県の財政難などの理由で2008年4月から休館している県立琵琶湖文化館(大津市打出浜)が、応援する市民らでつくる「友の会」への入会を呼びかけたり、ホームページ(HP)に掲載する写真を募ったりしている。休館中も学芸員が収蔵品の整理調査などで“新発見”をする例も多く、再オープンへの機運を盛り上げようと奮闘している。
1961年に開館し、国宝17点、重要文化財198点を含む計約3600点を収蔵していた。休館中、「金銅種子華鬘(けまん)」など重文2点を含む計29点が「展示をしないのなら返却を」などという所有者の意向で返還。職員の数も減り、再開館への道筋は今も見えない。
しかし、学芸員らは収蔵品の整理や県内外の文化財調査などに追われ、慈眼寺(守山市)の薬師如来坐(ざ)像が造立当時(平安時代後期―鎌倉時代初期)、金箔(きんぱく)を張らない素地(きじ)仕上げだったことや、土管として保管していた信楽焼が、実は花器だったことを突き止めるなどの成果を挙げている。
このような活動を応援し、定期的に講演会などを催す「友の会」には毎年度、100人以上が登録。年会費3000円(個人)で、今年度もすでに約80人が入会した。18日午後2時30分からは、近くの「コラボしが21」で、仏像をテーマにした宮本忠雄・元館長の講演会を開き、7月10日には岐阜県内の寺の見学会も行う。
また、HPも頻繁に更新し、収蔵品の説明や学芸員のブログなどを掲載。閲覧者との双方向性を深めるため、文化館と琵琶湖が写っている作品を募り、順次、HPに載せる予定だ。
井上ひろ美学芸員は「休館中も地道に活動する文化館に関心を持ってくれればうれしい」と話す。問い合わせは文化館(077・522・8179)。
【関連ニュース番号:0902/135、2月15日;0901/173、1月24日など】
(5月9日付け読売新聞・電子版)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20090508-OYT8T01131.htm