yamanba's blog

報道されない情報を発信します
気分転換に山の話題など

博多陥没事故~緊迫の映像

2016-12-07 17:47:49 | 博多駅前陥没

昨夜、NHK福岡放送局が陥没時の新たな映像を公開した。映像は陥没事故現場にある立体駐車場(紙与パーキング)の防犯カメラによるもので、大規模陥没までの緊迫した様子が映し出されていた。これを見ると、まさに間一髪だったことがわかる。時間帯が違えばどうなっていたか、想像しただけでもぞっとする。福岡市は、原因が解明されるまで工事を再開しない方針を示しているという。当たり前だろう。

ちなみに本日、福岡市議会の議会改革調査特別委員会を傍聴後、陥没事故の百条委員会設置を議長に申し入れた共産党に現状を尋ねたところ、現在、代表者会議で議論している最中で、まだ結論は出ていないとのことだった。おそらくは自民党などの与党会派が設置に反対しているのではないだろうか。できるだけ早く工事を再開させたい福岡市の意向を汲んで。

大規模陥没事故 当時の新映像(NHK 福岡 NEWS WEB 2016.12.6) 

 

以下、 NHK福岡 NEWS WEBより。

午前5時15分ごろ。路面に亀裂が入り始め、工事関係者の姿が見える。

  


  

午前5時25分ごろ。1台の車が外に出ようとしたため、工事関係者などが駆け寄り停止させる。

  

 

午前6時22分ごろ。歩道の植え込みの陥没がはじまる。              

  ➡ 

 

 

午前6時34分ごろ。路面の陥没がはじまる。

     

 


午前7時20分ごろ。大規模陥没発生。

  ➡  

 

 

《関連記事》

博多陥没:共産福岡市議団「百条委設置を」 /福岡 (毎日新聞 2016.11.16) 

 


博多陥没事故~設計変更について

2016-12-03 21:42:23 | 博多駅前陥没

陥没事故現場付近の岩盤の補強方法について。当初はトンネル上部の地盤を固める薬剤を地表から注入する予定になっていた。ところが、トンネルを掘り進めていくうちにトンネル上部の岩盤が当初の見込みより薄いことが分かった。そこで、今年8月の福岡市地下鉄七隈線建設技術専門委員会(委員長:樗木武九大名誉教授)で、トンネルの高さを約1メートル低くすることが決まった。その際、補強方法を薬剤注入から鋼管打設へ変更することも決まった。福岡市は変更理由について、大成建設JVから「地表近くの(インフラなどの)埋設物の配置が複雑なため、地上から薬剤を注入するのが難しい」と説明があったためとしている。

以上は昨日報道された内容だが、設計変更については、日経コンストラクション(土木専門雑誌)が事故後、詳しく伝えていた。そこに、設計変更のポイントは3つあると書かれている。1つ目は、トンネルの天端の位置を1m下げて掘削断面を縮小したこと。2つ目は、先受け鋼管の長さを当初の設計よりも短くしたこと。現場では、先受け鋼管からウレタンなどを含む薬液を注入する「AGF工法」と呼ぶ工法が採用され、周辺の地山を補強していた。先受け鋼管を短くすれば、トンネル天端近くの地山を支える力が弱まる。そこで設計変更では、トンネルの側面から横断方向に打つロックボルトとサイドパイルの長さを延長し、トンネルの変形を抑えていた。 おそらくは今回の報道に関係するところだと思われるが、ここでは薬剤注入から鋼管打設への変更については書かれていない。いずれにしても、この2つ目の設計変更が崩落の引き金になった可能性は高い。3つ目は、当初の設計では全断面を一度に掘削する方針だったところを、小径の先進導坑を掘ってから拡幅する工法に変更したこと。 最後に、それでも事故は防げなかったと締めくくっている。(下図参照)

今後、事故直前の設計変更は重点的に調査されるものと思われるが、昨日の国土交通委員会で、福岡市がこれらの設計変更届けを国交省に提出していなかったことが明らかになった。しかも、国交省は事後報告を容認していた。一番難所と言われるところの設計変更が検証されることもなく工事は進められ、大陥没事故は起きた。死傷者こそ出なかったものの、出ていてもおかしくない状態だった。福岡市や事業者のみならず、国の責任は重大だ。この問題について、今月14日からはじまる福岡市議会12月定例会で、中山議員が質問する予定になっている。果たして、市はどのような言い訳をするのか。

 

以下、日経コンストラクションより。

 

 

 

 

 

 

 

《関連記事》

落盤防止対策を事故前に変更 原因究明の焦点に(毎日新聞 2016.12.2)

博多駅前陥没 工法変更の経緯も調査へ 福岡市(NHKニュース 2016.12.3)

博多陥没、直前に設計変更するも防げず(日経コンストラクション 2016.11.17)

 

 


博多陥没事故~路面沈下情報

2016-12-02 21:30:26 | 博多駅前陥没

先月29日、陥没事故原因を究明するための第三者委員会(検討委員会)が、初めて福岡市内で開かれた。西村和夫委員長(首都大学東京副学長)は「事故は複合的な要因で起きた」と見解を示し、年度内を目標に事故原因や再発防止策をまとめた中間報告を公表するという。また、市とJVに対し、第2回会合(1月中旬頃)までに地下トンネル上部にある岩盤層のボーリング調査を行うよう求めている。なお、検討委員会の議事録や資料は翌日30日、国立研究開発法人土木研究所のホームページにすぐさま掲載された。福岡市とは比べ物にならないほど対応が早い。しかも全て公にされている。黒塗りが常態化している福岡市とは違う。どうやら情報公開については心配なさそうだ。

現場では11月18日から(30日まで)行われていたボーリング調査が終わり、昨夜、大成建設が調査結果を公表した。それによると、埋め戻した部分(流動化処理土による改良地盤)の下が緩んでいることがわかった。そこで、近く、薬液注入による地盤改良工事を実施するという。現在、路面のモニタリングは24時間体制で行われており、昨夜から路面沈下状況(計測結果)が見れるようになった。それによると、昨日(1日)20時現在の沈下値は、平均-39ミリ(最大-70ミリ)で26日とほぼ同じ。今のところ大きな変化はないが、この先どうなるかはわからない。それにしても、市民が沈下情報をチェックすること自体、異常な状態だと思うのだが。

《追記》

大成建設によると、5ヵ所のボーリング調査の結果、最終的な沈下量の予測値は-86ミリになったという。つまり今より16ミリ下がる可能性がある。この結果を受けて、明日から地盤改良工事のための準備がはじまる。工期は約4週間。あわせて岩盤層のボーリング調査も行われる。こうなると新たな事故が発生しないとも限らない。今は何より、警固断層地震が起きないことを願うのみ。

沈下情報(随時更新)はこちら

 

以下、第1回検討委員会資料より。 

陥没箇所平面図

 

 

 

 

陥没箇所縦断図

 

 

 

 

陥没場所横断図

 

 

 

 《関連記事》

博多陥没、年度内に原因特定 第三者委初会合「要因は複合的」(西日本新聞 2016.11.30)

博多陥没、地下の砂れき層へ薬液注入へ(日経コンストラクション 2016.12.1)

 

《関連資料》

福岡市交通局。路面沈下に関する情報

国立研究開発法人土木研究所HP