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九州豪雨ふたたび

2017-07-17 08:12:00 | 災害

つい1ヶ月程前、無事に梅雨が明けることを祈ったばかりだった。それなのにあろうことか、ふたたび福岡県と大分県が豪雨に見舞われ、甚大な被害が出た。ようやく熊本地震の被災地で復興がはじまったばかりだというのに、、どうしてこうも災害が続くのか。

先日、国土地理院が公表した朝倉市の空中写真(垂直写真)を見ると、4月に桜めぐりをした夕月神社は高台にあるため被害は免れていた。しかし、下の集落は壊滅的な状態になっていた(下写真)。見慣れたお宅は土砂に埋もれ、小川は消え、見る影もない。ここは春には桜が咲き、柿畑が広がる長閑なところ。毎年、訪れているところだけに言葉もない。何より住人の方々が無事であることを願って止まない。

朝倉市付近の5日から6日までの24時間雨量は約1000ミリ(12時間の解析雨量で約900ミリ)、特に杷木町は3時間の解析雨量が約400ミリと、2014年の広島土砂災害(約250ミリ)や15年の関東・東北豪雨(約200ミリ)より大幅に多い。だからだろう、亡くなった方が杷木町に集中している。福岡県によると、流木量は36万立方メートル、重さ20万トン。また、農水省九州森林管理局の調査によると、土砂崩れは福岡県朝倉市と東峰村、大分県日田市で300カ所に上るという。想像を絶する数だが、その殆どが表土層と樹木が滑り落ちる「表層崩壊」だった。これらの地域は、昔から基幹産業として杉が植林されてきた。しかし、近年は後継者不足により間伐などの手入れが行き届いていないという。もともと杉の根は浅いのでなおさら。自然林ならこうはならなかったのではないだろうか。

今回の大雨は、線状降水帯が同じ場所に停滞したことが原因とみられている。この線状降水帯は、脊振山地東側で積乱雲が繰り返し発生し、それらが高度約17kmまで猛烈に発達しながら東へ移動することで形成・維持されたものだという。これまで脊振山のように1000m程度の低い山では、積乱雲は発達しないと考えられていた。ところが、今回は前線に向かって大量の水蒸気が流れ込んだこと(前日の台風の影響とみられる)、さらに、この時期としては珍しく上空に強い寒気が入ったことで、大気の状態が非常に不安定になり、積乱雲が発達してしまった。不運が重なったとしか言いようがないが、気象研究所の津口研究官は「今回の線状降水帯がもたらした雨は、全国どこでも起きる可能性があるので、最新の気象情報に注意してほしい」と話している。もはや異常が常と思っておかなければならないのだろう。

昨年、べと病の影響で玉ねぎの苗が手に入らなかったので、JA筑前あさくらで苗を分けてもらった。お陰で今年は立派な玉ねぎが採れ、毎日美味しく頂いている。お礼とお見舞いを兼ねて近いうちに朝倉へ行こうと思う。微力ながら何かできることはあるだろうから。

 

 撮影日:2017.7.5

 こちらの写真は、7月5日午後6時ごろ、鳥栖あたりで相方が撮影したもの。相方によると、仕事で大牟田から福岡へ帰っていたところ、異様な雲が目の前に広がり真っ暗になったと。この頃、朝倉市では信じられないような雨が降っていた。(写真左に背振山地九千部山)

 

 

 

 

杷木寒水から久喜宮あたりの空中写真、右に杷木IC(国土地理院より)

 

 

 

 

夕月神社下の様子、言葉を失う(共同通信動画ニュースより)

 

 

 

 

 

同上場所(今年4月撮影)

 

 

 

 《関連記事》

福岡・大分九州豪雨特設 (西日本新聞)※随時更新

九州豪雨:土砂崩れ300カ所超 流木、被害を拡大(毎日新聞 2017.7.14)

九州豪雨:1日雨量1000ミリ超…朝倉付近 気象庁解析(毎日新聞 2017.7.15)

豪雨「線状降水帯」5年前より積乱雲発達し大雨か(NHKニュース 2017.7.15)

 

  《関連資料》

気象庁。梅雨前線及び台風第3号による大雨と暴風(2017.7.11) 

気象庁。平成29年7月5-6日の福岡県・大分県での大雨の発生要因について(2017.7.14)

土木学会。 2017年7月九州北部豪雨災害調査報告