにはなりませんので、同時に「千葉中央」駅に改称されました。

   images (小児用補充片道乗車券)

   images (大人用補充往復乗車券)

上が小児用の補充片道乗車券で、下が大人用の補充往復乗車券です。
京成電鉄は補片と補往の双方、大人用と小児用が設備されているために4種類を求めたのですが、当日すでに大人用の補片は欠札しており、補片は小児用にて作成していただきました。

「国鉄千葉駅前」駅が「京成千葉」駅に改称されたため、この券の着駅は現在の「千葉中央」駅である旧「京成千葉」駅ではありますが、一枚の券に「国鉄千葉駅前」駅と「京成千葉」駅という、同一の駅(?)の駅名が並ぶという珍現象が起きました。

この記事は、菅沼天虎様の「菅沼天虎の紙屑談義」9月6日エントリーの「京成電鉄 国鉄千葉駅前駅」にトラックバックさせていただきました。

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東海道新幹線 料金補助券

かつてJR東海が新幹線のアンケートを実施し、その回答者に送付された、東海道新幹線の料金補助券です。

   images (表紙)

このような表紙のついた記念台紙がついていて、

   images (表紙を開けたところ)

表紙を開けると、東海道新幹線 料金補助券と記念オレンジカードが付いていました。
料金補助券は東海道新幹線の特急券を購入する時に提出すると、300円の割引(料金補助)が受けられるというチケットでした。
オレンジカードは1,000円分で、今考えるとずいぶん「太っ腹」な景品です。

   images (補助券表紙)  images (表紙の裏)

表紙には当時花形であった100系新幹線が描かれており、右上にはロット番号のようなものと冊番号がナンバーリンクされています。
表紙をめくりますと、補助券が使用できる窓口の案内が書かれています。

   images (補助券)    images (補助券裏面)

補助券は5枚付いており、冊番の次にハイフンで区切ってページ数が打たれています。さながら常備券のような雰囲気です。

もったいなくて実際には使用しませんでしたが、これを適用した場合、マルスでの発券の際、金額はどのように補正したのでしょうか?
それとも、補正することなく、割引にて発売された旨のスタンプでも捺したのでしょうか?

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