「いくさんのお部屋」つぶやきNo.3

日頃の何気ない日常をつぶやいています。

節分草に思う

2017-03-08 01:31:00 | レジャー
今年はもっと山に行きたいと思っていた矢先、もう一度節分草を見たいと思って藤原岳に登ろうかなとぼんやり思っていてネットで調べていたら、伊吹山の山麓の村(米原市大久保地区)に節分草の群生地があることを知った。
市の観光課に問い合わせたところ、今年は3月5日に「セツブンソウふれあい祭り」があるという。
こんな平地で群生が見られるなら、行かないという手はない。
この日は混雑するだろうと思って、友人を誘って6日に行ってきた。

ここ大久保地区は、観光地とは別世界の静寂に包まれた集落だった。
節分草目当ての人は来ているのだが、村自体は日常そのもだった。
そんな中2箇所だけが節分草の居住地で、囲われて保護されていた。
そこは節分草が、ぎゅうぎゅうに詰め込まれていると言った印象を持つほど群生していて、そこだけが人の賑わいがあった。
昔はあちこちに普通の草のようにあったそうだが、今は保護されないと見られないというのは他の山野草と同じ宿命である。
味気ないとは思うもののこれが時勢かと思うと寂しさもある。

節分草を知ったのは 2002年3月9日藤原岳に登った時のことだった。
その時の目的は福寿草だった。
登山道の途中でたくさんの人がカメラを向けているところに出くわした。
一体何をしているんだろうと思って聞いてみると、節分草が咲いていると教えてくれた。
よく見ると消えてしまいそうな小さな小さな花が一輪そこにはあった。
こんな小さな花一輪に大勢の大人が大騒ぎすること自体にその時の私は驚いた。

そのあと2005年3月27日にもう一度藤原岳で節分草とは出会っている。
その時は、数カ所でもう少したくさんあった。
今でも写真は残っているが、昔のデジカメの性能が悪いのか、それとも花があまりに小さいせいかピンボケの状態だった。
ネット上に出ている節分草の写真は鮮明で美しく、私の記憶の中の節分草とは大きなズレができてしまっていた。

藤原岳は「花の百名山」で紹介されているメインの花は本来は福寿草であって、節分草はあまり知られていないような気がする。
福寿草に比べると節分草はあまりに地味で目立たない花である。
なのにどうしてこんなにも節分草をもう一度見たいと思うのか。
自分の中の印象もピンボケの写真のようにぼやけていたせいもあるだろう。
しかし、今回改めて節分草に出会ってそれだけではないことも確認できた。

ただ野に咲く草花としか思われていなかった山野草。
その山野草がブームになり、特別なものとして人は追い求める。
この大久保地区に住んでいる人は、節分草も道端の草も同じで当たり前にあるものではなかっただろうか。
私は子供の頃、当たり前に自然の中で暮らしていた。
人はともかく私は自分の中に失ってしまったものを自然の中に求めている気がする。
地味な花に惹かれていくのは、自分の中にある自然への郷愁かもしれない。

今回撮った鮮明な美しい節分草の写真を見て、ピンボケではっきりしなかった思いが改めて自分の気持ちも鮮明になった気がした。

大久保地区の集落にはまだ雪が残っていた


セツブンソウの可憐な花たち










帰りに立ち寄った彦根城



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