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マーケティング研究 他社事例 648 「トラック市場の燃料電池車は・・・」 ~次のテスラと言われる二コラ~

2020-09-30 11:23:01 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 648 「トラック市場の燃料電池車は・・・」 ~次のテスラと言われる二コラ~


『二コラ』と言えば、東京都福生市にあるピザの名店『二コラピザ』を思い出しますが・・・。

それはさておき、近年のトラック市場における、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)のトラックメーカーである『二コラ』に関する情報をお伝えします。

アリゾナ州(アメリカ)のトラックメーカーである二コラに市場から熱視線が集まっています。

同社は電気自動車や燃料電池車のトラックを開発する2014年創業のスタートアップ企業です。

6月4日、特別買収目的会社との合併によってナスダック市場(アメリカ)に上場を果たし、6月9日には株式時価総額が約288億ドル(約3兆円)高騰しました。

流通株式が少ないといった特殊要因もありますが、一時はフォード・モーターやフィアット・クライスラー・オートモービルズといった世界に名だたる自動車メーカーの時価総額を上回りました。

いまだに1台も商品を生産・販売していないにも関わらず、同社の元には次々とパートナーが集まって来ています。

ボッシュ(ドイツ)とは、2017年からパワートレイン開発で提携し、オランダの産業機械メーカーCNHインダストリアルからも資金を調達し、その傘下のイタリアの商用車大手イヴェコとも提携しました。

イヴェコは基幹ユニットを製造する形で2021年中のEV商用トラックの生産開始を目指しています。

アメリカでは新興企業によるトラックなどの開発が加速していて、テスラは2017年11月に大型電動トラック「テスラ・セミ」を発表し、2021年内の生産開始を目指しています。

2019年11月に披露した奇抜な形のピックアップトラック「サイバートラック」も話題です。

EVスタートアップの中でも有望株の1社とされるリヴィアン(アメリカ)は出資を受けるアマゾン・ドット・コムから配送車両として10万台を受注しています。

ライバルの新興勢がEVに注力する中、「次のテスラ」として二コラに期待が集まる理由の一つが、FCV(燃料電池車)の存在です。

現状、FCVは水素ステーションが少なく、車両価格も高価になるといった理由から普及が遅れています。

しかし、EVと比べて1回のチャージで走行可能な航続距離が長く、大量のバッテリーを必要としない為、荷室を広くしやすい点はトラック向けです。

燃料となる水素はガソリンと変わらない時間で注入可能で、走行ルートが限定的な長距離輸送ではインフラも効率的に整備できます。

EVと比べて高コストではありますが、商用であれば活躍の余地があります。

こうした背景から、大手メーカーも燃料電池の商用トラック開発に本腰を入れ始め、今年4月にはダイムラー(ドイツ)の商用車部門とスウェーデンのボルボ・グループが、燃料電池トラックを開発・量産する合弁会社を設立すると発表しました。

トヨタ自動車は国内では日野自動車と北米ではケンワース(アメリカ)と提携し共同開発を進めています。

二コラはFCVトラック「二コラ・ワン」のプロトタイプを発表済みです。

FCVトラックは2019年時点で1万4000台の受注があり、2023年の生産開始を目指しています。

同年には水素ステーション事業も開始予定で、2024年には売上高が32億ドルに到達すると予想するなど強気です。

二コラの生産や販売が軌道に乗るかは未知数です。

それでも株式市場で人気を集めるのは、今や時価総額でトヨタにも迫るテスラの先行事例があるからだと思われます。

トラックの在り方やパワートレインのシステムを変えていく可能性もありそうですね。



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 


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