■村西俊雄町長 実情視察から支援策探る
【写真:児童を交え中田校長と意見を交わす村西町長◇湖東・愛荘町】
日本の製造業を底辺で支えてきた日系ブラジル人の労働者たちが、派遣切りなどで職を失ったことから、愛荘町長野(愛知川ふれ愛スポーツ公園近く)にあるブラジル人学校「コレジオ・サンタナ学園」(中田ケンコ校長)は、子供の授業料が払えないなどを理由に児童の数が激減し、学校そのもの自体の存続が危ぶまれるなど、危機的状況に追いやられている。
平成10年5月に設立されたサンタナ学園は、ポルトガル語や母国の歴史など、ブラジル本国の教育カリキュラムに沿って、0歳児から幼・保・小・中・高までの一貫教育を行い、算数や社会、音楽などを教えている。
昨年9月まで通学していた児童は約100人。その後、同十月から徐々に減り出し、昨年12月から今年1月にかけて30人以上がやめ、現在では45人が学校に通う。
うち30人は授業料(月額3万5千円)を支払っているが、親が仕事を失って払えない子供が15人もいる。学校に来なくなった子供のほとんどは、親の仕事が見つかるまで自宅待機を余儀なくされた。
同時に、15人いた先生も6人に減った。給料も月20万円から5万円へと値下げした。生徒の激減で学校の運営も悪化するばかりで、先生も一個1円50銭の内職で頑張る。何とかしないと「子供がかわいそう」と中田校長は嘆く。
親の収入が減り授業料が払えないで、公立の保育園に入った4歳の子供が学校に遊びに来ていた。日本語がしゃべれないことから友達ができず、自閉症に陥り暴力を振るうようになったという。昼間は、親が働いていて家には誰もいない。
中田校長は、この子を含め保育園に来なくなった15人に「学校においで、みんなと楽しく遊ぼう」と声を掛けるが、一方で送迎時のガソリン代や昼食代などを心配する。
村西俊雄町長は2月5日、サンタナ学園を訪れ実情を視察した後、町として「何か役に立つことはできないか」と、中田校長と意見を交わす機会を持った。
学校側は、職を失った人を町の臨時職員として採用できないか▽ポルトガル語と日本語を教えるスタッフがほしい▽送迎車のガソリン代や子供の昼食代、おやつ代、ミルク代に頭を抱えている―などと訴えた。
これに対し村西町長は、ガソリン代や子供の食べ物について「カンパに頼るしかない」と答え、就職先ほか野菜、米、お菓子、ミルクなどの食料品確保に対しは「民間支援も考慮に入れ検討したい」との意向を示した。
一方、通学範囲は、愛荘町だけでなく東近江、近江八幡、彦根、野洲、湖南(甲西)、甲賀(水口)など多方面にわたり、各市町の公立学校への編入、日本語教室の設置、食文化の交流機会などへの取り組みが異なり、町独自の有効な手段が講じられない点も指摘した。
【関連ニュース番号:0902/63、2月7日;0902/130、2月14日など】
(2月15日付け滋賀報知新聞・電子版)
http://www.shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0000742